元FBIディレクターのジェイムス・コミは25日夜、議会への虚偽の証言疑惑で起訴された。コミに対するこの告訴は、トランプ大統領が政敵を罰すると公約していたことを遂に最初のケースとして実行したと解釈されている。司法省の検察官らは、完全な証拠がないとしてコミを告訴することを拒否した後、大統領は22日に、検察官の経験のないホワイトハウスの弁護士をバージニア州の検事として急遽指名し、そして、彼女は昨夜告訴状を裁判所に提出した。なぜ、これほど急いでいたのか?ジェイム・コムはビデオでの声明で、「恐れていません。私は無実です。裁判をしましょう」と潔い姿勢を示した。
トランプ大統領が任命し、捜査を監督していたエリック・シーバート暫定連邦検事は完全な証拠がないとして、コミの告訴を拒否した後に辞職した。そして、司法省の検察官らは先週、元FBIのディレクターを告訴することに反対してため、司法省に対する大統領の公的プレッシャーが高まり、遅れていたことに苛立っていたトランプ大統領は、22日にホワイトハウスの職員秘書官室で働き、以前トランプの個人弁護士を務めていたが、一度も訴訟を起こしたことがないリンジー・ハリガンをエリック・シーバートの後任として22日にバージニア州の暫定連邦検事として指名した。告訴した経験がないハリガンは25日の午後7時頃、同州アレクサンドリアにある連邦地方裁判所に訴状を提出した。コミに対して、「虚偽陳述1件と議会妨害1件で起訴」した。ワシントン・ポストの昨夜の報告によると、「起訴状は、コミを犯罪で起訴するには証拠不十分だと主張するベテラン検察官の反対を押し切って提出された。裁判記録によると、大陪審は政府の検察官が請求した別の虚偽陳述疑惑に関する3件目の訴因を棄却した。コミは無罪を主張し、ソーシャル・メディアに投稿したビデオ声明で、自らの事件を裁判で争う」と前向きの姿勢を見せた。
長年「トランプの報復キャンペーンの標的」となってきたコミと、ニューヨーク州のレティシア・ジェイムス司法長官、カリフォルニア州のアダム・シフ上院民主党議員を起訴するために「積極的に動いていないとして、20日夜にパム・ボンディ司法長官を公然と非難した」後、月曜日の午後にリンジー・ハリガンを暫定連邦検事に任命した。最初にコミを告訴するため、先週末から今週にかけて、このような慌ただしい状況が見られた理由は、告訴をするには告訴の可能性が指摘された時点から5年間の制限があるためである。つまり、コミに対する告訴は9月30日に時効になるため、ハリガンは、コミの疑惑の犯罪に対する時効が急速に近づいている中で、急いで起訴状を裁判所に提出した。そして時効前にその最初の最も重要なプロセスをやり遂げたことは、如何にトランプ大統領が司法省にプレッシャーをかけていたかを示唆している。
ハリガンは「着任前にコミ事件について十分な説明を受けていなかったにもかかわらず、また部下のベテラン検察官たちが告訴を思いとどまらせようと精力的に働きかけた」にもかかわらず、彼女は告訴を押し通したのである。連邦検事のトップとしては「非常に異例な行動として、ハリガンはコミに対する訴追案を個人的に大陪審に提出した」という。しかし、「コミに対する2件の起訴状は、第2期トランプ政権による刑事司法制度の乗っ取りの試みを最も広範囲かつ公然と示す例である。トランプの支持者たちは、権力の乱用とみなす行為についてコミに責任を負わせるための、正当な取り組みだと見ているが、政治的または個人的な思惑とは無関係に正義が執行されるという民主主義の根本規範が危険な形で無視された瞬間として記憶される可能性もある」という。
プロの検察官らが証拠不足を訴えたにも関わらず、これは強引に提訴された訴訟になるため、法学専門家は、このようなケースは見たことがないと指摘している。元司法省職員で、現在ミネソタ大学法学部の教授アラン・ローゼンシュタインは、「私たちが目にしているのは、法の支配に基づく組織としての司法省のほぼ全面的な崩壊です」と述べた。そして、ニューヨーク・タイムスやワシントン・ポストなどの主要メディアを含む複数のメディアは、前代未聞の政治的報復を開始し、他にも「政敵リストに列挙されている人々」もコミの二の舞を踏むと予測している中で、26日、久しぶりに非常に晴れやかな表情であった大統領は、ホワイトハウスの南芝で記者団に、ジェイムス・コミ前FBIデイレクターの起訴を祝福し、ついに正義が実現したと宣言し、「これはまさに正義の問題です。復讐ではありません」と記者団に語った。しかし、「トランプは二期目の政策の中核にいかに復讐心がある」かを示唆した。26日も再度 「彼らは4年間、私に対してそうしてきた。彼らは私を攻撃してきたのだ」と語った。大統領はコミに対する告訴の欲望と執念が想像以上であったことを示唆した。
