個人崇拝を助長する執拗な自己宣伝

Photo credit : The Georgetowner

Trump’s Relentless Self-Promotion Fosters an American Cult of Personality                

By Peter Baker  The New York Times : 2026年2月 15日

この記事は、米国の歴史の中で、どの大統領にも見られなかった現政権の大統領が自身を神話的で超人的な人物であるとする自身の促進に取り組んでいることについて説明している。

ニューヨーク・タイムスの有力なジャーナリストであるピーター・ベイカーは、見出しに「トランプ大統領は、これまでのどの大統領と違い、自己拡大に躍起になって(a spree of self-aggrandizement)取組み、神話化された(mythologized) 超人的な人物像(superhuman persona)を育み、国内および世界中で自らを逃れることのできない勢力に仕立て上げている」とドナルド・トランプ大統領を描写している。最近、トランプ氏は、元大統領バラク・オバマとファースト・レディのミッシェル・オバマを猿と呼び、人種差別的な動画を共有したとされた。その後に、複数の共和党議員らを含む超党派からの「激しい批判を引き起こした」後に削除したとされるそのオンライン動画には彼自身を「ジャングルの王」として描かれていたが、その部分は「あまり注目されなかった」と述べている。

二期目の1年以上が経過した今日、トランプ氏は「自らを英雄的、ほとんど神のような存在(almost godly fashion)として描くことが多く(regularly depicts)、君主(a monarch)、スーパーマン、ジェダイの騎士(a Jedi knight)、軍の英雄、さらには白い法衣をまとった教皇(a pope in a white cassock)といった風に描かれる」という。彼が2期目の大統領として行っていることは、アメリカの歴史上かつてないほどの個人崇拝の構築(building a cult of personality)に近い。歴代の大統領も自らの評判を高めようと努めてきた(sought to cultivate their reputations)が、トランプ氏ほど神話化(mythologized)され、超人的(superhuman)で、遍在する人物像(omnipresent persona)を作り上げ、偶像崇拝(idolatry)にまで至った大統領はいない。ホワイトハウスには、いたるところにトランプの写真が掲げられ(picture has been splashed)、連邦政府の建物の側面には高層バナー(multistory banners)が掲げられ、国立公園には年間パス、そして近いうちに1ドル硬貨にも彼の写真が使われる可能性があるという。

彼の名前の追加や変更は、ジョン・F・ケネディ・センターだけでなく、米国平和研究所、連邦投資口座、特別ビザ、割引医薬品プログラムに刻まれており、もし「彼の望みがかなえば(if he has his way)、ワシントン・ダラス国際空港、ニューヨークのペン駅、そして将来ワシントン・コマンダーズのスタジアムとなる場所にも刻まれるだろう」とベイカーは述べている。ホワイトハウスは、トランプ氏の支持者が作成した肖像画をスミソニアン協会のナショナル・ポートレート・ギャラリーに展示するよう圧力をかけている。また、仮想通貨投資家(cryptocurrency investors)グループは、フロリダ州ドラルにあるトランプ氏のゴルフ場に設置する高さ15フィート(約4.5メートル)の金メッキのブロンズ像「ドン・コロッサス」の製作に30万ドルを投じた。

要するに、自己拡大の為に自身の名前を促進することは第一期目からの傾向であり、トランプ氏は主に、世界中のホテルに彼の名前を貸し出し、その契約費用を得ることで、彼のビジネスを推進していた。これはビジネス間の取引である為、大統領職を兼ねてビジネスを促進することを禁止する憲法の倫理法に違反したと批判された以外には追求されていなかった。しかし、スキャンダルが暴露される度に、契約を終えるホテルもあり、ホテルの建物から「トランプ」名が外される場面が何回か報道された。二期目は、自分を売り込む勢いは強化され、その範囲は連邦政府に及んでいることから訴訟に発展している。それは彼が「ジャングルの王」として描かれているように、彼の世界には法律が存在しないからであり、ボール・ルーム、ジョン・F・ケネディ・センター、米国平和研究所、国立公園パスなどに関連している主な訴訟は現在最も注目されている。

最後に、1ドル硬貨にトランプ氏の顔が刻まれるとの話は、財務省がアメリカ建国250周年を記念してトランプ氏をテーマにした1ドル硬貨を起草することを考慮していると言われている。米財務省長官のスコット・ベセントはコインのデザイン案はまだ「第一案」の段階にあると述べている。しかし、憲法修正第一条8項には議会の権利が定められており、「議会は通貨を鋳造し、その価値および外国通貨の価値を規制し、度量衡の基準を定めなければならない」と規定しており、これも議会の承認なしに行動することは不可能である。近々1ドル・コインに現役大統領の写真が掲載される計画があるとして、民主党議員らは、現役大統領が米国の紙幣及びコインを個人化または政治化するのではなく、全て米国の歴史を反映するべきであると指摘している。つまり、これを強引に行うと別の訴訟に発展する可能性は高くなる。これが1ドル札に対する変更であった場合、恐らく、それは非常に困難であると思われる。なぜなら、1866年に制定された議会法は、生存中の大統領の写真をお札に掲載することを禁止している。コインに関する情報には混乱するものが多く、25セント硬貨は廃止されたと伝えるメディアもあるが、25セントのデザインは頻繁に変更され、2022年には右側を向いている初代大統領ジョージ・ワシントンの肖像が描写されている。

また、トランプ氏の支持者が作成した肖像画や銅像は、トランプ氏私有の不動産に展示されても、異議を唱える人はいないはずである。しかし、1962年に議会から資金が提供され、1968年にオープンしたスミソニアン・ナショナル・ポートレート・ギャラリーは連邦政府の建物である為、議会に権限がある。議会が何もしない場合、ホワイトハウスは支持者によるトランプ氏の肖像画を強引に押すことは一時的に可能かもしれないが、法的には困難であると思われる。スミソニアン協会は、従来アメリカの歴史、発展、文化に貢献した芸術家、科学者、政治家、投資家などに関連する作品のみを展示してきたが、トランプ政権に移行した2025年1月下旬から多様人種と文化に関連する事務所は閉鎖され、連邦政府職員の採用は大幅に凍結された。この決定は、トランプ大統領の大統領令に基づいているが、国立動物園、米国の数十の博物館、研究センター及びその他の関連機関に多大な影響を及ぼすと懸念されていた。

アメリカ・ウオッチ- Yuko's Blogをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む