
Photo credit : Politico
2025年8月15日の今日開催された米国大統領ドナルド・トランプとロシアの大統領ウラジミール・プーチンの二国間首脳会談には、米国から複数のリーダー達が代表団として大統領と共に参加した。これは予測していたより、開かれた会談になることを思わせたが、それは完全な期待ハズレであった。
15日のニューヨーク・タイムスによると、代表団は(1)ウクライナとの和平交渉におけるプロセスの不備をめぐり、ロシアへの不満を表明している国務省長官マルコ・ルビオ、(2)トランプ政権第2期で初めてウクライナを訪問した閣僚であり、ウクライナが一部の鉱物資源権を米国に譲渡する合意に導いた財務省長官スコット・ベセント、(3)ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領に批判的な商務長官ハワード・ラトニック、(4)3月にウクライナとの米国情報共有を一時停止するという決定に関与したCIA長官ジョン・ラトクリフ、(5)トランプ大統領の長年の友人であり、平和特使として、今年プーチン大統領と複数回会談を行ったスティーブ・ウィトコフ、(6)世界各地への米国の軍事介入に反対を表明している国防長官ピート・ヘグゼス、(7)ロシアを米国の主要な敵対国の一つと見ている統合参謀本部議長ダン・ケインである。
ロシア側の代表団は(1)セルゲイ・ラブロフ外相、(2)プーチン大統領の信頼できる外交政策顧問であり、1999年から2008年まで駐米ロシア大使を務めたユーリ・ウシャコフ外相、(3)2024年5月に国防相に任命され、国の衰退する軍事力の刷新を図ったアンドレイ・ベロウソフ、(4)長年ロシアの財務大臣を務めたアントン・シルアノフ財務相、(5)プーチン大統領の対外投資・経済協力担当特使であるキリル・ドミトリエフである。

Photo credit : ABC 7 NY
今日、全国放送のテレビ・ニュースは、トランプ大統領とプーチン大統領が、アラスカ州アンカレッジのジョイント米軍基地に当地時間午前11時10分頃に到着したことから報道した。両首脳はほぼ同時に階段を降りて、レッド・カーペットの最初の部分で双方が歩み寄り、軽い笑顔で握手を交わした。さらに進んで、数段高いブルー・カーペットが敷かれたプラットホームに上がり、そこで二回目の握手と写真撮影を終え、そのプラットホームを降りると、トランプ大統領は、その近くに待機していたリムジンにプーチンを案内した。敵対国であるとされる二カ国の首脳が同じリムジンの後部に並んで着席すると言う稀な状況をカメラが捉えた。しかし、実際にはプーチンのリムジンは別の場所に待機しており、プーチンはトランプのリムジンに一緒に乗る計画はなかったことを示唆した。この瞬間は視聴者にミステリーな印象を与えており、リムジンを運転しているドライバーを除き、両氏は完全に個人的な会話があったことを示唆した。プーチンは流暢な英語も話すと言われているため、一般的な会話に通訳は不要であると見られている。
しかし、両国からそれぞれ伴った通訳も含めて、少なくとも15人がテーブルを囲んでいる場面は放映されなかった為、全ての会談の状況は不明であった。しかし、協議が始まる前の二人の大統領の表情は、メディアが繰り返し描写していた。両氏は明らかに緊張気味であり、トランプ政権の第一期目の2018年にヘルシンキで行われた記者会見の時のようなリラックスした様子は見られなかった。トランプ大統領はアンカレッジに到着する前の大統領専用機エアー・フォース・ワンの機内で、和平交渉に合意できるかもしれないとの希望を表明し、そうでない場合、「嬉しくないだろう」と語ったという。また、プーチン大統領が戦闘終結の合意に難色を示すなら「私は立ち去るだろう」と言ったと報告された。米国大統領の別の希望は、ロシアとウクライナの和平交渉を仲介し、それに成功することでノーベル平和賞を受賞することであるという。これは、過去に数回報告されている大統領の密かな希望の一つであると思われる。しかし、両国はいかなる問題についても合意に達することなく約3時間の会談を終え、その後の記者会見もわずか数分で終えるという味気のないものであった。

Photo credit : ABC News
記者会見でのトランプ大統領の発言:約3時間の協議後、当地時間午後3時頃の合同記者会見で、トランプ大統領は停戦の合意には至らなかったと発表した。同氏は「今日、多大な進展があったが、我々はそこに至る時まで合意には至りませんでした。すぐにNATOに電話します。適切だと思う関係者全員に電話し、もちろん、ゼレンスキー大統領にも電話して、今日の会談について伝えます。ですから、最終的には彼ら次第です」と述べた。トランプ大統領は米国とロシアの経済関係が再開することも目標の一つであったが、「戦争が解決するまでは」実現できないと述べた。
記者会見でのプーチン大統領の発言:プーチン大統領は双方の理解があったと述べた。プーチンは、2021年1月からの4年間で大統領がジョー・バイデンではなく、引き続きトランプが大統領であった場合、ウクライナへの侵攻はなかったと言った。プーチン大統領は「今日、トランプ大統領が、もし自分が大統領だったら戦争はなかっただろう言われたのを聞きました。私もそうだったと思います。それは確かです。なぜなら、総じて言えば、トランプ大統領と私は信頼に基づく非常に良好な協力関係を築いていたからです」と述べた。さらに、プーチンは「本日の合意がウクライナ問題の解決だけでなく、ロシアと米国間の実務的かつ現実的な関係の修復の出発点となることを期待しています」と述べた。
記者会見の最後の段階で、プーチン大統領は、近い将来「また会いましょう」というトランプ大統領の発言に応えて、英語で「次回はモスクワで….」と述べ、演説を終えた。トランプ大統領は「その件については、かなり批判されるかもしれない」と応じた。どのような交渉が行われたのかほとんど、明白にしておらず、曖昧で不透明であった。しかし、トランプ大統領はEUのリーダーとゼレンスキー大統領にすぐに連絡を取ると述べた。そして、両氏は記者団の質問を受けることもなく、非常に短い記者会見を終えた。トランプ大統領は通常、質問に応じないことはあまりないと認識されている為、これは非常に珍しいことである。3カ国の大統領の目標を以下のように概略的に復習すると、予測通り、合意に達することはほぼ不可能であることが一目瞭然に理解できる。
| トランプ大統領 | プーチン大統領 | ゼレンスキー大統領 |
| *即時に停戦に至り、戦争を完全に終えるべきである。 *ロシアが2014年に違法に併合したクリミアを含めて、ウクライナは領土の一部を譲渡すべきである。 *ゼレンスキー大統領が参加した三カ国首脳による交渉を行う。 | *ウクライナは従来、ロシアの領土であった為、ロシアの傘下に置く権利がある。この主張は大幅に拒否されているので、これは長期的な戦争を望むプーチンの戦略である。 *ウクライナを非武装化し、NATO加盟に反対する。 *ロシアに対する経済制裁を早急に終える。 | *和平交渉に参加する。 *ウクライナの領土はロシアに譲渡しない。 *将来のロシアの侵略に対する強固な安全保障を含めて、安全保障を強化する。 *NATOに加盟する。 |
最後に、一部の主要メディアは、15日のサミットが失敗に終わることを既に予測していたように、プーチンは、ウクライナでの戦争を終える意図は全くないことを明白に示した。同氏は停戦の仲介を熱心に求めた米国の大統領に活力を与えるために、その機会を提供しただけであり、彼は一歩も妥協することなく、会談を終えたため、勝利者はプーチンであると言われている。ロシアは交渉の中で、二回目の制裁を延期することに勝利したという。