共和党にとって、中間選挙の見通しは暗いため、昨年から様々なことを述べ、試みている現役大統領は選挙を支配することに躍起になっている。ご承知のように司法省は50州に有権者の投票登録記録や個人情報を提供するよう要請した。その要請に協力しているのはほとんど完全なトランプ支持州のみである。次に、FBIはジョージア州の選挙センターから2020年の全ての選挙投票用紙を押収したことが確認された。最新の努力は、投票率を制限するため、郵便投票の禁止や投票時にIDを提示することを強制すること、さらに、選挙を連邦化するよう共和党議員らに圧力をかけていることであるが、最終的な手段として、選挙を管理する州の権利を略奪するため、大統領令によって緊急事態を発令することさえ検討しているという。
憲法は州が選挙管理を行うことを定めているが、トランプ氏は共和党議員らに、選挙管理を連邦化するよう呼びかけている。しかし、憲法改正を行わない限りそれは困難である。そして、大統領と彼の同盟者は現在、選挙に干渉する外国に対して大統領が緊急事態を宣言することを検討している。ホワイトハウスは、大統領令による緊急事態宣言を利用して、郵便投票を禁じる措置などを強化しようとしている。郵便投票の是非を決定するのも州であるが、そのような規定は連邦政府が決定するべきであると主張している。ワシントン・ポストが26日に伝えたところによると、ドナルド・トランプ大統領を支持する活動家らは、ホワイトハウスと連携し、「投票に関する大統領の異常な権限を行使できる国家非常事態宣言の根拠として、中国が2020年の選挙に干渉したと主張する17ページの大統領令草案を配布している。トランプ大統領は、11月の中間選挙で有権者IDの提示を義務付け、郵便投票を禁止する計画を繰り返し示唆しており、活動家たちは自分たちの草案が、この問題に関するトランプ大統領が約束した大統領令に盛り込まれることを期待している」という。
この大統領令の草案を支持するフロリダ州の弁護士ピーター・ティックティンは「憲法の下では、州の選挙の実施方法を実際に管理するのは州議会と州であり、大統領にはそれを行う権限はない」と述べた。ティクティンは2016年のトランプ氏の選挙運動がロシアと共謀したとして民主党がトランプ氏に損害を与えようと共謀したとして2022年に起こした訴訟で敗訴したトランプ氏の弁護団の一員であった。ティックティンは「しかし、大統領は外国の利害関係者が選挙プロセスに干渉していることを認識しているという状況です。これは国家非常事態を引き起こし、大統領はそれに対処しなければならないのです」と述べた。ティックティンはこの非常事態によって、大統領は外国の干渉の媒介物として郵便投票や投票機を禁止する権限を持つことになると主張した。しかし、「選挙に関する大統領の緊急事態宣言は、法廷で審理されたことはない。活動家たちは、前例として、選挙インフラを標的とする外国の団体に制裁を科すための緊急事態宣言を発令した2018年の大統領令を挙げている。ジョー・バイデン大統領はこの緊急事態を繰り返し延長し、2024年にはバイデン政権下の財務省がこの大統領令を用いてイランおよびロシアの団体に制裁を課した」という。
しかし、これは、現在トランプとティックティンが計画している内容とは一部性質が異なる。バイデン政権も含めて、歴代の共和党大統領は証拠もなく、民主党が選挙不正を行ったとの虚偽を広め、投票を弱体化する策略を強化しようとする大統領は過去に存在しない。また、トランプ氏が押している米国有権者資格保護法(SAVE法)は2025年には有権者登録申請者に米国市民権を証明する書類の提出を義務付け、連邦選挙での投票に厳格な写真付き身分証明書の提示を義務付けている。2026年2月11日に下院議会で可決した最新版は、これに加えて、対面投票と郵便投票に関する要件が追加されている。多くの有権者は、誕生証明やパスポートを取得することが物理的および経済的に困難であるとされている。SAVE法は下院議会で通過したが、上院議会では60票が必要なため、可決していない。トランプ氏は60票を必要とするフィリバスター(議事妨害)を廃止するよう共和党議員らに繰り返し呼びかけているが、共和党議員らは反対している。恐らく、民主党が多数派になった時に彼らを援助することになるので、将来のことを考慮して反対していると思われる。
