
Photo credit : The New York Times
上院議員2人及び下院議員4人の民主党議員らが軍隊に対して不法の命令には従わないよう求めたビデオを先週公開した。大統領はその2日後、ソーシャル・メディアへの投稿で「死刑に値する」行為であるとの脅しを示唆するメッセージを送った。そして、この6人中で、元宇宙飛行士であり元軍人のアリゾナ州を代表する米国上院議会の民主党議員の一人だけがペンタゴンの捜査の対象になっていると示唆したが、実際には全員が捜査の対象になったことが25日に判明した。9月初旬から開始された麻薬密売と見られた船舶への空爆により、少なくとも合計80人以上の外国人が死亡している中で、複数の軍法専門家はこの状況をどのように見ているだろうか?
米国議会の議員6人のビデオ声明による18日の警告は、国防総省の長官がここ数ヶ月間、麻薬を運送しているとの疑いがある船舶を国際水域で爆破を米軍に命令していることに言及している。それらの船が実際に麻薬を運んでいる証拠があるかを国民が明白に理解していない中で、外国船を連続的に爆破しているこの最近のペンタゴンの活動は前代未聞である。遂に米国上院および下院議会6人の議員らは、軍隊の兵士らに対して、「不法の命令には従ってはならない」との一行の言葉をそれぞれメンバーが繰り返し抗議するビデオを公開した。トランプ大統領は、これらの議員らの行動を受けて、動画を公開した議員6人が「反逆罪」を犯したと批判し、「死刑に値する」と投稿したことが20日に報告された。
その後、大統領の死刑の脅しを示唆するこのメッセージは論争的となった。そして、この政権では、憲法修正第1条で保証されている言論の自由は完全に存在しないことを示唆した。国防省長官は、この6人の中で、元宇宙飛行士であり元海軍大佐であるマーク・ケリーが捜査されていると脅している。現在最もメディアに注目されているケリー氏は24日から、複数のテレビ・ニューでのインタビューを受けているが、彼は基本的に「我々の法律は明白です。貴方は不法の命令を拒否することができます」と公的に宣言している。
国防総省の長官は、6人の議会議員らの「扇動的」ビデオに関して、兵士に対し違法な命令に従わないよう促したマーク・ケリー上院議員を攻撃した。国際海域で、麻薬密輸と疑わしい船の爆破を命令しているピート・ヘグセス長官は、ビデオでの議員らの発言を「扇動的」で「卑劣で無謀、そして虚偽」であるとし、特に軍隊に対し、違法な命令に従わないよう促したマーク・ケリー上院議員を非難した。そして、国防長官はビデオに関する調査を開始したと述べた。一方、ヘグセスの捜査発言に対して、上院議会の複数の民主党議員は即時に反応した。少数派リーダーのチャック・シューマーは、その調査を非難し、大統領が「国防総省を自分の個人的な攻撃犬として利用しようとしている」と述べた。ソーシャル・メディアへの投稿でシューマーは、これは「独裁者がすることです」と述べた。
さらに、軍法の専門家は、ケーリー氏が召喚される可能性はないと示唆している。ワシントン・ポストの24日の報告によると、「軍法の専門家は、今回の調査はほぼ前例がない」と述べた。また「国防総省は、現役中に違法行為を行った退役軍人を召還したことがある」という。しかし、元陸軍法務長官および現在テキサス工科大学の教授であるジェフリー・コーン氏は「これは退役後に意見を表明したという理由で捜査することとは全く異なる」と述べた。コーン氏は 「このようなケースはこれまで経験したことがない」とし、「本当にぞっとする話です」と言った。しかし同氏は「現役のケリー氏が召還されたり、起訴されたりする見込みは依然として低い」と述べたが、トランプ大統領とヘグセス長官は「議員らに対して公に処罰を求めたことで適正手続きに違反したと主張する可能性もある」と指摘した。加えて、元空軍法務長官のチャールズ・ダンラップ氏は「このような発言をした退役軍人が軍法に基づいて起訴された例は思い浮かばない」と述べた。しかし、25日の今日、ビデオ公開に関与した6人全員がFBIの調査に直面していることが判明した。下院議会の4人は全員が退役軍人であり、共同声明で「トランプ大統領はFBIを議会議員への脅迫と嫌がらせの道具として利用しています。いかなる脅迫や嫌がらせも、我々の職務遂行と憲法の尊重を阻むことはできません」との驚きの強い構えを示している。