一方、コミは無実であることを公的に語り、裁判でそのことを証明すると述べている。この告訴は、幾つかの点でコミに有利になる可能性がある。コミの弁護士は、親友であり、元イリノイ州知事ロッド・ブラゴジェビッチらを起訴したシカゴの元連邦検事パトリック・フィッツジェラルドが担当する。フィッツジェラルドは声明の中で、コミについて「法廷で彼の無実を証明する」ことを楽しみにしていると述べた。 コミは2013年にバラク・オバマ大統領によってFBIデイレクターに任命されたが、4年後、ロシア疑惑捜査におけるFBIの対応を激しく批判の中で、トランプ大統領によって2017年5月に突然解任された。 コミに対する「訴訟は、2020年9月に上院司法委員会で行われたFBIの捜査対応に関する公聴会でコミが行った証言を中心に展開されている」とワシントン・ポストが伝えた。
この訴訟の両側を比較すると、コミは有利であるように見える。リンジー・ハリガンは検察官として未経験のトランプ大統領の元弁護士であり、数日前に突然暫定連邦検事に任命されたばかりである。そして、25日の夜、「裁判所の公開記録に掲載された別の訴状では、検察側が求めていた第三の訴因の詳細が示されており、この第三の訴因もコミの証言に関するものであったが、大陪審はこれを棄却した」のである。加えて、「検察側は、コミが議会に虚偽の陳述をしただけでなく、それを故意に行い、いかなる虚偽も上院の審議の焦点となる重要なものであったことを陪審員に納得させなければならない。コミの弁護団は、事件を担当する連邦判事に対し、公判前に起訴状を却下するよう求めることもできる」など、コミは有利な点が幾つかある。もっとも重要なことはコミが恐れていないことである。そして、この事件を担当する連邦地方判事マイケル・ナックマノフはジョー・バイデン前大統領によって任命された人物であり、彼は10月9日に予定されている最初の法廷審問を監督することになる。
コミは昨夜公開したビデオでの声明で、「ドナルド・トランプに立ち向かうことには代償が伴うことを、家族も私も長年承知していましたが、それ以外の生き方は想像できませんでした」と述べた。「私たちはひざまずいて生きるつもりはありませんし、皆さんもそうすべきではありません。私が心から愛する人が最近、『恐怖は暴君の道具です』と言っていました」と語った。これは、「今年、トランプ政権当局によってマンハッタンの連邦検事の職を解かれた娘が同僚に宛てた手紙に言及したものであった。コミの義理の息子は、25日にコミを起訴した同じ連邦検事局の上司であったが、起訴状が提出された直後に辞職した。ポスト紙が閲覧した辞表の中で、彼は『憲法と国家への誓いを守るため』に辞職した」と述べた。
最後に、このメッセージは、元FBIディレクターだけでなく、彼の家族も精神的な深い影響を受けたことを示唆している。コミは、第一期のトランプ大統領個人を捜査しておらず、ロシアが選挙に干渉したという、選挙の統合性とサイバー・セキュリティの安全性も含めて、多様な側面から捜査を先導していただけであった。しかし、口止め料支払裁判、議事堂で暴動前の論争的な扇動的言動、機密書類の無断所持などによる、複数の民事および刑事犯罪による訴訟を経験した大統領の悔恨と悲痛は深淵であり、そのような捜査を担当した法務執行官が、政敵となり、2024年の選挙に勝利した場合、報復すると公的に宣言したことが事実上開始されたと見ているメディアは、トランプ大統領の怨念が強ければ強いほど、それに反応している。法専門家は、証拠不十分であるコミに対する訴訟が大統領に代わって、彼の個人弁護士が訴訟を提起する前例はないため、このような法的処罰を「報復ではない」と擁護しても、超党派の法専門家は簡単には納得しないようである。