昨年までの傾向とは異なり、今年から「多様性」と「移民」が果たす役割はもはや強調されることはない。左中道系のシンクタンク・グループによると2023年7月から2024年7月までの1年間の人口増加率は約1%で、その主な要因は移民によるものであった。この人口増加の特徴を示す2020年に発表された国勢調査データを利用した研究者によると、国内で最も急速に増加している ① ヒスパニック系住民、② アジア系アメリカ人住民、③ 2つ以上の人種を自認する人々は、急速に増加している移民関連の人種・民族グループである。
ブルッキングス研究所が7月31日に公開した研究によると、2023~2024年に移民関連の人種・民族グループであるヒスパニック系は2.9%、アジア系アメリカ人は4.2%、2つ以上の人種は2.7%の増加率を記録した。これら3つのグループを合わせると、2023~2024年の国内人口増加の93%を占めている。これとは対照的に、黒人とアメリカ先住民・アラスカ先住民の人口増加率はそれぞれ1%と0.4%であったが、白人人口は0.1%減少した。これら3つの人種・民族グループの増加は、国の将来にとって重要な意味がある。少なくとも2000年以降、これらのグループは最も急速に増加している。移民は、自然増加(出生数と死亡数の差)と並んで、将来の国内人口増加において最も有望な人口統計的要素である。これら3つのグループは国レベルおよび州レベルの両方で人口減少を食い止めていることから、人口高齢化に伴う米国で、将来米国の若年人口が大幅に減少するのを阻止したいのであれば、これらの人種・民族グループの継続的な移民受け入れを縮小すべきではないと指摘している。
ヒスパニック系およびアジア系アメリカ人住民は、米国の移民人口の大部分を占めている。彼らは米国全体の人口よりも若いため、移民関連の人種・民族グループは、死亡数よりも出生数に寄与する割合が高くなっている。米国で最も高齢の白人は、近年、出生数よりも死亡数が多い自然減を経験しており、比較的低い移民レベルと相まって、白人人口全体の増加率はマイナスとなっている。総人口および各人種・民族グループについて、パンデミックが発生した2020~2021年は、人口増加率が最も小さかった年、または人口減少率が最も大きかった年であったが、その後、特に2023~2024年には力強く回復した。白人人口は減少し、2023~24年にはヒスパニック系とアジア系アメリカ人の人口増加が大きくなっている。同期間の全国人口増加330万人のうち、ヒスパニック系、アジア系アメリカ人、および2つ以上の人種の人口を合わせた人口は310万人を占めている。 これらの急増している人種・民族グループの影響は、18歳未満の人口に特に顕著である。
2020年の国勢調査では、この若年人口が過去10年間で全国的に絶対的に減少していることが明らかになった。人種・民族の変化を見ると、若年人口全体の減少は、18歳未満の白人人口の減少に大きく起因していることは明らかである。この減少は10年以上も続いており、その一因は白人人口の高齢化である。白人人口は、他の人種・民族グループと比較して、出産適齢期にある成人女性の割合が低い。「年齢を重ねて」いく白人の若者人口は増え、白人の出生数と移民数も減少した結果、白人の若者人口は減少し続けており、パンデミック以降も大きな変化はない。この白人の若者人口の減少に加えて、黒人とアジア系アメリカ人の若者人口も若干減少している。 したがって、ヒスパニック系、アジア系アメリカ人、そして複数の人種からなる人口は、過去3年間で若者人口が増加した唯一の3つのグループであり、これらのグループが相まって、この人口全体の減少を食い止める役割を果たした。2023~2024年の実際の若者人口の減少は135,695人であった。これらのグループは、国全体の人口と若者人口の規模と人種・民族構成にわずかな変化をもたらした。米国の総人口は3億3,100万人から3億4,000万人に増加した。この期間に、ヒスパニック系人口の割合は18.8%から20%に、アジア系アメリカ人人口は6.1%から6.7%に、複数の人種が混在する人口は2.1%から2.5%に増加した。一方、白人人口の割合は59.5%から57.5%に減少し、黒人(12.6%)とアジア系アメリカ人(0.7%)の割合はそれぞれ横ばいであった。