トランプ政権下の米軍は9月2日以来、カリブ海と太平洋で外国船に対する壊滅的な空爆を実施しており、それは非常に論争的に発展している。しかし、6人の議会議員らが公式表明で、この爆破は違反であると指摘した18日後から、外国船への爆破は停止状態になっている。CNNが記録したタイムラインを簡素化して以下の表にまとめてみた。
| 日付 | 場所 | 空爆のターゲット | 遂行軍 | 死者数 |
| 9月2日 | カリブ海 | トレン・デ・アラグア | 米軍 | 11人 |
| 9月15日 | ベネズエラ沖 | 麻薬密売船と疑われる船舶 | 米軍 | 3人 |
| 9月19日 | 麻薬密売船 | 米軍 | 3人 | |
| 10月3日 | ベネズエラ沖 | 国際テロにリンクする船舶 | 米軍 | 4人 |
| 10月14日 | ベネズエラ沖 | 指定テロ組織 | 米軍 | 6人 |
| 10月16日 | カリブ海 | エクアドルとコロンビア市民 | 米軍 | |
| 10月17日 | カリブ海 | コロンビア・テロ組織 | 海兵隊 | 3人 |
| 10月21/22日 | 太平洋 | 2隻の船舶 | 海兵隊 | 2人、 3人 |
| 10月24日 | カリブ海 | トレン・デ・アラグア | 米軍 | 6人 |
| 10月27日 | 東太平洋 | 麻薬密売の4隻 | 米軍 | 14人 |
| 10月29日 | 太平洋 | 船舶 | 米軍 | 4人 |
| 11月1日 | カリブ海 | 船舶 | 米軍 | 3人 |
| 11月4日 | 東太平洋 | 麻薬密輸の船舶 | 米軍 | 2名 |
| 11月6日 | カリブ海 | 船舶 | 米軍 | 3名 |
| 11月9日 | 東太平洋 | 麻薬密輸船舶 | 米軍 | 6名 |
| 11月10日 | カリブ海 | 麻薬密輸船舶 | 米南方軍 | 4名 |
| 11月15日 | ベネズエラ沖 | 米南方軍 | 3人 |
最後に、複数の専門家や元軍事関係者は、これらの行為が法的に正当化されるかどうかについて、複数のニュース番組でインタビューを受けている。麻薬密輸であるとみられる外国船に対するヘグセス長官が指揮する空爆活動は、一般的に戦争行為であり、違法であるとする意見が主である。トランプ大統領は麻薬密売と「麻薬テロ」に戦っていると主張している。しかし、これらの行為は国内外で激しい議論を呼び起こし、多くの法律専門家や人権擁護団体を含む国際機関は、ペンタゴンの指令は、米国法および国際法に違反すると主張している。元国防省関係者らは、外国船舶に対する米軍による空爆は過去2月半の期間中、頻繁に行われていたため、国際法に違反する問題が深刻になると懸念を表明している。そして、6人の議員らは、遂に軍隊の兵士らに対して、「違法の命令を拒否することはできる」と勇気ある声明をビデオで公開したが、その様な議員らの行動に対して、「死刑に値する」との大統領の強烈な反撃を受けた。政権の活動が非常に論争的になっている現在、大統領は公的な発言を控えている。不法性が疑われる政権の行為に対して、議会調査を行うことは議員の仕事であることを考えると、両院6人の議員らの動きは、恐らく、国防省の前代未聞の活動を議会が調査する前兆である可能性があることを示唆している。