非常に稀な国防省の活動と実態

Photo credit : The New York Times : 2025年9月30日

今月初旬にホワイトハウスは国防省の名称を副称号として戦争省と呼ぶことが可能であると発表した。これに加えて、9月30日の今日、前例のない軍事イベントが開催された。大統領と国防長官ピート・ヘグゼスは政府閉鎖の危機に直面している中で、軍隊のトップの地位にある世界の各地に駐留している軍人達を招集し、バージニア州の軍事基地で集会を行った。軍隊の指導層は、急遽知らされたが、詳細な理由は知らされていなかったと言う。軍隊上層部を世界から集会すること自体が前例のないことであるが、さらに前例のない最高指揮官の驚くべき発言があった。

ホワイトハウスの9月5日の公式発表によると、トランプ大統領は国防省を戦争省に改名すると述べた。名称の追加は大統領令で行われたものである。その公式文書によると「本日、ドナルド・J・トランプ大統領は、国防総省の副称号として「戦争省」という歴史的な名称を復活させる大統領令に署名しました。この命令は、国防長官、国防総省、および従属官僚に対し、公式文書、公的通信、儀式の場、および行政府内の非法定文書において、陸軍長官、陸軍省、陸軍副長官などの地位に、この副称号を使用することを許可しています」と述べている。大統領は先月、国防省を「戦争省」に変更すると宣言し、「省名を変更したが、議会はまだこの変更を承認していない」とニューヨーク・タイムスが伝えている。

2025年9月30日、米国は政府閉鎖の危機に直面し、給与の支払いを受けず自宅退去す人々、及びトランプ大統領の政策に適合しない部署は撤去されるため、仕事を失う連邦職員が神経質になっている時、多額の支出が伴うバージニア州の基地で行われた集会には米軍トップの800人以上が参加した。彼らはアジア、ヨーロッパから飛行機で来た将軍や提督などである。トランプ大統領は「集会が開催されているクアンティコの海兵隊基地に向かうヘリコプターに乗り込み、集会にかかる費用を認めた」と言う。大統領は「ここにいるのは我々の将軍、提督、そして指導者たちです。これは良いことです。このようなことはかつてありませんでした。なぜなら、彼らは世界中から来てくれたからです。費用は多少かかります。大した額ではありませんが、そのためには費用がかかります。無駄にはしたくない。むしろ、弾丸やロケットに使いたいです」と述べた。

また、大統領は「お決まりの論点や批判」に加えて、自身の関税と国境政策を自慢するなど「支離滅裂」なスピーチを行った。トランプは「今朝、再び世界中で戦争省として知られるようになった省の幹部の方々に演説するためにここに来ることができ、大変嬉しく思います」と述べた。そして、大統領は国防総省の長官であるピート・ヘグゼスに対し、部隊を派遣しているアメリカの都市を軍事の「訓練場」として利用するよう指示したと言った。トランプは「こうした危険な都市の幾つかを軍隊の訓練場として利用すべきである」と述べたが、軍隊服の高官らは何の反応もなかった。「軍が超党派的な姿勢を示すのは軍隊の伝統であるが、ヘグセスとトランプの発言の間、会場の将軍や提督たちはほとんど沈黙していた」様子は、生中継のテレビで紹介された目立った瞬間である。トランプは壇上に上がりながら、「こんなに静かな部屋に入ったのは初めてだ。拍手したい人は拍手すればいい。…私の言うことが気に入らないなら、部屋から出て行ってもらって構わない」と言った。そして、軍隊を「かつてないほど強く、タフで、速く、獰猛で、力強いものにする」と述べた。

