虚偽、誤情報、誇張、政敵への攻撃の一般教書演説

2026年2月24日 Photo credit : NBC News

トランプ大統領の一般教書演説は、民主党に対する攻撃に加えて、虚偽、誤情報、誇張が特徴であった。トランプ氏が午後9時6分に入室した時にはほぼ全ての議席は埋まり、共和党側の議席から、拍手や歓声で迎えられた。米国最高裁の参加者は引き続き今年も4人であった。東部時間午後9時11分から始まり10時58分に終えたスピーチは、これまでの歴代大統領の一般教書演説の中で最も長かったと見られている。

ほとんど欠席したことはない主席判事ジョン・ロバーツは今年も参加した。他にブラット・カヴァナフ判事、保守穏健派のエイミー・コニー・バレットとリベラル派のエレナ・ケーガンの女性判事二人が参加していた。トランプ氏はこれら4人の判事らと演説前に手短に挨拶を交わした。驚いた瞬間は、トランプ大統領が演説中に、関税による課税権は議会にあると判定した米国最高裁に対して、関税の継続に議会の措置は必要ないと断言したことである。しかし、最終的には「現代の所得税制度を大幅に置き換え、私が愛する国民から大きな経済的負担を取り除くことになる」と主張した。

民主党への攻撃:今年は中間選挙年であり、3月から予備選が行われる中で、既に少なくとも上院または下院議会のいずれかで多数派を失うと予測されている。トランプ氏の24日の一般教書演説は選挙キャンペーンの一部となり、議会でのスピーチは、民主党を批判することに焦点を当てた。トランプ氏の移民及び経済政策を支持しない民主党議員らに対する新たな攻撃は「狂っている」という批判であった。トランプ氏は、「米国政府の最初の義務は米国市民を保護することであり、不法移民ではない。恥ではないですか?貴方は恥べきべきです。自分を恥なさい。これらの人々は狂人です。彼らは狂人です」と述べた。また、トランプ氏は長いスピーチの中で、いつものように虚偽や誤情報を語り、物価上昇は、民主党が作り上げたものであると言った。しかし、複数の主要メディアは、経済を含む複数の課題での顕著な虚偽や誤情報または誇張についてファクト・チェックに基づき、トランプ氏の発言を訂正した。

ニューヨーク・タイムスのファクト・チェックによると、トランプ氏はインフレによる経済不安、危険な国境、軍隊と警察の減少、蔓延る犯罪など、世界中で起きている戦争など、ひどい状況を引き継いだと述べた。「12ヶ月前、私がこの議場で演説した時、私は危機に瀕した国を引き継いだばかりでした。停滞した経済、記録的なインフレ、開かれた国境、軍隊と警察のひどい募集、国内の蔓延する犯罪、そして世界中で戦争と混乱が蔓延していました。それからわずか1年が経った今夜、私は尊厳と誇りをもって、かつて誰も見たことのない変革を達成したと言えるでしょう。まさに時代を超越する転換です」と語った。この主張に対し、ファクト・チェックを提供したタイムスは「虚偽」であるとし、「トランプ氏が主張する歴史的な好転は、事実に裏付けられていない。 トランプ氏が大統領に就任した2025年1月時点で、インフレ率は3%に低下していた。」そして、「犯罪も減少傾向にあった。超党派シンクタンクである刑事司法評議会によると、全米の殺人率は2025年には過去最低の10万人あたり4.0人まで低下すると推定している。FBIの公式データでは、2024年の殺人率は10万人あたり5.0人であった。軍は2022年度と2023年度の募集目標を達成できなかったものの、トランプ大統領の当選の1カ月以上前の9月に終了した2024年度には陸軍、空軍、海兵隊のいずれも募集目標を達成した」と説明している。

インフレーション:さらに、トランプ氏は「鶏肉、バター、果物、ホテル、自動車、家賃の価格は、私が就任した当時と比べて大幅に下がっています。かつては非常に高かった牛肉でさえ、大幅に下がり始めています」と述べた。タイムスは「これには背景が必要である。卵を含む多くの食料品のインフレ率は緩和しているが、労働統計局が発表した1月のデーターによると、食品全体の価格は依然として前年同時期比で2.9%上昇している。 特に卵に関しては、昨年の価格高騰は主に鳥インフルエンザの発生によるものであった。1月時点で、価格は前年比で約30%下落しているが。牛肉などの他の製品の価格は依然として非常に高く、牛肉は同時期に比べて15%上昇している」と指摘している

