社会保障庁の人員削減のために現在見られる混沌と危機

イーロン・マスクと政府効率化局(DOGE)によって2月に約7,000人の解雇や早期退職(全職員の12%)が余儀なくされた後、社会保障番号を持つ3億人以上のアメリカ人の機密情報を管理する社会保障庁(SSA)は規模が縮小され、SSAの機能は2025年2月以降、劇的に悪化した。DOGEは、経験がなく、政権に忠実な中堅データ・アナリストを154億ドル規模の機関の長官に任命した。新年を迎える直前の現在、人員不足による遅延、性急な政策変更や人事異動による新たな障害、仕事が山積みになるなどの混沌に直面している。社会保障庁の危機に関するこの報告は、内部文書、現職および元職員、SSA利用者へのワシントン・ポストのインタビューに基づいている。

イーロン・マスクは証拠もなく、不正請求や不正に社会保障を受給している人々が多数いると主張したと繰り返し伝えられた。その結果、「性急な組織再編によって、地域事務所は突然閉鎖された。その不正対策のための新しい政策が導入されたが、すぐに撤回または変更され、混乱した利用者が電話やウェブサイトに殺到し、ウェブサイトは何度も機能不全となった。従業員が部署間をたらい回しにされたため、日常業務はまるでモグラ叩きゲームのようになり、混乱が絶えなかった。その過程で、社会保障制度は、主に大規模な強制送還キャンペーンのために、アメリカ国民の個人データを収集しようとする政権の取り組みの最前線となった。」新年を迎える現在、「SSAは混乱の渦中にある。人員削減により、処理センターでは最大600万件、地方事務所では1,200万件もの未処理業務が滞留しており、これは過去最多の件数で、何百万人もの受給者への基本的なサービス提供が遅延している。」

高齢者や障害者は新たな障害に直面:社会保障庁の顧客サービスは、ドナルド・トランプ大統領が2期目を開始して以来、多くの主要指標で悪化していることが、SSAのデータとインタビューから明らかになっている。数千人の職員が解雇または退職し、「性急な政策変更や人事異動により、経験の浅い職員が後始末を強いられている」という。 例えば、「不正受給に関する誇張された主張により、高齢者、障害者、合法的な移民の受給者にとって新たな障害が生じている。これらの人々は電話ではなく、対面またはオンラインで手続きを完了する必要があるケースが増えている。それにもかかわらず、9月末時点で同庁への電話件数は9,300万件に達し、過去6年間で最多となった。問題の多い障害者給付制度も、一時的に改善が見られた後、障害者給付に関して予定されている28日以内の面談は年初の約90%から12月時点で66%に減少した。電話サービスは例外であり、折り返し電話の平均待ち時間は3月に約2時間半かかり、職員が現場事務所の業務から電話対応に振り向けられたことで、現在の遅延はそれでも1時間以上待たされている。

彼らは高齢者で、多くは貧困層か又は寝たきりのため、「直接窓口に行くかオンラインで手続きを行うという変更された規定に対応する手段がない」。通常、彼らは銀行口座に何らかの問題が発生し、金融情報を変更する必要があるために電話をかけるが、彼らはコンピューターにアクセスできず、運転もできない」と職員は言う。 今月、彼女は75歳の男性から電話を受けた。その男性は重度の脳卒中を患い、運転することが不可能になった。彼は銀行も変更しなければならず、その結果、過去2、3か月間、社会保障給付金を受け取っていなかったのである。彼女は当時を振り返り、「私は電話で、この男性に『誰か来てもらえる人を探してください。あるいは、コンピューターを使える親戚はいませんか?』と言わなければなりませんでした。彼はただ『​​いいえ、いいえ、いいえ』と言うだけでした」と述べた。 彼女は最終的に、男性に銀行に電話するように伝えた。行政の方針によって彼女の機関では対応不可能になったため、銀行がこの男性を援助してくれることを願ったのである。

不十分な研修と仕事の山積:ビシニャーノが上院で承認されるまでに、社会保障庁は最初の半年間で3人の長官代理によって運営されていた。彼は仕事が山積している混乱を収拾することを誓ったが、すぐに困難に直面した。「管理、分析、技術職の職員2,000人を、一般市民対応の業務に配置転換していた。多くの職員は、拒否すれば解雇されるという恐れのため、この配置転換を受け入れた。一部の職員は電話対応業務を始めた。しかし、全国共通のフリーダイヤルは依然として機能不全に陥っていたため、7月にはさらに1,000人の職員が電話対応に回された。複数の職員は、これらの職員が最低限の研修しか受けずに現場に投入され、基本的な質問以外にはほとんど答えることができなかった」と述べた。職員たちは、通話時間を7分以内に制限するよう指示されたため、「質よりも量を重視する方針」だったと述べている。人員削減策により、「早期退職や退職延期制度の利用によって、春までに地方事務所の職員数は9%減少した。訪問者数は増加し続けている一方で、残業は制限され、新規採用は凍結された。短期間で、最前線の職員は業務過多に陥った。」ポストによると、「人員削減は地域によって偏りがあり、AFGE(米国政府職員連盟)のリサーチ・パートナーである戦略組織センターの職員分析では、一部の事務所には来客数が増加する一方で、早期退職制度によって職員の4分の1が退職していた。同センターの試算では今年8月時点で、現場事務所の職員1人あたり約4,000人の受給者がいることになる。複数の州でこの比率が更に悪い」という。