トランプ政権になって以来、共和党が多数派である議会は国防省への予算を増加しているだけでなく、政権の最も目立つ活動の一つは、軍隊に関連している。ご承知のように、トランプ大統領は最近、移民取り締まりと犯罪対策のため、州知事や市長らの反対を押し切って、ロスアンゼルス、ワシントンD.C、オレゴン州ポートランドに州兵を派遣した。カリフォルニア州は6月、オレゴン州は今月28日にトランプ政権を告訴した。また、「米国へ麻薬を輸送しているとして、カリブ海で船舶を攻撃するよう軍に指示したが、詳細な法的根拠」を示さなかった。そして、ボートが突然爆破された様子がテレビ・ニュースで放映された。また、6月にはノース・キャロライナ州フォートブラッグでの集会で、兵士たちにスピーチを行い、ジャーナリストとバイデンに対する否定的な話を展開したと言われている。30日に軍人を世界から招集し、バージニア州の軍事基地の集会に先立つ先週、ヘグゼス長官は、会合の目的を一切明らかにせず、高官らを招集し、近年、「その規模と範囲において前例のない集会」を行った。「軍幹部らは、長官が就任以来、提唱してきたいわゆる戦闘員文化を宣言する演説を予定していると伝えられたが、それ以外の情報はほとんど提供されなかった」と言う。また21日に「大統領が出席すると表明したことで新たな展開を見せた。軍事専門家らは、トランプが最高司令官として米軍を政治的道具として利用し、基地訪問を政敵、民主党、そして報道機関への攻撃の機会とする傾向があることに懸念を表明した」とタイムスが伝えている。

今日9月30日の集会で先に演説したヘグゼスは、戦場での兵士や指揮官の能力を制限する「愚かな交戦規則」を激しく非難し、有色人種や女性が多かった12人以上の軍幹部を解任した自身の行動を擁護した。さらに彼は、今後の昇進は実力に基づいて行われると述べ、「この分野では既に多くの取り組みを行ってきましたが、今後さらなる変化が予定されています」と言った。ヘグゼスは、トランプ政権が「我々の省に蔓延していた社会正義、政治的に有害なイデオロギーのゴミ」を一掃しようとする取り組みの一環だと述べた。 また「DEI(多様性、平等性、包括性)の事務所、ドレス姿の男たち、気候変動崇拝、分断、ジェンダー妄想はもう終わりです。もうそんなくだらないことは終わりです」と言った。さらに、ヘグゼスは、肥満は軍人には適さないとし、「太った将軍や提督がペンタゴンのホールに座り、国内外の軍を率いているのを見るのは、全く容認できない。見苦しい」と述べた。

軍当局者らは、「30日の会合に下級の将軍や提督が多数出席したのは極めて異例である」と述べた。 会合の数日前、民主党議員や軍事専門家らは、会合に伴う費用や日常業務への支障、これほど多くの軍高官を一堂に集めることによる安全保障上のリスク」を懸念していた。ヘグゼスは、生中継されたこの会合で、数十年にわたる戦闘経験を持つ軍指導者たちに、強化された「戦士の精神」について講義するためだけに会合を開いたように見られた。ジョージ・W・ブッシュ政権の元国防高官で、現在アメリカン・エンタープライズ研究所で外交・防衛政策研究を率いるコリ・シェイクは「これは、ヘグゼス長官が、軍指導部は戦争遂行に集中するよう指導する必要があると誤って考えていることを示すものです」と述べた。

要するに、国防省の名称に副称号を追加すると言う大統領令は「トランプ大統領が署名した200番目の大統領令である」とホワイトハウスは述べている。これは、大統領令で十分であるが、憲法で規定されている生誕市民権、通常議会が定める関税やその他の重厚な課題は、議会が制定した方が遥かに大統領令よりもっと強力なものとなり、次期大統領が簡単には撤廃することはできなくなる。これまでのところ議会が、トランプ大統領の自由奔放な大統領令に悲鳴をあげていないのは、ほとんど裁判に発展しているためであると解釈できる。そして、一部の専門家は30 日の軍事集会は、極めて異例であり、通常海外に住む高官に対する会合を行う場合、軍隊は遠隔で安全保障を脅かすことなく、安全な会議を開催する能力があると指摘されている。防衛政策専門家は、軍隊で遥かに経験が少なく、若い国防省長官が、長年戦闘経験を持つ軍指導者たちに対して、「戦士の精神」について講義をするだけの目的で、過去には前例のない頻度で集会を行っていると言う印象を与えているとのことである。戦争省の副称号や主に民主党有権者が多い大都市を「危険な都市」とラベルを貼り、そこでの軍事訓練を提案し、海外に在住する高官を招集するなど、これまで聞いたことがない理由不明な事態が起きている。

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