保守活動家のチャーリー・カークの射殺事件から6日が経過している16日も、ホワイトハウスは、彼の功績を褒め称えることや政治的暴力に対処する方法を論じている。大統領や副大統領は、政治的暴力は主に左翼によって行われていると示唆し、具体的に二つの左翼機関を解体すると公的に語った。この驚きの党派的攻撃を受けて、ペンシルベニア州の民主党知事は、彼自身が放火の犠牲になった経験を通して、最近起きた政治的暴力は民主党が犠牲者であることを回想させ、政治的暴力は党派を超えた問題であり、民主党のみを攻撃する「選択的な非難」ではなく超党派的および普遍的な対処に取り組むべきであると指摘した。
J.Dヴァンス副大統領は15日、ホワイトハウスに貢献したとされるチャーリー・カークの射殺事件を受けて、「暴力とテロを助長する左派の機関を解体する」と主張し、国内で最も著名なリベラル派の2つの財団を非難した。ヴァンスは、現在も捜査が続いているこの殺害事件に加担したのは「信じられないほど破壊的な左翼過激主義運動」であると主張した。これまでのところ、ユタ州のスペンサー・コックス知事(共和党)は14日、カーク射殺事件の容疑者は「左翼イデオロギー」を持っていたものの、殺害の動機は依然として不明であると述べたと同日にワシントン・ポストが伝えた。以前の報告では、容疑者は党派に所属しておらず、選挙で投票を行ったことはなく、彼の両親は共和党に登録していたとされている。同日遅く、「ドナルド・トランプ大統領も左派団体を攻撃し、暴力的な抗議活動への資金提供に関与したとされる特定団体に対する組織犯罪の訴追の可能性について改めて言及した」と言う。ヴァンス副大統領は、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団とフォード財団が「寛大な税制優遇措置」を受けている批判し、これらの団体がネイション誌の「不快な記事」に資金提供していると非難した。
しかし、この二つの団体は「いずれも過去5年間、ネイション誌に資金提供を行っていない」とポスト紙は述べている。オンライン記録を調査した同紙によると、フォード財団は2019年にインターンシップ・プログラムのためにネイションに10万ドルの助成金を提供したが、それ以降は資金を提供していない。ネイションの会長であるバスカー・サンカラはXニュースで、同誌はオープン・ソサエティ財団から資金提供を受けたことは一度もないと述べた。「こうした動きは、政権がカークの功績を称えるために膨大な時間と資源を費やしてきたこと、そして当局がカークの殺害をめぐる感情を利用して反対意見を抑圧しようとしてきたやり方を浮き彫りにしている」とポスト紙は指摘している。さらに、ポストによると、ホワイトハウスは、政治的暴力に関与しているとされる「左翼団体」のリストを作成しているが、これらの団体に対する措置はまだ決定していないと、ホワイトハウス高官が匿名を条件に計画の詳細について語ったと言う。ポストによると、高官は検討中の選択肢の一つが、これらの団体の免税資格を剥奪することだという。高官は、政権が調査している暴力行為の例として、ガザ支持デモでの暴力行為やテスラ車販売店への放火事件を挙げた。
ホワイトハウスの副首席補佐官スティーブン・ミラーは、カークのポッドキャスト番組でヴァンスに対し、カークから最後に受け取ったメッセージは、米国で「暴力を扇動している左翼組織」を追及するための組織的な戦略が必要だというものだったと語った。月曜日の午後遅く、大統領執務室でミラーは、「名前を伏せた左翼団体が移民関税執行局(ICE)職員への攻撃を組織し、個人情報流出キャンペーンを支援し、暴動を扇動するために武器やガスマスクを提供した」と、「証拠もなく主張」した。ミラーは「これは無償で行われているわけではない。なので、大統領の指示の下、司法長官は誰が資金提供しているのかを突き止め、暴力への資金提供者として刑事責任を問うことになるだろう」と言った。トランプ大統領は大統領執務室で、極左アンティファ運動をテロ組織に指定することに「100%」前向きだと述べた。さらに、移民税関捜査局(ICE)職員への犯行や、トランプ政権の政策に反対する抗議活動を支援する者らに対し、組織犯罪対策を目的とした連邦法である暴力団対策法適用の可能性を示唆した。
