政府閉鎖中の議会民主党の葛藤、政権の解雇と裁判所の動き

15日目を迎えた今日も政府閉鎖が続いている中で、政府の一部の資金は動いている。議会共和党リーダーらは、大統領が希望している兵士への給与支払いを拒否している。しかし、政権は、一部の兵士に対する給与支払いを配慮しており、民主党議員らは子供の飢餓を防ぐための法案に取り込んでいる。大統領は引き続き閉鎖中の連邦職員の解雇を実施しているが、ご承知のように既に二つの組織が閉鎖中の解雇は違法であるとして予算局長ラッセル・ヴォートを告訴した。今日、連邦地方裁判所は、閉鎖中の解雇を中止するよう政権に命じた。

「ドナルド・トランプ大統領は、自身が支持する政府機関の一部閉鎖をほぼ無視している。軍人への給与支払いを継続し、公的に敏感な社会保障プログラムの穴埋めを行い、閉鎖が3週目に入る中での政治的痛みを和らげようとしている」と15日のワシントン・ポストが伝えている。先週、共和党リーダー達は「軍人給与を自ら賄う法案を議会が可決すべきである」という提案を拒否した。上院共和党多数派のリーダーであるジョン・スゥーン議員および下院議長マイク・ジョンソンは「兵士に給与を支払う最も早い方法は、上院本会議ですでに8回否決されている共和党主導の予算措置を民主党が支持することである」と主張した。

しかし、全ての軍隊が無給で活動している訳ではない。7月に大統領の巨額の増税・移民法案は可決し、大統領が署名したため、「その一部の資金は、国土安全保障省下の沿岸警備隊員の給与に充てられている。さらに、利用可能な資金は現役軍人の給与支払いに転用」されている。トランプ政権は「約80億ドルの軍事研究開発費を現役軍人の給与に充当した」が、これは2回分の給与支払い期間を補うだけである。「政権には、閉鎖期間中に無給職員を雇用してどのプログラムを継続するか、あるいは完全に停止するかを決定する柔軟性がある。しかし、トランプ大統領は過去の予算停止において、歴代大統領の他の誰よりも遥かに大きな権限を行使しており、多くの決定は党派的な配慮によって左右されている」という。スゥーン議員は14日、「閉鎖中に大統領が軍隊やその他の連邦職員の給与を他のプログラムに充てることは合法か?」との記者団の質問に対し、「彼らが財源を捻出しようとしているのは、明らかに補充・返済される予算分野ではありません。しかし、政府閉鎖の際には、こうした決定を強いられることになるのです」と述べた。

また、この政府閉鎖時期に最も苦難に直面するのは、貧困家庭の幼児、子供、女性であるが、民主党は飢餓撲滅WICプログラムを支援している。これは全米の多くの子供が依存しており、議会の民主党は、このプログラムに資金を充当するWIC給付保護法と呼ばれる法案に取り組んでいる。公式データを引用したガーディアンによると、「妊娠中、産後、授乳中の女性、乳児、5歳までの子供に栄養のある食べ物を提供するこのプログラムは米国の乳児全体の約40%が利用しており、昨年は毎月670万人に食事が提供された」という。バージニア州を代表する米国民主党の上級下院議員ロバート・スコットはガーディアン紙とのインタビューで、「資金不足で給付が失われれば、それを補うことはできません。このプログラムは、年間予算策定プロセスの変動に左右されるべきではないはずです」と述べ、たとえ短時間でもサービスの中断が乳幼児の発達に悪影響を与える可能性があると指摘した。

一方、この閉鎖を利用した政権の解雇活動は続いている。「トランプ大統領は、政府閉鎖を機に権力を掌握し、交渉が膠着状態にある議会を国の財政運営における無力化へと追い込んでいる」という。ホワイトハウスの予算局長ラッセル・ヴォートは14日、政権は「備えを万全にする」準備をしており、さらに多くの連邦職員を解雇し、長期にわたる行き詰まりに備えるとソーシャル・メディアに投稿した。大統領は先週、4,000人以上の政府職員の解雇に踏み切り、政権はすでにさらなる解雇を進めることを示唆している。ご承知のように、予算局は10日に「RIFが始まった」とXに投稿した。同日の午後遅く、「政権はカリフォルニア州の連邦裁判所に、商務省、教育省、エネルギー省、保健福祉省、住宅都市開発省、国土安全保障省、財務省の7省庁の合計4,100人以上の職員にRIF通知を出したと述べた。 政府側の弁護士は、環境保護庁も約20人から30人の職員に対し、将来的にRIFの影響を受ける可能性がある」ことを伝えている。他の省庁も「進行中の予算の不履行に関連して、追加のRIFを実施するかどうかを積極的に検討している」と裁判所の提出書類で述べている。

