抗議に対して対照的な民主主義の観念を示唆

テヘランでの抗議 Photo credit : KUTV

Trump Supports the Protesters, Except Those Protesting Him

The New York Times : January 13, 2025

ニューヨーク・タイムス紙の著名なジャーナリストであり、ホワイトハウス担当主任記者であるピーター・ベイカーによるこの記事は、イランのテヘランで起きた大規模デモとミネソタ州のミネアポリスで起きている民主主義と民衆の抗議活動に対するデモに対して、大統領が完全に対照的な見解があることを指摘している。

ベイカーによると、ミネアポリスとテヘランで起きた大規模デモの様子を映し出したテレビ画面の二分割映像(The split-screen television images)は、大統領の民主主義と民衆の抗議活動に対する矛盾した見方(disparate views of democracy and popular dissent)を浮き彫りにした。トランプ大統領は火曜日、街頭でデモを行う人々に対し、力強い連帯のメッセージを送った。「抗議を続けろ!自分たちの機関を掌握(take over)しろ!」とソーシャル・メディアに投稿した。彼は「デモ参加者の無意味な殺害(senseless killing of protesters)」を非難し、引き金を引いた(pulling the triggers)者たちは「大きな代償を払う(pay a big price)ことになるだろう」と付け加えた。 彼が言及していたのはテヘランのデモ参加者であり、ミネアポリスのデモ参加者ではなかった。対照的に、わずか63分前に彼が書いたところによると、ミネソタ州の街頭にいる人々は、不正スキャンダルを隠蔽しようとする「無政府主義者やプロの扇動者(anarchists and professional agitators)」であった。トランプ氏は「裁きと報復(reckoning &retribution)の日が来る!」と宣言した。

この歴史的な瞬間に(at this moment in history)地球の反対側で同時に発生した抗議活動は、トランプ氏の民主主義と民衆の異議(democracy and popular dissent)に対する見方を鮮明に際立たせ(into stark relief)ている。イランとミネソタの状況は確かに異なり、複雑だが、大統領の判断基準は非常に単純なようで(the president’s rule of thumb seems simple enough)ある。彼が支持する大義のため(supporting a cause he favors)に街頭に出る人々は称賛に値する英雄(laudable heroes)であり、彼に反対するために街頭に出る人々は正当性のない過激派(illegitimate radicals)である。トランプ氏は、イランでのデモ参加者に対する残忍で致命的な弾圧(brutal and deadly crackdown)への対応として、軍事攻撃の可能性(possible military strikes)について議論した。

1月8日ミネアポリス Photo credit : Rolling Stone

一方、ミネソタ州でICE(移民税関執行局)職員によって射殺されたレネー・ニコール・グッドの死については懸念を却下した(has dismissed concerns)。彼はイランのデモ参加者には「支援が届く(help is on its way)」と述べたものの、彼の政権はミネアポリスでの射殺事件に関する外部からの調査を阻止しようとした(moved to block outside inquiries)。彼はグッドが連邦職員に対して「無礼な態度(disrespectful)」をとったため、射殺は正当化されると示唆した。元国務省職員で中東における民主主義問題の長年の学者(longtime scholar of democracy issues)であるエイミー・ホーソーンは、「彼はあらゆる抗議運動を自分自身という視点(in terms of himself)から捉えている」と語る。「彼は自分自身や自分の政策に異議を唱える抗議者に対する国家による暴力行為を正当化し(justifies state violence)、デモ参加者が自分の敵対者に損害を与えると判断した場合(he thinks demonstrators can hurt his adversaries)には、彼らに保護を約束するのです」と述べた。

Photo credit : BBC

先週、テヘランで行われたデモ中に車が放火された様子がソーシャル・メディアでのビデオや静止画によって広がった。インターネットとコミュニケーションを遮断しているイランでは、12月下旬から始まった激しい抗議活動による動乱が続いている中で、反政府の抗議活動に参加し、死刑宣告された26歳の男性エルファン・ソルタニは8日に逮捕され、1月14日その死刑執行に直面しているという。彼の家族は弁護士にアクセスすることさえ拒否されている。テヘランでの大規模な抗議活動は、権威主義の支配者に対する反抗である。大勢の抗議者が参加しているにも関わらず、なぜ、彼は自宅で逮捕されたのか不明である。イラン当局はソルタニに死刑宣告に関する詳細な情報を彼の家族に提供していないという。彼は、逮捕されて以来、誰かに連絡することさえ許可されていないが、家族は死刑執行前に彼を訪問することはできるという。抗議に参加したため、死刑宣告されるという事例は、近年起きていないものであり、この恐ろしい事態は世界的に注目されている。ピーター・ベイカーは、イランの権威的な動きとミネアポリスで起きた事件を比較している。

トランプ大統領はイランの抗議者に対して強い行動を取るよう促したが、ICE職員に停止され、複数のICE職員が彼女に近づき、その中の一人が彼女の車のドアを開けよとした時に、彼らが立っている反対側の方向に去ろうとしたために射殺された。この様子を示すビデオは繰り返し、テレビ画面やメディアの動画に描写されたことから、トランプ氏はもはや彼女がICE職員を「轢いた」という発言を止めたようであるが、引き続き、政権は彼女を銃撃し死亡させた男性を擁護している。最近のプロテストは、この事件が、米国市民に多大な脅威を与えていることを示唆している。簡単に米国市民に対して銃発するような人間が保護されている一方で、憲法修正第一条で保証されている言論の自由を行使した6人の議員らは、11月中旬に「違法の命令は拒否できる」とのビデオを公開した後、大統領によって「死刑に値する」と脅威的な投稿による攻撃に直面した。その中で、米国上院の二人は、何の犯罪も犯していないにも関わらず連邦調査に直面している。元宇宙飛行士で軍人でもあったマーク・ケリーは、繰り返し脅しを受けた後に国防省長官のピート・ヘグセスを提訴した。同氏は、MS Nowの最近のインタビューで脅しには屈しないと述べた。元CIAのメンバーで米国上院議員エリッサ・スロットキンは彼女が調査されていると14日に語った。両氏はいずれも民主党上院議員である。そして、ワシントン・ポストのジャーナリストは、機密情報を取得したとの疑いで、突然、家宅捜査されたことが14日に報告されている。これらは全て、現在の政権で起きている新たな現象である。このような状況を「権威主義」と見る人々がいても不思議ではない。権威主義の主な特徴の一つは、異論を抑圧し、メディアを支配することも含めて、反対党のみを攻撃するパターンがあることである。昨年4月22日、NPRは「500人以上の政治学者を対象とした調査によると、大多数の政治学者が、アメリカは自由民主主義から何らかの形の権威主義へと急速に移行していると考えていることが判明した」と伝えた。最近の状況は、学者らの見解が正しいことを示唆している。

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