
大陪審は2026年2月10日、不法の命令に従わないよう昨年軍隊に呼びかけ、トランプ政権に告訴の脅しを受けた6人の民主党議員らを提訴することを拒否した。大陪審が検察官の訴訟申請を却下することは非常に稀である。それは明らかに憲法違反であることを示唆している。
ビデオ公開で、一躍知られるようになった議員は6人であり、違法の命令に応じる必要はないことを訴えた上院議員は、元海軍大佐及び宇宙飛行士のマーク・ケリー上院議員(上中央:アリゾナ州)及び元CIAアナリストのエリッサ・スロットキン上院議員(上右:ミシガン州)の二名であり、いずれも上院軍事委員会に所属している。他4人は下院議員であり、元陸軍将校ジェイソン・クロウ下院議員(上左:コロラド州)、元空軍将校のクリッシー・ホウラハン下院議員(下中央:ペンシルベニア州)、元海軍将校のクリス・デルジオ下院議員(下左:ペンシルベニア州)、そして海軍退役軍人のマギー・グッドランダー下院議員(下右:ニューハンプシャー州)である。これら6人のメンバーは、ほとんど軍および諜報機関に勤務していたプロである。
この六人の立法者たちが昨年11月、米国軍隊に向けたそれぞれ短いスピーチのビデオで、不法の命令には従わないよう促した。これに反応したトランプ政権はビデオ公開後、議員らに対する捜査を開始した。トランプ大統領は、「これは最高レベルの反逆行為であり、反逆行為は重大犯罪である」と主張し、民主党員らを「処刑すべき」であると示唆した。これは、極端な感情的な反応であり、言論の自由を無視しているとの指摘もあった。その後、トランプ氏は「この発言を撤回しようとした」とフォックス・ニュースが伝えた。6人の民主党議員らは、恐らく、このような発言が大統領から来るとは予測していなかった可能性もあった。彼らは、トランプ政権が、民主党支配下の都市に州兵を派遣し、カリブ海や太平洋で麻薬密売船とされる船舶を襲撃している最中にビデオを公開したため、まさに、そのタイミングは政権の非合法とされる活動を直接非難したことを示唆していた。彼らは、昨年から前代未聞の捜査の対象になり、FBIにインタビューを求められたが拒否していた。
大陪審の秘密事項について匿名を条件に語った大陪審の決定に詳しい2人の関係者から情報を得たワシントン・ポストの10日の報道によると、検察官は議員らを「合衆国の陸軍または海軍の忠誠心、士気、または規律を妨害、または影響を与える」ことを違法とする重罪での起訴を試みた。大陪審は起訴を棄却したが、「検察は再び大陪審に事件を提出する可能性がある。しかし、たとえ起訴が成立したとしても、法廷で障害に直面する可能性がある。連邦判事は先週、別の公聴会で、ピート・ヘグセス国防長官がソーシャル・メディアでの発言をめぐって正式な懲戒処分を下し、ケリーの退職金を削減する可能性のある軍の降格手続きを開始することで、ケリーの憲法修正第一条に定められた権利を侵害する可能性があると懸念を表明した」と言う。この起訴は、トランプ大統領の強力な支持者であり、大統領によってワシントンD.C連邦検事に指名されたジェニーン・ピロの事務所によって推進されたものである。
彼らが訴訟に失敗したことが報じられた後、マーク・ケリーはXへの投稿で「これはドナルド・トランプとその取り巻きによる、言語道断の権力乱用です。ピート・ヘグセスが私を非難し、降格をちらつかせただけでは足りず、今度は彼らが気に入らない私の発言を理由に、私を犯罪で起訴しようとしたようです。アメリカではそんな風にはいきません。ドナルド・トランプは、すべてのアメリカ国民が彼に反対の声を上げることを恐れるようになることを望んでいます。私たちができる最も愛国的なことは、決して屈しないことです」と述べた。元CIAアナリストのエリッサ・スロットキン上院議員は、「本日、法の支配を堅持し、この事件を進めるべきではないと判断したのは、匿名のアメリカ国民からなる大陪審でした。願わくば、これで政治色の強い捜査が永久に終結することを願っています。しかし、今日は政権にとって単に恥ずべき日だっただけではありません。我が国にとって、またしても悲しい日となりました」と述べた。彼女の声明は、複数のメディアが伝えた。スロットキン上院議員の弁護士であるプリート・バーララは先週、ピロ宛ての書簡で、捜査が継続した場合、同議員は連邦検事局に対し、「悪意ある訴追と憲法上の権利の侵害」を理由に訴訟を起こすことを検討していると述べた。 バーララは司法長官パム・ボンディ宛ての別の書簡に「検察が捜査すべきことは何もない。ここには犯罪はない」と指摘した。
これは、議員らの「憲法上の権利」を無視したトランプ政権の最も顕著な独裁主義傾向の風潮の一側面である。しかし、大陪審は、法律に従うよう促した民主党議員を告訴する法的理由は何もないと判断したようである。法専門家や批評家は大陪審が検察官の起訴申請を却下することは「非常に稀である」と述べており、現政権の司法省の取り組みに対する強烈な非難であることを示唆した。彼らは現役の議員であり、全員が軍または諜報機関の出身であることから、何の犯罪歴もない彼らを起訴しようとする試みは、言論の自由と言う観点から憲法修正第一条に違反する可能性があると指摘している。政敵を何らかの方法で提訴する現政権の試みは、元FBIディレクターのジェイムス・コミ及びニューヨーク州司法長官レティシア・ジェイムスに対する起訴で始まり、いずれのケースも裁判官によって却下された例があることから、今回のケースも執拗且つ積極的な報復キャンペーンの一環として見られている。2月10日に報告された6人の議員らに対する大陪審の決定は、またもや前代未聞の驚くべき米国の民主主義の弱体化を示唆するものである。しかし、この6人は継続的に、確信と強さを示していた。特に頻繁にテレビ・ニュースのインタビューに応じたマーク・ケリー上院議員は、「我々は怯まない」と繰り返し述べていた。昨日の大陪審の決定は、ケリーを含む6人の議員らの強さによる団結がない場合、民主主義は砂城のように崩れ落ちる危険性があることを再度思い起こさせるものがある。