中間選挙に関しては、敗北の恐れから、既に不正投票の警告をすることで、選挙の統合性を脅かしている。25日に報道したニューヨーク・タイムスによると、「トランプ氏は敗北を恐れる選挙の前にはしばしば不正を叫ぶが、今年は投票に関する脅迫、警告、そして虚偽の主張を激化させている」という。「年初には中間選挙の完全中止を検討していたが、側近は単なる冗談だと断言した。その後、共和党は中間選挙を全国規模で実施すべきだという考えに転換したが、側近はこれも撤回した。大統領は連邦政府が『介入』するという考えを改めて強調した」という。しかし、大統領の繰り返される不正投票の発言のため、「ホワイトハウスの指示を受けた国土安全保障当局は外国人による投票の調査を強化している」という。特に米国下院議会での権力維持のために、共和党が多数派を占める州に対し、昨年「異例の選挙区割り変更を迫り、全国的な選挙区割り合戦を引き起こした。」そして、トランプ氏は今月、大統領執務室で、下院議長マイク・ジョンソンを含む共和党議員らが伴う記者会見で、選挙を全国規模で実施すべきだという自身の提案について問われた際、「連邦政府は介入すべきだ。私の後ろにいる人々が何か行動を起こすべきだ」と述べた。現在、選挙の連邦化の考えは米国共和党議員らに圧力がかかっているようである。
この混沌たる状況について、2022年6月16日に下院特別調査委員会で証言した元連邦控訴裁判所の保守派判事J・マイケル・ラテッグは「ドナルド・トランプ氏は就任初日からこの1年間、アメリカ国民の目前で、中間選挙を覆そうとする連邦政府による広範な取り組みを画策し、主導してきた」と述べた。この判事は、当時の公聴会以降、トランプの厳格な批判者として知られるようになった。最近、大統領令が失敗に終わった例は、不法移民を弾圧するために、複数の民主党州に軍隊や連邦捜査官を派遣することで論争的となり、隊員が二人の米国市民を殺害したことで、トランプ氏の移民政策を支持する率は極度に低下したことである。郵便投票や投票時にIDを要求する大統領令が11月の中間選挙で利用される可能性があるかは不明であるが、国家非常事態宣言の草案を支持するトランプ氏の支持者であるティックティンでさえ、そのような大統領令は、憲法違反であることを認識していることも含めて、法的には不可能であるが、無法の大統領がそれを実施しないという保証もない。
ご承知のように中間選挙の勝利は、弾劾の可能性を懸念しているトランプ氏の政治生命に多大な影響があるため、特に選挙に関しては、強引に大統領令でそれを行う可能性を否定できる批評家は、現時点ではほとんどいない。2020年の大統領選挙ではバイデン(81,283,501票)がトランプ(74,223.975)を700万以上の票差で勝利し、選挙人獲得数も306対232により、バイデンが圧勝したにも関わらず、彼が敗北した選挙結果を否定し、2021年1月6日に議事堂で暴動を扇動したという前例を考えると、今年何が起きるか不明である。そのような懸念を表明するのは元判事ラテッグだけではない。議事堂での暴動による前例、およびトランプ氏の最近の言動に脅威を感じている民主党議員らは、「トランプ政権が連邦捜査官を派遣して投票所を標的にし、投票率を歪曲する可能性があること、司法省が民間の有権者名簿データを悪用する可能性、政府が投票機を押収する可能性、共和党議員が民主党の当選者の議席確保を拒否する可能性」など、様々なシナリオを懸念しているようである。米国下院議会の民主党少数派リーダーであるハキーム・ジェフリーズは、最近のインタビューで「トランプ氏と共和党が、人為的に多数派を維持するためにあらゆる手段を講じる可能性に備えて、これまでとは異なる方法で準備する必要がある」と述べた。何しろ、第二期の大統領は、忠誠者のみで構成された官僚と指導層に囲まれている。彼らは大統領の非合法で理不尽な要望に沿うよう努力しているという点でも第一期とは異なる状況がある点も考慮する必要がある。