トランプとヴァンスは、左派グループによる政治的暴力は右派による暴力よりも大きな問題であると強調している。ヴァンスは「これは双方の問題ではない。双方に問題があるなら、どちらか一方の方が遥かに大きく、悪質な問題を抱えている。それが真実だ」と言った。ヴァンスは、選挙運動中に起きたトランプ暗殺未遂事件や、2017年にルイジアナ州選出の共和党下院議員スティーブ・スカリースが銃撃された事件を挙げた。しかし、ナンシー・ペロシ元下院議長の夫への襲撃、4月に起きたペンシルベニア州知事ジョシュ・シャピロの自宅への放火事件、5月のミネソタ州下院議員メリッサ・ホートマンの殺害など、民主党員が被った事件については言及しなかった。トランプは、「政権が半旗することや、カークに与えたような栄誉をなぜ6月に亡くなったホートマンに与えなかったのかと問われ、彼女について「よく知らない」と述べた。記者がホートマンについて説明した後、トランプは、ミネソタ州のティム・ウォルツ民主党知事から依頼があれば、彼女を偲んで半旗を掲げるよう命じていただろうと述べた。ホートマンが殺害された当時、トランプはトゥルース・ソーシャルに、彼女の死に関与した者は司法省によって「法の最大限の範囲で」処罰されるだろうと投稿した。
ほとんど民主党のみが政治的暴力に従事していると示唆するヴァンスの驚異的な発言に対して、最初に公的に反応したのは、4月に知事宅が放火された事件で、家族全員がトラウマを経験したペンシルベニア州の民主党員知事ジャシュ・シャピロである。シャピロ知事は16日、ピッツバーグで開催された「憎悪根絶世界サミット」の集会での演説中およびその後の記者会見で、政治的暴力の広範な影響について個人的な体験から、右翼活動家チャーリー・カークの最近の暗殺に対するトランプ大統領の極めて党派的な対応が、深く分断されたアメリカの緊張をさらに煽っている」として「選択的な非難」を警告した。シャピロ知事は「左派からであれ右派からであれ、私たちは普遍的な非難をする必要がある」と述べ、「大統領は再びリーダーシップの試練に、そして道徳の試練にも失敗した。それは私たち全員の安全を脅かしている」 と記者団に語った。シャピロはサミット演説で、「インターネットの闇の片隅から大統領執務室に至るまで、一部の人々は政治的暴力の事例を恣意的に選別して非難したがっている。それにより、私たちの分断はさらに深まり、癒やしが難しくなるだけだ。こうした恣意的な非難を聞いて、自分たちの主張に都合が良いか、あるいは相手側だけを標的にしている限り、さらなる暴力を振るう許可証を受け取る者もいる」と述べた。 シャピロは「特に父親として、4人の子供を持つ父親として、自分の人生の選択が子供たちを危険にさらしていることを理解しているので、そのことは証明できます。あらゆる形態の暴力は容認できません。特に政治的暴力は危険です。それは、人を傷つけ、不具にし、殺害しようとするだけでなく、脅迫し、恐怖に陥れ、沈黙させようとします」と語った。
要するに、ペンシルベニア州の民主党員知事ジャシュ・シャピロは、単にホワイトハウスの「選択的非難」に対して警告しただけでなく、子供たちが「オンライン上で事実と虚構を見分ける」ことができるよう支援をすることや、政府の関連機関が「アメリカ国民の懸念にもっと敏感に対応」するための取り組みなど、幾つかの対策を提示した。彼は、政治的暴力が意図した標的を遥かに超えて反響を呼ぶ事についても説明し、「それはアメリカ社会の構造、そしてこの国が築かれた根本原則を破壊します。同意できない発言を聞いたとき、その解決策は暴力ではなく、より多くの発言です」と述べた。ペンシルベニア州の知事は、両党の著名人が脅迫や暴力に直面している中で、政治的暴力事件の犠牲者になるのは党派的ではないことを力説した。左派だけを「過激左派」として非難することに集中し、国内の政治的暴力を左派のみのせいにしているとしてトランプ政権を批判した。ワシントン・ポスト紙は、近年起きた最大規模の政治的暴力事件である2021年1月6日の米国議会議事堂襲撃事件で、トランプ大統領を支持した約1,600人の暴徒に全面的な恩赦を与えているなど、彼の支持者に対する暴力に対しては「容認する姿勢を見せている」と指摘した。それとは対照的に、圧倒的多数の民主党のリーダー達や有力議員たちは、それぞれの声明で「カーク暗殺を一様に非難した」が、「トランプとその支持者たちは、カークの殺害を機に、政敵について根拠のない大まかな主張を展開し、リベラル団体を標的とする脅迫を新たにしている」とニューヨーク・タイムス紙は指摘している。