例えば、ワイオミング州の現場事務所はわずか18人の職員しかおらず、受給者約7,400人に対して職員は1人しかいない計算になる。この顕著な人員不足により、多くの地方事務所は一時的に閉鎖され、数日間、又は数ヶ月間閉鎖される場合もあった。モンタナ州ハブレの事務所は数ヶ月間閉鎖されており、最寄りの事務所はバットにあり、車で2時間近くかかる。「この取り組みに直接関わった複数の職員は、現在、配置転換を受け入れた社会保障局職員の大多数が十分な又は適切な研修を受けていないと言う。研修は来客対応のために短縮されることが多く、職員は十分な訓練を受けずに業務に就いている。」あるベテラン職員は、配置転換された同僚について「最低限の研修しか提供されず、文字通り放り込まれたようなものだ」と語った。 また、電話システムや複雑な請求・給付プログラムに関する研修は、本来約6ヶ月かかるが、配置転換された職員の中にはわずか4時間しか受けられなかった人もいる。その結果、一部の質問者は基本的な質問にも回答を得ておらず、不正確な情報を提供されているという。 モンタナ州バットの現場事務所の職員でAFGEローカル4012の会長を務めるジョーダン・ハーウェルは「業務量の増加、採用凍結、そして職員の退職により、職員が日々の業務をこなす事が困難になっていると述べた。職員は以前、電話の合間に給与明細の処理、新規障害年金申請の受付、面談予約の手配などを行う時間があったが、今はそうした業務が山積みになっている」と語った。

過剰な不正行為の主張による規定変更で困難に直面:社会保障庁の職員は「DOGEによる不正行為への懸念を理由に、直接預金口座の変更手続きを対面またはオンラインで行うよう求めているが、現在オンライン手続きには新たな本人確認措置が必要となり、多くの高齢者や障害のある顧客は困難に直面している。」トランプ政権の「不正防止策により、米国での就労を許可されたグリーンカード保持者である移民は、社会保障カードを対面で取得することが義務付けられ、各地の事務所への訪問者が急増している。」インディアナ州のある事務所では、ある職員が毎日、次に何が起こるのかを恐れながら出勤していると語っている。彼女は当初、請求専門家として雇用されたが、組織再編と人員削減のため、現在はインディアナ州とイリノイ州の一部から絶え間なく鳴る電話対応を優先するよう指示されている。そのため、彼女は他の業務、例えば、自分のケースの決定について問い合わせる人からの電話、オンラインで提出された請求、そして婚姻証明書などの書類を郵送で社会保障庁に提出しようとする人への対応などを後回しにせざるを得ない状況である。

人員不足による業務の停滞:職員が電話対応に追われる中、メディケアの申請、現場事務所による初期審査が必要な障害者の給付金請求、その他一度の電話では解決できない手続きなど、他の業務が滞っている。このようなケースはすべて処理センターに回されるが、そこでは一年中業務の停滞が続いている。全国各地にあるこれらの処理センター業務では、自動処理で対応できない手間のかかる複雑なケースを多く扱っている。その中には、行政法判事によって給付金却下が覆された障害者への未払い分の小切手発行なども含まれる。今年の秋、この状況は前例のない最悪な状況となった。以前、多くの障害者給付金の処理にかかる期間は数週間であったが、現在は3~6か月かかっているという。 9月初旬、ある処理センターの給付金承認担当者は、同僚たちとの全員参加の会議に呼ばれたと言う。そこで、幹部陣は当時600万件に達していた未処理件数は容認できないとし、クリスマスまでに200万件まで減らすために全員が残業しなければならないと説明した。

クリスマスの3日前、住宅リフォーム会社を経営している65歳のブライアン・モリッシーは、メディケアの申請手続きのため、メリーランド州シルバースプリングの社会保障事務所を訪れた。彼は「My SSA」ウェブサイトを試したが、「操作が非常に難しかった」と語った。彼は「オンラインで手続きを簡単にできるなら素晴らしいことだが、現状はうまく設計されていない」と述べた。中央アフリカのカメルーンからの移民であるエイメ・ルドゥー・チャメニは、メリーランド州シルバースプリングの事務所で、姓が名として登録されているミスを訂正するための予約を取るために列に並んでいた。この間違いは2年前に米国に入国した際に発生したという。彼は同州の仮運転免許証を持っており、1月中旬までに社会保障庁で名前の訂正を済ませる必要があると語った。しかし、予約は2月9日になっている。「これは本当に困ったことになる。仕事に行くには運転免許証が必要です。なぜこんなに長く待たなければならないのか理解できません」とポストに語った。

最後に、トランプ政権の長官は他の省、庁、局の複数の業務を担っている。例えば、国務省長官のマルコ・ルビオは国務省以外に、USAID(米国国際開発庁)の長官代行も命じられ、加えて国家安全保障担当補佐官代行及び米国国立公文書館長代行が追加され、合計4つの責任のある業務を担っている。5月に社会保障庁の長官に就任したウォール街出身のベテランであるフランク・ビシニャーノは、10月から数十億ドル規模の予算を持つ巨大組織IRS(内国歳入庁)の長官という別の役職も兼任しているが、このような政権の人事態勢を多くの批評家は指摘しているという。長官ビシニャーノは、停滞解消のために数百万ドルもの残業代を職員に支給することを承認した。最近、処理センターの未処理件数や未処理の障害年金請求件数を大幅に減少させ、年初に発生した一連のシステム障害後もウェブサイトを毎日24時間稼働させている。同氏はワシントン・ポスト紙への声明で、「来年、私たちはデジタル・ファーストのアプローチを継続し、各サービス・チャネル全体に新しいサービス機能と機能性を導入することで顧客サービスをさらに強化する」として2026年の方針を発表した。

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