2010年代の傾向に従い、2020年7月の18歳未満の人口は7,430万人から2024年には7,310万人へと減少を続けた。ここでも、急速に増加している3つの人種・民族グループの人口構成比は上昇傾向を示し、ヒスパニック系の若者は25.7%から26.9%、アジア系アメリカ人の若者は5.6%から6.1%、複数の人種が混在する若者は4.6%から4.9%にそれぞれ増加した。一方、白人の若者の人口構成比は49.5%から47.5%に減少し、黒人の若者の人口構成比は13.7%から13.9%にわずかに増加し、アジア系アメリカ人の若者の人口構成比は0.8%から0.7%に減少した。この4年間の変化は小さいが、急増している3つの少数民族が相対的に台頭していることを示しており、全体として、国内の若年人口がこれ以上減少するのを防いでいる。全体として、これは、これらの急速に増加している移民関連の人種・民族グループが、長期的に若年人口の増加を促進し、将来的に国の人口全体の高齢化を抑制する役割を果たしている。
国の人口高齢化が進むにつれ、人口動態上の課題の一つは、若者人口の減少に歯止めをかけることである。これは、新たに発表された国勢調査の推計値からも明らかである。この推計値は、若者人口と比較して高齢者人口が継続的に増加し、高齢化率の上昇につながっていることを示している。時間の経過とともに、労働力においてより小規模で若い世代が、より大規模で高齢世代に取って代わり、国の生産性の低下や、メディケアや社会保障といった高齢者支援プログラムの財源確保の困難化につながる。しかし、 浮かび上がる疑問は、この国の若年人口の減少をどうしたら緩和できるかということである。この問題は健全な移民水準によって最も効果的に対処できる。移民とその子どもは人口の残りの部分よりも若い。つまり、移民は若い世代の人口を増やすだけでなく、出産適齢期にある女性の人口を不釣り合いに増やすことになる。すでにこの国の 18 歳以下の人口は移民に大きく依存している。昨年 5 月の時点で、10 人中ほぼ 3 人が外国生まれか、少なくとも片方の親が外国生まれの子どもであった。明らかに、移民は若年人口の規模を拡大し、その継続的な減少を緩和するために不可欠な要素である。同様に重要な事は、今日の若者に加わるこれらの「移民」の人種と民族構成である。こうした増加の大部分は、第一世代および第二世代のヒスパニック系およびアジア系アメリカ人、そして多人種カップルの混血児によるものである。これらの人種と民族構成による傾向が続く場合、これらの移民の増加に伴うヒスパニック系、アジア系アメリカ人、そして複数の人種の混血児は将来の若年人口減少を抑制する鍵となる可能性が高い。
最後に、前政権下で労働および滞在許可を取得していた合法移民、特にヒスパニック系移民は2025年から、強制送還の対象となっている。米国で約80万存在する法的に保護されたDACA(若年移民に対する延期措置)プログラムも法的課題や不確実性に直面している。全面廃止される兆候はないが、対象者の将来性については依然として不透明である。新たなDACA申請は困難になっているという。そのような状況下で、ブルッキングスの研究者らは、トランプ政権の移民政策では、移民関連の人種・民族グループに対するビザの受け入れを減少するべきではないと提案している。また、研究者は、米国も例外なく高齢化が進むにつれて、18歳未満の白人人口が減少していることが若年人口全体の減少に大きく起因していると目から鱗が堕ちるような統計的事実を提供している。特に、ヒスパニック系住民、アジア系アメリカ人、2つ以上の人種を持つ混血グループの人口が増加しているため、長期的に若年人口の増加を促進し、将来、米国人口全体の高齢化を抑制し、米国の人口減少を防止する役目を果たしているということである。そして、米国の移民人口の大部分を占めているこれらの移民関連の人種・民族グループは米国全体の人口よりも若いため、生産性の高いこれらの人口層が今後も安定し続ける場合、社会保障信託基金およびメディケア保険基金のいずれも2033年に枯渇する可能性があると予測されている状況を幾分改善する可能性もあると示唆している。