フードスタンプ:さらに、トランプ氏は「私たちは1年間で、記録的な数の240万人のアメリカ人をフード・スタンプから救い出しました」と語ったが、タイムスは「これには背景が必要である。 農務省の最新データによると、フード・スタンプとして知られる補足栄養支援プログラムの給付を受ける人数は、2024年11月から2025年11月の間に260万人減少した。しかし、この減少は、ニーズの減少と必ずしも相関しているわけではない。2025年11月の数字の減少は、政府閉鎖によりフード・スタンプの給付が深刻な影響を受けた時期に発生した。トランプ大統領の看板政策である税制改革法と国内政策によって、フード・スタンプの受給資格が縮小され、連邦政府の支出も削減された」と説明している。

雇用:トランプ氏は、「何千もの新しい企業が設立され、工場、研究所が建設されるにつれ、非常に短期間で70,000件もの新しい建設関連の雇用が創出されました」と述べたが、タイムスはこの主張は「これは誇張です」と指摘している。「トランプ氏は建設業の雇用が大幅に増加すると強調したが、具体的にどの期間のことを言っているのかを明らかにしていない。関連建設業者および請負業者(ABC)によると、建設業界では2025年にわずか14,000人の雇用が増加すると予想されている」と述べている。トランプ大統領は、「私の政権下で創出された雇用の100%は民間部門で創出された」と述べた。タイムスは、「これには背景が必要である。民間部門の雇用は増加したが、トランプ氏の大統領復帰1年目は、雇用全体の伸びは比較的鈍化した。トランプ氏がホワイトハウスに復帰して以来、連邦政府の雇用は減少している。ケイトー研究所の調査によると、イーロン・マスクが設立したいわゆる政府効率化局は支出を削減したわけではないが、連邦政府の雇用を10ヶ月足らずで9%削減した。これは第二次世界大戦終結時の軍の復員以来、最大の減少率である」と述べている。

投資:トランプ氏は「前政権は4年間という長い期間で、米国への新規投資を1兆ドル未満しか獲得できませんでした。しかも、大幅に減少したのです。(トランプ政権は)12ヶ月間で、世界中から18兆ドル以上の資金を確保しました」と述べた。これに対し、タイムスは「虚偽」であるとし、「トランプ氏が発表した18兆ドルは、ホワイトハウス報道官が集計した9.7兆ドルのほぼ2倍に相当する。これには、広範な公約や既に発表されているプロジェクトも含まれる。さらに、その半分以上は、専門家が非現実的かもしれないと警告する外国からの米国への投資に関する非公式な約束によるものである。バイデン「前大統領下で発表された投資との比較も誤解を招く」と指摘し、バイデン政権は2025年1月、4つの法律の成立によって促進された製造業プロジェクトを約8,000億ドルと集計した」と述べている。

不法移民:トランプ氏は移民について、バイデン政権下での「4年間、何百万もの不法移民が全く審査も検査も受けずに国境を越えて流入してきましたが、今や私たちはアメリカ史上、最も強固で安全な国境を擁しています。過去9ヶ月間、不法移民はアメリカへの入国を一切認められていません。しかし、合法的に入国する人々は常に受け入れます。国を愛し、国を守るために懸命に働く人々です」と言った。タイムスは、「これは誇張である。トランプ大統領は、バイデン政権下で記録的な数、数百万人もの移民が不法に国境を越えたと指摘しているが、その多くは国境当局に拘束された後、出廷命令を受けて釈放された。トランプ政権はまた、不法越境を数十年ぶりの低水準にまで削減することに成功した。越境はバイデン政権末期にも減少に転じた。一連の大統領令とメキシコ当局との協力により、不法越境は記録的な低水準を維持していた」と説明している。

