
アル・ゴア Photo credit : ABC News
トランプ大統領はスイスのダボスで行われた世界経済フォーラムで、当地時間水曜日のスピーチでもグリーンランド獲得について語った。しかし、これに参加し、直接トランプ氏のスピーチを聞いていたカリフォルニア州の知事は、実際には、大統領が述べているようなことは起こらないと宣言した。最近忘れられていたビル・クリントンの元副大統領で環境問題の懸命な取り組みにおいてノーベル賞を授与されたアル・ゴアは、現政権の気候変動の取り組みを批判した。
トランプ大統領は21日、ダボスで行われた世界経済フォーラムでの広範な課題のスピーチの中で、グリーンランドは国土安全保障のために米国が取得することが必須であると主張した。大統領は「実際には北アメリカ大陸の一部」であり、「アメリカ合衆国にとっての中核的な国家安全保障上の利益」であると述べた。そして、人々は彼が軍事力を行使すると思っていると述べ、「米国が過剰な武力を行使しない限り、何も得ることはないでしょうが、「私は力を使う必要はないです。力を使いたくない。力は使いません。アメリカ合衆国が求めているのは、グリーンランドという場所だけです」と語った。トランプ氏は、軍隊派遣の可能性を否定したが、直ぐに交渉する必要があると述べ、外部からの脅威に対して、米国のみがグリーンランドを保護できると主張した。さらに、トランプ氏は「我々は地球環境保護のために氷山の一片を求めているのに、彼らはそれを与えません。我々はそれ以外に何も求めていません。彼らには選択肢があります。イエスと言えば、我々は大変感謝するでしょう。あるいはノーと言うこともできるが、我々はそのことを決して忘れないでしょう」と言った。
トランプ氏は1時間以上のスピーチで、ヨーロッパの経済政策を軽蔑し、同盟関係を軽視し「ヨーロッパ諸国はアメリカに依存しています。我々がいなければ、ほとんどの国はまともに機能しないでしょう」と述べた。さらに、欧州首脳陣が彼の要求に応じない場合、関税引き上げにおいて、欧州諸国からの米国への輸入品に一方的に課税するという考えを再度聴衆者に回想させた。その直後、欧州議会は昨年ホワイトハウスと欧州連合が合意した貿易協定に批准するための手続きを停止したと報告された。しかし、デンマークの国防委員長ラスムス・ヤルロフはインタビューの中で、「トランプ氏からはもっとひどい発言を何度も聞いている」と述べた。軍事行使はないとのトランプ氏の公約に安堵を示し、「彼が軍事力行使を否定しているのは喜ばしいです。今日の彼の発言には、事態のエスカレーションにつながるような兆候は見られませんでした。彼はグリーンランドを欲しがっていると主張しているが、それは今に始まったことではありません。もちろん、我々はグリーンランドを引き渡すつもりはないという立場を堅持しています」と述べた。
その後、混雑した会場から出てきたカリフォルニア州の知事ギャビン・ニューサムは、CNNのジャーナリストであるケイトラン・コリンズのインタビューに応じ、トランプ大統領の演説に言及した。「驚くほど退屈で、驚くほど無意味なものでした。あの演説にはアメリカ国民にとって新しいことは何もありませんでした」と語った。さらに、グリーンランドでは米国軍事行動への懸念があると報告されたトランプ氏のグリーンランド買収要求に関して、ニューサム知事は、「トランプ大統領がグリーンランドに侵攻することなどあり得ないです。そもそも軍事力行使の可能性は現実的ではなかったと思いますが、あの口調はフォーラムに出席していたビジネスリーダーたちの間で根強い不安を反映していました」と語った。つまり、トランプ氏の軍事行動の脅威は実際には実現しないと予告した。
加えて、トランプ氏は「中国は風力発電機をほぼすべて製造しているのに、中国国内に風力発電所がほとんどないことに気づきましたか?考えてみたことはありますか?これは良い視点です。彼らは賢いのです。中国は非常に賢いです。風力発電機を製造し、莫大な利益を上げて売却しています。それを買う愚かな国々に売りつけていますが、自分たちでは使っていません」と述べた。しかし、シンクタンクのエンバー・エナジーの報告によると、中国とインドはソーラとウインド・パワーを利用したクリーン・エネルギーの促進に貢献している国であり、中国は他のどの国よりも多くの風力発電設備容量を保有している。「2024年の太陽光発電量の増加分の半分以上は中国によるものであり、中国のクリーン・エネルギー発電量の増加は、同年の電力需要増加分の81%を賄った。インドの太陽光発電設備容量の増加量は、2023年と比較して2024年には倍増した。これら2カ国はクリーン・エネルギーへの転換を推進する最前線に立っており、世界レベルで化石燃料による発電量の減少へと流れを変えるのに貢献するでしょう」と述べている。
要するに、ダボスで行われた世界経済フォーラムでは、トランプ大統領が大勢のヨーロッパの首脳陣の前で、グリーンランドに対して軍事行使はないと誓ったことが多大な進展であった。デンマーク当局は、如何なる脅しを受けてもグリーンランドを手放す意思は微塵もないことを強調しており、グリーンランドとデンマークの意思は非常に強いことを示唆した。加えて、トランプ氏は、この機会にヨーロッパ諸国が米国に依存しており、米国なしに彼らの経済は機能しないとして、欧州諸国の首脳陣を軽視したことである。一部のビジネス・リーダー達はソーシャル・メディアでの投稿で、米国の経済は、彼らの経済状況より良好であると認めた個人もいるようである。更に、グリーンランドに対する政策に反対する欧州諸国に対して、関税を課すことを脅している状況が続く可能性はないことを示唆した。言葉上の合意は何の意味もないことを示唆している。
このフォーラムには、これまで、忘れられていた意外な人物も参加していた。元ビル・クリントン大統領政権下で副大統領であったアル・ゴアは、トランプ氏のスピーチ後のインタビューで、「この政権のエネルギー政策が正気の沙汰ではないと考えていることは周知の事実です」と述べた。ゴアは、下院議員1期目の1976年に気候変動に取り組み始め、有害廃棄物と地球温暖化に関する初の議会公聴会を共同で主催した。1997年に温室効果ガス排出量削減を求める京都議定書の採択を強く推進したことで世界的に著名な環境保護者として知られるようになった。2004年に世代投資管理会社を共同設立し、会長を務めているゴアは、気候保護同盟も設立した。2007年10月12日、アル・ゴアは国連の気候変動に関する一般の人々の知識を高めるための努力が認められ、ノーベル平和賞を受賞した。2020年、彼は世界の温室効果ガス排出量を独立して監視するクライメイト・トレイスの設立に協力した。2021年11月、ゴアはスコットランドのグラスゴーで開催された国連気候変動の取組みにおける締約国会議の初期段階で演説を行った。確かに、ほぼ全ての国はクリーン・エネルギーが主流になり、米国では太陽光発電と風力発電のコストが低下している。しかし、第一期と第二期のトランプ政権は、オバマ政権とバイデン政権のクリーン・エネルギーに関連する最大200の規定を廃止した為、トランプ政権下のクリーン・エネルギー政策の後退は、アル・ゴアのような気候変動の歴史的貢献者にとっては目に余るものがあることを示唆している。