
議会共和党多数派のリーダー達は、政府閉鎖を終えるための努力を何もしていない。そして議会は彼らの役目をほぼ完全に放棄している。医療費が大幅に高騰するとの懸念が拡大している中で、米国の医療保険であるアフォーダブル・ケア・アクト(ACA)の補助金延長の有効期限が今年末で、永久に切れる状況になっている。無給で労働している連邦職人の中には、経済的にゆとりがない人々もいるため、一部の空港ではそのような職員の為にフード・バンクの食品が無料で提供されている。
アラスカを代表する米国上院共和党議員リサ・マーカウスキーは、議会共和党リーダー達が何もしない状況について、「議会は漂流しています。まるで諦めてしまったかのようです。これはアメリカ国民にとって良い兆候ではありません」と述べた。ニューヨーク・タイムスの議会を担当する記者カール・ハルスは22日の記事の冒頭で、「あらゆる尺度から見て、議会はほぼ機能不全に陥っている。しかも、もがき苦しんでいる」と述べている。政府閉鎖は今日で23日目であるが、「多くの連邦職員は給与を支払われず、政府機関や博物館は閉鎖され、有力議員たちはこの混乱を招いている行き詰まりを打開しようと真剣に努力していない。議会職員たちは自らをボランティアと呼び始めている」と書いている。
現在、議会がどのような状態になっているかを詳細に伝えているハルスの記事を概略すると、⑴ 下院議会は文字通り、完全に機能停止状態であり、9月19日以来、何の投票もしていない。(2)下院議長マイク・ジョンソンは、アリゾナから新たに民主党下院議員として9月に選出されたアデリータ・グリハルバに宣誓儀式を提供する義務を放棄している。⑶ 予算を配分する議会の権利は奪われたような状況が続いている。⑷ トランプ大統領は「議会の同意なしにベネズエラとコロンビア沖で致命的な軍事作戦を開始」した。それは、違法の薬物を搭載しているとの主張に基づき、船が連続的に爆破されているなど、「法的に疑問のある軍事行動や関税の押し付けや脅しに加えて、国防総省がメディアの報道と議会とのコミュニケーションを弾圧し、苦境に立たされている組織の権威に挑戦するような他のいかなる行為についても、監視を行う動き」を示していない。⑸ 1月20日の就任以来、「多くの場合、彼らは自らの権限を進んで放棄し、大統領を応援」し続けている。大統領は「憲法が関税を課す主たる責任を議会に与えている」ことに無頓着である。⑹ 上院共和党リーダ―であるジョン・スゥーン(右)と下院議長ジョンソン(左)は彼らがトランプ大統領に「従属するものである」と宣言し、「トランプ大統領の許可がない限り民主党との協議は開始しない」と述べている。彼らは「民主党が短期支出法案を承認するまで交渉を拒否しており、政府機能の大部分を麻痺させる膠着状態を生み出している。
議会がこのような機能不全となった中で、両院で少数派である民主党議員らはすべての状況を裁判所が正義に導くことに依存している。民主党のベテラン上院議員リチャード・ブルメンソー(コネチカット州)は「この機関が自ら招いた傷は、この機関を危険にさらすという現実的な危険性がある。アメリカ議会がこのような状況に陥っていることに、人々は首をかしげていると思う」と述べた。一方、一部良好な兆候も見られる。上院共和党議員らはトランプ大統領が特別検察官事務所長として指名したポール・イングラシアは、「一連の人種差別的かつ攻撃的なテキスト・メッセージ」をポリティコが暴露した後に、同氏を承認することを拒否し、ホワイトハウスに対し、イングラシアに対する「指名を撤回するよう圧力をかけた」という。
政府閉鎖の要因になったACA補助金の期限切れは2025年12月31日である。ホワイトハウスと議会が補助金の延長措置を取らない場合、これらの強化措置は失効し、ACA市場を通して健康保険に加入している数千万の人々の月々の健康保険料は2026年1月から大幅な値上げをすると広範に警告されている。カイザー・ファミリー財団によると、ACAの加入者は24,00万人以上である。そして、「強化された税額控除が実施されると、年収 28,000 ドルの個人は、ベンチマーク・プランに対して年間所得の約 1% (325 ドル)以下を支払うことになる。強化された税額控除が失効した場合、この同じ人は2026年に基準プランに収入の約6%(年間1,562ドル)を支払うことになる。つまり、強化された税額控除が失効した場合、この人は税額控除を差し引いた年間保険料が1,238ドル増加することになる」と説明している。多くの医療専門家は、その危険を避けるために、地元でメディケイドが利用可能であるかを調査するなど、様々な準備を始めるようアドバイスしている。上院及び下院議会指導部はACA補助金の延長に関して民主党と協議することを拒否している。
これに加えて、議会の酷い機能不全による歪みは既に表面化している。世界で最大の裕福な国と言われたイメージはもはや現実から遠のいている。一部の空港では無給で勤務している空港の職員らにフード・バンクから、集められた腐食しない缶詰製品、乾燥したインスタント食品、麺製品、チップスなどが提供され始めた。ネバダ州クラーク郡航空局の広報担当者ルーク・ニモは数日かけて大量の物資を回収した。同氏は「開店当初は、完全に在庫がなくなってしまいました。現在、補充中です。必要な物資は確かにあります」と言った。政府閉鎖が4週目に入った中で、経済的困難に直面している連邦政府職員は多いという。「一時帰休となった職員もいれば、運輸保安局(TSA)や連邦航空局(FAA)傘下の航空管制官など、必要不可欠な職務でも給与が支払われない労働者もいる。トランプ政権は未払い賃金の支払いを保証せず、解雇をもちかけており、不確実性と緊迫感」を益々強化している。職務上の報復を恐れて匿名を条件に取材に応じたハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港の運輸保安局職員は「家賃、光熱費、そして育児費用をどうやって賄うのか不安である」と語った。彼女は「怪我のため3ヶ月間無給休暇を取っており、それが経済状況をさらに悪化させていると述べた。彼女の家族は家の立ち退き命令を通知された」とワシントン・ポストが伝えた。
最後に、イングラシアに対する上院共和党議員らの行動は、人種差別者を法務執行当局のトップの地位に置くことに反対しており、唯一この例は、彼らが全ての側面で大統領を恐れている訳ではないことを示唆した。しかし、専制政治を防ぐために企画された三権分立という建国の父の意思を維持するという長年の規定が無視されている状況は長すぎる。下院議会では複数の分派があるため、ジョンソン下院議長は葛藤に直面している可能性があるものの、バイデン政権下では常に政府閉鎖を避けたことを考えると、下院の分裂が理由ではない。しかも、極右派でトランプ大統領の強い支持者であると見られていたマージョリー・テイラ・グリーンでさえ、政府閉鎖は共和党に責任があると公的に表明したことで先週メディアの注目を集めた。彼女はジョージア州地元の支持者らが、何を望んでいるかを理解していることを示唆した。選出された議員らは全て、彼らの選挙区の有権者を保護する立場であるはずである。この政府閉鎖によって、個人の健康上の問題に加えて、収入がないため住まいを失う可能性に直面するなど、一部の連邦職員は極度の経済困難に直面している。現在ワシントンD.Cで起きている正常ではないこの機能不全は、世界の恥である。行政、立法、司法の全てを保守派が支配している米国は今何が狂っているのか?