減税規模:トランプ氏はまた、「昨年、私は今議会に対し、アメリカ史上最大規模の減税法案を可決することでその使命を開始するよう促しました。そして共和党多数派は見事にそれを実現しました」と主張した。タイムスは、「これは誤情報である。保守系シンクタンクであるタックス・ファウンデーションによると、トランプ大統領が昨夏に署名し成立させた減税と国内政策パッケージは、経済規模で史上6番目に大きい。2017年の減税は8番目に大きい減税であった」と反論している。また、大統領は、昨年採決した巨額の減税が含まれる「この偉大なビッグ・ビューティフル・ビルにより、私たちはチップ税、残業税、そして偉大な高齢者のための社会保障税を廃止しました」と述べた。 タイムスは「これは誇張です。トランプ氏が昨年署名した彼の代表的な国内政策法は、チップと残業に対する控除を創設したが、これらの控除は一時的なものです。そして、社会保障給付に対する減税はさらに限定的です」という。

関税措置:トランプ大統領は、「外国が負担する関税は、過去と同様に、現代の所得税制度を実質的に置き換え、私の愛する国民から大きな経済的負担を取り除くことになると確信しています」と述べたが、タイムスは「これは誤情報である。トランプ氏は外国が米国の関税を支払っていると主張しているが、実際に関税を支払っているのは米国の輸入業者である。トランプ氏が緊急関税を違法に使用していたと認定した最近の最高裁判所の判決は、米国企業が関税を支払っていたことを裏付けた。政府は現在、関税を支払った企業に関税収入1,000億ドル以上を返還する予定である。昨年の関税収入は約3,000億ドルであるが、最高裁判所の判決により、その約半分を返還しなければならない」とタイムスが指摘している。

選挙不正:トランプ氏は、「私たちの選挙では不正行為が横行しています。本当に横行しています。彼らは不正をしようとしています。そして、不正行為をしてきました。彼らの政策はあまりにもひどいので、彼らが当選するには不正行為をするしかありません。私たちはそれを阻止します」と語った。タイムスは「これは虚偽である」と述べ、「いかなる定義にせよ、アメリカの選挙において違法に投じられた投票や外国人によって投じられた投票の数は極めて少ない。トランプ政権の国土安全保障省が行った調査によると、確認された4,950万件の有権者登録のうち、約1万件が外国人であることに関する追加調査に付託された。これは処理された氏名の約0.02%にあたる。トランプ氏が2020年の選挙で敗北し、それ以来ずっと執着している激戦州ジョージア州では、2024年に州務長官が、同州の登録有権者820万人のうち20人が米国市民ではないことを明らかにした。この20人のうち、前回の選挙で投票したのはわずか9人だった」と伝えている。

最後に、トランプ氏は、その他にも多数の虚偽、誤情報、誤解を招くスピーチを披露した。トランプ大統領の発言を鵜呑みにしてはならないことを警告したのはニューヨーク・タイムスの他にもCNN、AP News、Newsweek、NBC News、NPR、BBC、PBS、CBS、Fact Check組織を含む多数のメディアが含まれている 2020年の選挙は彼が勝利したと示唆する虚偽の発言、圧倒的に高い処方薬価格を支払ってきたアメリカ人は、今後は世界中のどこよりも安い価格で薬を買うことになる」との誤解を招く発言、汚職に関して、ミネソタ州ほど衝撃的な例はない。ソマリア人コミュニティのメンバーがアメリカの納税者から推定190億ドルを略奪した」とする「証拠のない、米国におけるソマリア移民について偏見に満ちた主張」をしている。これはその一部である。つまり、1時間47分のスピーチ全体が混乱に満ちていた。しかし、政権の官僚、共和党議員らは、これらのほぼ全ての大統領の発言に起立して拍手を送った。トランプ氏のスピーチは、中間選挙で多数派を失う可能性がある現状を懸念している真理を反映しており、バイデン政権の4年間の成果を過小評価および民主党を攻撃し、彼自身の過去1年間の成果を過大評価するだけでなく、虚偽、誤情報、誤解を与える発言を展開した。そして、不正投票が横行しているとの虚偽を繰り返し、再度選挙への不審を拡大する意図があることを示唆した。

アメリカ・ウオッチ- Yuko's Blogをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む