米国の連邦判事は、トランプ政権が6月にロスアンゼルス(LA)に軍隊を派遣したことは法律違反であると判定した。その後、ワシントンDCの司法長官はD.Cに兵士を派遣したことは違反であるとして、トランプ政権を告訴したことが3日に報告された。トランプ政権は、シカゴに軍隊を派遣すると述べていたが、不法移民を逮捕する連邦捜査官の拠点をシカゴに近い米軍基地を利用して、シカゴやその他の都市の不法移民の取り締まりを展開すると報告されている。これらの一部はPosse Comitatus Actまたはポッセ郡法に関連している。
Posse Comitatus Act はラテン語であり、英語ではPosse County Act(ポッセ郡法)と呼ばれ、再建時代の終わりに、議会がこの法律を制定し、1878年6月18日にラザフォード・ヘイズ大統領によって署名された米国連邦法である。コーネル大学の解釈によると「憲法または議会の法律によって明示的に許可されている場合や状況を除き、空軍、陸軍、海軍、海兵隊、または宇宙軍のいずれかの部隊を保安部隊として、または法律を執行するために故意に使用した者は、この法典に基づいて罰金、または 2 年以下の懲役、またはその両方を科せられる」と述べている。つまり、法令または憲法によって明示的に認められている場合を除き、全ての軍人はポッセ郡法を利用して法執活動に参加できないことを意味する。また、州兵は通常、州または準州の知事が監督するため、ポッセ郡法の適用を受けることはほとんどない。州法に違反しない限り、法執行活動に参加できるが、州兵が連邦軍に召集され、「連邦化」されると、連邦軍として対応することになり、州の管理下に戻るまでポッセ郡法の適用を受けることになる。
サンフランシスコ連邦地方裁判所のチャールズ・ブレイヤー判事は今週、今年初めにロサンゼルスで6月6日から開始された同様の作戦が、米軍による民間法執行への参加を禁じる連邦法「ポッセ郡法」に違反すると判断した。トランプ政権はこの判決を不服として控訴している。ケイトー研究所の2日の報告によると、カリフォルニア州北部地区のサンフランシスコ連邦地方裁判所のチャールズ・ブレイヤー判事は、52ページの意見書と命令書を発表し、トランプ大統領が今夏初めにカリフォルニア州兵と現役海兵隊をロスアンゼルスに派遣し、不法移民逮捕を行ったことは、1878年に制定され、連邦軍の国内法執行活動への使用を一般的に禁じているポッセ郡法に違反すると判断した。ブレイヤー判事は、トランプ大統領がこれらの部隊を「逮捕、拘束、捜索、押収、警備パトロール、交通整理、群衆整理、暴動鎮圧、証拠収集、尋問、または情報提供者としての活動」に使用することを禁じた。しかし、ブレイヤー判事は政権による控訴を予期し、自身の命令を9月12日まで延期した。
ロスアンゼルスの次にワシントンDCを同じ目的でターゲットにし、軍隊や州兵を派遣したトランプ政権に対して、ワシントンD.Cの司法長官ブライアン・シュワルブは4日、ドナルド・トランプ大統領と政権を提訴し、同国軍を違法な「軍事占領」で国内部隊を地方警察に変貌させたと主張した。ワシントン・ポストが4日に伝えたところによると、この訴訟は、大統領が8月11日にワシントンD.Cで「犯罪緊急事態」を宣言し、市警察の統制を強めるとともに市街に軍部隊を展開して以来、シュワルブがトランプ政権に対して起こした2件目の訴訟となる。シュワルブは、ワシントンD.Cから州兵を撤退させ、首都ワシントンで同様の行動を政権が取ることを禁じるよう求めている。ワシントンD.Cは州ではないので、市長は州兵を統制する権利はなく、大統領が最高司令官となっているが、シュワルブの訴訟は、大統領が権限を逸脱し、州兵が法執行活動に違法に使用されていると主張している。ワシントンD.C.における州兵の活動状況を毎日報告している州兵合同タスクフォースの報告を引用したポスト紙によると、9月2日の時点で約2,300人の州兵が駐留しており、その中には共和党知事が多数派を占める7州から派遣された1,340人が含まれている。
トランプ大統領は州兵を派遣することで、「ワシントンD.C警察の統制、数百人の連邦警察官による不法移民の逮捕、違法銃器の押収、ホームレスのキャンプ地からの立ち退き」などを進めている。民主党のシュワルブ司法長官は、「州兵を法執行のために派遣することは、不必要で望ましくないだけでなく、ワシントンD.Cとその住民にとって危険で有害です。アメリカの都市は、米軍、特に住民への責任を負わず、地元の法執行機関の訓練も受けていない州外の軍隊に、街の警備を任せるべきではありません。今日はワシントンD.Cですが、明日は他の都市になる可能性もあります。私たちは、連邦政府によるこの違法な権限の濫用に終止符を打つために、この訴訟を起こしました」と声明で述べた。
トランプ政権は、国防総省の長官ピート・ヘグゼスが不法移民を逮捕するICE(移民税関捜査局)の活動にために海軍基地の使用を承認した。この基地では、ICE支援を要請された軍隊も使用される可能性があるという。シカゴのローカル紙シカゴ・サン・タイムスはペンタゴンが基地を確保したことを8月30日に報告した。同紙によると、国防総省は来週からシカゴの移民対策のためにグレートレイク海軍基地を確保したと伝えた。基地の職員は、同施設が司令部用のオフィス・スペース、駐車スペース、移動式ランドリーといった形で「支援」を提供すると説明されたという。グレートレイク海軍基地は、シカゴ北部近郊にある海軍最大の訓練基地として知られている。サンタイムス紙が入手した電子メールに詳述された当初の計画では、国土安全保障省、米国移民関税執行局(ICE)、米国税関・国境警備局(CBP)の連邦捜査官を、この州内最大の軍事施設に派遣することになっている。連邦捜査官は海軍大学学習センターと福利厚生・レクリエーション図書館が入っている617号棟の管理権を与えられており、作戦は9月2日から30日まで実施される予定である。
最後に、トランプ政権の新たな移民取り締まり計画について詳細な情報は不明であるが、不法移民の逮捕のために、基地の軍事施設の一部を利用するという前例はないとされている。米軍が連邦捜査課官を支援し、近隣都市の不法移民の逮捕活動に参加することは合法であるか?という疑問が生じる。大統領は、国内の騒乱が発生した場合、反乱法を発動して軍隊を派遣することが可能であるが、その権限は限定的であり、通常、州知事が連邦軍の派遣を要請する必要がある。そして、ICE及びCBPなどの連邦捜査官が、事務所や宿泊のためだけに米軍基地を利用する場合、それは合法的であるが、軍人または兵士を利用することは一般的に、法律家が説明しているポッセ郡法から察すると、米軍が近隣都市における不法移民の逮捕に直接関与することは違法である。つまり、ポッセ郡法は連邦軍を国内法執行の目的で使用することを禁じているため、連邦法に違反していると言える。トランプ政権は、ICE及びCBPなどの連邦捜査官が不法移民の逮捕に軍隊を利用するかどうかを明白にせず、それが行われた場合、恐らく、ロスアンゼルスでの事件に関するチャールズ・ブレイヤー判事の判決及びワシントンD.Cでの訴訟とほぼ同様の問題に直面する可能性がある。