
ハルミート・ディロン Photo credit : The Washington Post
米国司法省公民権局には、法務執行関係者による発砲事件を捜査する義務がある。しかし、司法省はミネソタ州ミネアポリスで発生したレネー・ニコール・グッド射殺事件の捜査を拒否している。この件を受けて、複数の高官が辞任した。公民権局のトップは、大統領の方針に従っており、グッドを射殺した米国移民税関執行局(ICE)の職員に対する捜査を拒否した。ご承知のとおり、ミネアポリスの法務執行当局がこの事件を調査することも阻止された。
トランプ大統領に2025年2月に指名された公民権局長のハルミート・ディロンは、ニコール・グッドの銃撃事件を調査しないことを決定した。これを受けて、不満と抗議を表明するために少なくとも4人のリーダーが辞任した。ワシントン・ポストの著名なジャーナリスト、キャロル・レオニングとNBCのトップ・ジャーナリスト、ケン・ディラニアンによる合同報告によると、司法省の公民権局には刑事部門があり、ここは「通常、法執行官による発砲死亡事件を捜査する部署であり、法執行機関による虐待や不適切な武力行使の可能性、あるいは疑惑について捜査することを専門としている。」部門長、首席副部門長、副部門長、そして副部門長代理である4人の辞職は、昨年2月以来二番目に大きな幹部の辞職となる。司法省には、公職者の汚職疑惑を捜査する公共倫理部門がある。ここでは昨年、幹部5人が当時のニューヨーク市長エリック・アダムズに対する贈収賄事件の捜査を打ち切るよう求めたトランプ大統領に指名された司法長官パム・ボンディ下の人物からの命令に従うことを拒否し、辞任したという前例がある。昨年2月以来、司法省における大規模な集団辞任が続いている。
公民権局のこれら4人の辞任理由について、説明を受けた関係者を取材した二人のジャーナリストによると、ICE銃撃事件への対応は部隊リーダーたちの懸念事項の一つに過ぎず、部門幹部による他の決定についても懸念を抱いていた者がいたという。バイデン政権下で同局を率いたクリステン・クラークは「職員が法律に違反したか、方針に背いたか、事態を沈静化させようとしなかったか、あるいは根拠なく致死的な武力を行使したかどうかを調査することは、公民権局にとって最も重大な責務の一つです。公民権局の検察官は、数十年にわたり、この分野における国内有数の専門家であり続けてきました」と述べた。
1月7日に発生したグッドの銃殺事件は、特に、地元での証拠の検証や事件捜査への関与を阻止されたため、怒りが爆発している中で13日の夜、「ミネソタ州とミネアポリス市、セントポール市は、トランプ政権による移民取り締まり措置を阻止しようとする訴訟を起こした。国土安全保障省長官のクリスティ・ノームは、グッドの死後、これらの取り締まり措置が強化されると発表していた。副大統領J・Dヴァンスは「ICE職員を擁護し、グッドの死亡からわずか1日後、しかも捜査が行われていないにもかかわらず、発砲は正当だったと主張した。トランプ大統領自身も、グッドがICE職員を『轢いた』という不正確な主張をしたが、これは映像証拠によって否定されている。 民主党は、トランプ政権が隠蔽工作の一環として、発砲事件の証拠を押収しようとしていると非難した。」
先週後半、ディロンの代理人は刑事部に、ディロンがICE職員に対する司法省による別途の捜査は行わないと決定したことを伝えたという。この捜査は、ICE職員が致死的な武力行使を不適切に行ったかどうかを調べるものだった。ディロンが刑事部にICE職員によるグッド射殺事件の捜査を行わせないという決定を下したことは、CBSニュースが最初に報じた。ICE職員がグッドを射殺した数日後、ディロンはXでの投稿で、「人々がICE職員に車で突っ込むと、致死的な武力行使を受ける可能性がある」と警告した。「連邦当局はグッドがICE職員に向かって車を走らせていたと主張しているが、映像証拠は、ICE職員が発砲してグッド氏を射殺した時、彼女の車のタイヤはICE職員とは反対方向を向いていた」とレオニングとディラニアンは説明している。
最後に、1957年12月 9日に設立され司法省公民権局は、米国のすべての人々の市民権と憲法上の権利を保護し、建国の理想である基本的公正、平等な正義、更に全ての人への機会均等を追求するために、米国憲法および連邦法を執行する部門である。トランプ大統領が1月に就任した後から、多くの部門で、トランプ氏に指名されたトップ層が大統領の方針に従う体制に変わったため、多くの弁護士が次々に辞職した。通常、政治指名者と呼ばれる大統領に指名された高官は、意見の合わない人々を歓迎しないため、ディロンは4月「公民権弁護士たちの退職を歓迎する」と述べた。2025年1月以来、司法省はホワイトハウスと一体化し、政治化し、独立性はなく、腐敗していると見られている。2025年2月25日の議会司法委員会の報告書は、「トランプ大統領就任直後、政権は司法省(DOJ)全体で経験豊富なベテラン公務員を解雇し始め、国家安全保障および公職腐敗事件を担当する検察官の幹部を排除し、経験の浅い追従者たちに取って代わらせた。同時に、政権は汚職対策の訴追や捜査を抑制する措置を講じ、司法省および連邦捜査局(FBI)の重要な特別捜査班を解散させ、汚職防止法の執行を停止させた」と記述している。
この体制化で、大統領、副大統領、司法省、国家安全法省を含む政権のトップ層は、ビデオの証拠とは矛盾する「正当防衛」の主張で、レネー・ニコール・グッドを射殺したICE職員が捜査されることを徹底して阻止している状況があるようだ。それはなぜか? 昨年莫大な量のICE職員が雇用され、ほぼ民主党の州や複数の都市に早急に増員されたICE部隊には、どのような人々が採用されたのか? 彼らはどのような訓練をどのくらいの期間受けたのか?米国民はこの基本的な疑問に対する事実を理解していない。しかし、37歳のグッドが銃殺されて以来、ICEの活動に対する疑惑が拡大し、ミネアポリスでのプロテスは全米に広がると予測されている。今週末には少なくとも全米で「ICEを永久追放する」イベントが1,000以上の場所で開催される予定である。