極めて不安定なイランと米国間の停戦合意

停戦合意後のホルムズ海峡 Photo credit : Bernama

イランとトランプ政権は期限数時間前に、米国とイスラエルによる対イラン攻撃をわずか2週間停止するという一時的な停戦合意に至ったとされている。イスラエルはトランプ大統領に同意したとされているが、レバノンはその対象にはならないとし、依然として、激しく攻撃している。そして現時点で、合意後もホルムズ海峡での船舶の往来はほとんど見られないと言う。

ドナルド・トランプ大統領は、彼が設定した午後8時の期限のわずか90分前に、イランに対する米国/イスラエル両国による攻撃の2週間にわたる停止に同意した。同様に同意したイランは、同国が保持していると主張するホルムズ海峡を再開するという。トランプ大統領はソーシャル・メディアへの投稿で、「ホルムズ海峡の完全かつ即時、そして安全な開放」にイランが同意することを条件として、イランのエネルギー・インフラや橋梁に対する大規模な攻撃計画を一時停止することに合意したと述べた。ホルムズ海峡は、世界の石油・ガス供給量の約20%が通過する極めて重要な航路である。ホルムズ海峡の再開は、トランプ氏の「文明全体を抹殺する」という脅迫を取り下げ、外交交渉の継続に向けた猶予を与えた翌朝のことである。これは 外交継続のため、二週間の一時停止は維持される可能性があるとされている。

一方、イスラエルはイランが支援するヒズボラとの戦闘を続けており、停戦の合意があった同時期もレバノンでの攻撃をエスカレートしていると言う。8日には最大規模の爆撃を行った。ニューヨーク・タイムスの報道によると、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「レバノンはイランとの停戦の対象から除外される」との発表を行い10分間に100回を超える空爆を行なった。ランチタイムが過ぎた頃、ほとんど予告なしにレバノンの首都ベイルートや国内の各地の人口密集地で戦闘機による激しい攻撃を行った。一連の攻撃により少なくとも89人が死亡し、約700人が負傷した。これらの数値は、レバノン保健省の報道官リダ・アル・ムサウィ氏によるものである。レバノンのジョセフ・アウン大統領は、8日の砲撃を受け、イスラエルが「虐殺」を行ったとして非難した。

トランプ氏は前日、イランがホルムズ海峡を商船が安全に通過することを認めなければ、同国の「文明全体」を消滅させ始めると脅迫していた。しかし、8日、イランがホルムズ海峡を安全に再開することに同意したと述べた。国防省の長官ピート・ヘグゼスは、イランとの合意に関する詳細について公表していない。統合参謀本部議長、ダン・ケイン将軍はホワイトハウスでの記者会見で、「統合部隊は、命令あるいは要請があれば、戦闘作戦を再開する準備が整っている」と述べた。米軍は、ホルムズ海峡における安全な船舶通過を援助することや、トランプ氏が強く押している埋蔵ウランを引き渡しに関連する役目を果たすことになると言う。現在のところ、イランがそれに同意したという証拠は確認されていない。

ワシントンポストの報告によると、イランの国営メディアや海上交通監視機関は、8日の早朝に2隻のタンカーが許可を得て通過したものの、合意後もホルムズ海峡での船舶の往来はまだ停止されたままの状態であるという。さらに、ペルシャ湾岸諸国のアラブ首長国連邦、カタール、クウェート、バーレーンは8日、「飛来する攻撃があった」と報告した。これは、停戦状況がまだ「極めて不安定な基盤の上にあることを示す兆候」であると言う。ホワイトハウスで記者団に日々、大統領の考えを代弁する報道官キャロライン・リービットは、合意の一環として、イランはウランの放棄に応じる意向を示し、レバノンは停戦の対象に含まれていないと語った。

最後に、一時停戦の合意のニュースを受けて、株式市場は大きく反応した。市場が閉じた時点で、ダウ工業平均株は1,326ポイント(2.85%)の高騰を示した。一方、オイル産業の株は下落したものの、ガソリンの値段は、現時点で早急な変化を示していないようである。要するに、イランも米国も合意に達したと述べているが、ペルシャ湾岸諸国は「飛来する攻撃」があったと報告しており、イスラエルは南部レバノンで最大規模の爆撃を行い、ホルムズ海峡での船舶の往来は停止したままの状態であり、国防省は合意の証拠を公開していないことなど、それぞれの合意の解釈は異なっている可能性があるような印象を与えている。つまり、この合意は何かが妙であるように思われる。

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