この閉鎖中の解雇に対する告訴が増えている中で、15日連邦地方上級判事スーザン・イルストンは、これらの省庁が約4,100人の職員に「人員削減通知を出してから1週間も経たないうちに、政権は解雇を停止しなければならないと述べた。米国疾患対策予防センター(CDC)での解雇の約半数は後に撤回されたが、政権当局者とトランプ大統領は、政府の財源確保のための法案可決に民主党が同意しなかったことを非難し、さらなる人員削減を主張している。政府は、各省庁には大統領の優先事項に沿って人員再編を行う広範な権限があると主張してきた。しかし、連邦職員組合は「解雇は不適切に処理され、政治的動機に基づいており、政府閉鎖によって法定要件の継続が免除されるという誤った前提に基づいている」と主張した。また、組合は、政府が閉鎖中に退職金の約束を求める広範な手続が含まれるRIFを行使することは、議会で承認されていない資金を政府が義務付けたり支出したりすることを禁じる財政欠陥対策法に違反する」と主張しているとポストが伝えている。

同紙の以前の報告でトランプ政権当局は、この法律を理由にRIFの実施を非公式に警告していた。判事は政府に対し、2日以内に計画されているRIFの詳細を提供するよう命じた。イルストン判事は、15日遅くに書面で命令の詳細を明らかにすると述べたが、労働組合が代表を務める職員を含む政府機関のいかなる分野においても、一時差し止め命令で、ほとんどの政府機関に対するRIFの発令および進行中の実施を禁じた。一方、司法省の弁護士は「一時的な差し止め命令は正当化されない」と述べ、「解雇によって回復不能な損害は発生しておらず、いずれにせよ、一時差し止め命令は2ヶ月後に発効する解雇を止めるものではない」と主張した。

最後に、政府閉鎖中に連邦職員を解雇することが違法であるとして、地方裁判所は、現在のところ一時差し止め命令を下しているが、現政権の司法省の弁護士らは、裁判所は大統領の決定に関与するべきではないという強気の姿勢であることを示唆している。政権も同様に政府閉鎖に葛藤しており、トランプ大統領は先週、政府閉鎖中も軍隊に給与を支払うよう国防省の長官ピート・ヘグゼスに指示したようである。下院議会少数派の民主党リーダーであるハーキム・ジェフリーズは大統領の方針に同意したが、上院および下院議会の共和党リーダー達は反対した。9月30日に継続予算法案は可決しなかった為、議会を支配している両院の共和党リーダーたちは、少数派の民主党が共和党主導の法案に賛成票を投じれば、政府を再開させた後に協議はできるという態度であるようだ。また、当ブログの調査によると、全ての現役軍人や兵士の給与支払いは毎月一回であり、毎月の総額は143億3,000万ドルの支出となる。軍隊への支払いが、国土安全保障省下の兵士のみであったとしても、政府閉鎖が2ヶ月以上続く場合、政権は「新たな財源を見つける」ことが困難になる。加えて、民主党は米国で子供達が餓死するような事態を防ぐため、飢餓撲滅WICプログラムに取り組んでいるが、議会多数派リーダーが投票を促進するかどうか不明である。マイク・ジョンソンは2023年10月 25日に下院議長として就任して以来、政府閉鎖を避けてきたが、13日「米国は史上最長の閉鎖に向かって突き進んでいる」と表明した。バイデン政権下では超党派的なリーダーシップを発揮し、閉鎖は一度もなく、正しいことをすると語ったこともあったが、今年1月20日から政権交代して以来、ジョンソンは変わったとの印象を受けている。

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