海上封鎖は戦略的に効果があるだろうか?

週末、パキスタンのイスラマバードで、副大統領JDヴァンスは21時間におよぶイランとの協議を行ったが合意に至らず、和平交渉は決裂した。この癒着状態に直面した後、ドナルド・トランプ大統領は、海軍による海上封鎖を命じ、13日東部時間午前10時に有効化すると12日に伝えた。この状況は、中間選挙までにガソリン価格が下がるどころか、逆に高騰する可能性が益々高くなる。再選に直面している共和党議員らは益々悩まされることになる。

大統領のこの決定は、イランのエネルギー・インフラに対して、爆撃を行う様な過激な紛争に戻ることを示唆していないが、イランの経済の柱であるオイルを輸送するタンカーや船舶を封鎖すれば、イランは経済的に行き詰まり、米国が求めている要求に対する公式協議に戻る可能性を期待したものであるとされている。つまり、トランプ氏の戦略は、イランの経済的「生命線を断ち切ろうとする構えである。その生命線は輸出全体の50%以上を占め、政府歳入のほぼすべてを賄っている石油」である。しかも、イランは先週、ホルムズ海峡を通過する船舶に対して通行料を徴収し始めたため、イラン政府は歳入源を確保し始めた後に、米国海軍による閉鎖は、経済的に深刻な損失を与えることになる。

ヴァンス副大統領が週末の交渉で、イラン側に差し出した要求のリストは、「イランが保有するウラン備蓄を『一粒残らず』すべてを引き渡すこと、核燃料生産のための巨大なインフラを恒久的に解体すること、そしてホルムズ海峡における航行規制権の主張を放棄すること、という項目から始まっている。大統領の第一の狙いは、イラン政府に対し、提示したこれらの条件を無条件に受け入れさせることにある。もっとも、イラン側はこの条件を拒絶している。それは、2月28日に戦争が勃発する前のジュネーブでの交渉において、同国が条件を拒んだのと全く同じ反応であった」と13日にニューヨーク・タイムスが伝えた。そのような米国大統領の「狙い」に加えて、2月28日にイスラエルとの合同作戦によるイランに対する軍事攻撃を開始した時、「国内で不満を募らせる」イランの国民が政府を転覆させるという希望をトランプ氏は今でも抱いている様であるという。しかし、「そのような結果を意図的に引き起こすことは、1ヶ月半前と比べて何ら容易になっているわけではない。なぜなら、イランは戦争開始から最初の5週間で軍事的な勝負には敗北したものの、情報戦の領域においては予想以上の成果を上げ、精密なミサイル攻撃やドローン攻撃を駆使して近隣諸国を恐怖に陥れることに成功した。そうした状況を鋭く認識しているイランは、トランプ氏が耐えうる『政治的な苦痛』の許容範囲には限界があるとみている」と同紙は指摘する。

さらに、米国海軍によるホルムズ海峡の封鎖は、米国での政治的側面で幾つかのマイナス点がある。政治的には、「もし、イラン産の石油が一切、海峡を通過できなくなった場合、原油価格は今後も上昇の一途をたどる可能性がある。一部の企業は、1バレルあたり175ドルという価格水準を想定して計画を立てているとさえ言及している。イラン側は、中間選挙まで残り7ヶ月を切ったこの時期に、米国国内でインフレが継続することによって生じうる政治的な影響の大きさを、十分に理解している」という。一方、戦闘が終結すればガソリン価格は下落するだろうとしていたトランプ氏は12日、フォックス・ニュースに対し、「中間選挙の時期における価格は『ほぼ横ばい』となるはずであり、あるいは『わずかに上昇する』可能性もあると語った。これこそまさに、多くの共和党候補者たちが最も恐れている事態である」とタイムスは伝えている。加えて、海軍による海上封鎖は、戦略的に効果があるかという疑問も提起されている。たとえば、「封鎖措置の適用対象」は、あくまで「イランの港湾に向かう、あるいはイランの港湾から出航する船舶」のみに限定されている。「その他の湾岸諸国から積み出される貨物については、機雷への接触や、イランの高速艇・無人機による攻撃を受けるリスクを承知の上で、通過が許可されている。また、どの船舶がイランに対して通行料を支払ったのかを、米国がどのような基準で判別するのかについても、依然として不明瞭なままである。」

トランプ大統領は12日、和平交渉が合意に至らなかったと発表し、13日から限定的な海上封鎖が開始されることをソーシャル・メディア上で警告し、イランの港湾に出入りするすべての船舶の航行を停止すると発表した。この閉鎖は、イランを追い詰める意図によるものであるが、イランは「追い詰められている様子」を示していないだけでなく、むしろ、自信を高めているという。ワシントン・ポストの13日の報道によると、「広範囲にわたる破壊と多くの高官の暗殺」という劇的な損失を受けたにもかかわらず、「こうした生存の認識は、テヘランの強硬派を勢いづかせた。彼らは、米/イスラエル軍機による攻撃は、イランが潜在的な核の脅威に対する抑止力を開発する必要性をさらに裏付けるものだと主張している。イスラム革命防衛隊の司令官らは、米海軍の作戦を『海賊行為』と非難し、報復として湾岸の港湾を標的にすると脅迫した。当局者らは、世界最強の軍事力による最悪の攻撃をこれまで耐え抜いてきた政権の自信を誇示した」という。一方、トランプ大統領の停戦合意に積極的ではなかったイスラエルの指導層は、戦闘再開の可能性に備え、警戒態勢を強化するよう指示したという。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は12日、テルアビブで安全保障当局者らとイランでの戦闘再開の可能性について協議し、「あらゆる事態に備える」構えを示したという。

トランプ大統領は、海上封鎖がイランを交渉のテーブルに戻すと信じているかもしれないが、軍事アナリストは、この戦略は、米国の海軍を危険な状況に追いやると懸念している。「この作戦は紛争を最も危険な局面へと押し進めるだろう。なぜなら、両国が至近距離で直接対峙することになるからだ。イランは封鎖されたからといって、すぐに交渉のテーブルに着くわけではない。軍事的に対応するだろう。彼らはそう明言している。ペルシャ湾周辺に集結した米軍の能力の範囲内ではあるものの、計画されている米海軍による海上封鎖は深刻な軍事的障害に直面する可能性がある。狭い海峡は米軍艦艇を、イランの機雷、沿岸ミサイル、そして多数の化学兵器が潜む閉鎖的な水路へと追い込むことになると警告している」という。

要するに、交渉が癒着状態に陥った後、イスラエルの攻撃性とは異なり、トランプ政権が海上封鎖することで、ヴァンス副大統領を通して米国が提示した要求にイランが応じるかもしれないとして、トランプ大統領はイランを試している可能性があると示唆した。軍事アナリストらは、もっと現実的で厳しい結果になる可能性を警告している様である。イランは、政治的ダメージによるトランプ大統領の許容度には限界があると見ている様であり、双方がお互いを試している可能性があることを示唆している。しかし、米国の一般的国民は、潜在的に長期的なガソリンの高騰が直接彼らの生活を脅かす場合、その状況を変えるために彼らに与えられた唯一の権利は選挙であることを知っている。つまり、トランプ大統領が始めた戦争はいつ終結するのか、その見込みがない状況で、共和党議員らは益々両院で多数派を失う可能性が高くなることを恐れているということである。しかし、共和党議員らは、下院少数党リーダーのハキーム・ジェフリーズが先週、戦争を恒久的に終結させるための決議案を採決するため直ちに会期を再開するよう要求したが、共和党議員らは、この要求を無視したという。彼らは、彼らのボスには立ち向かえない自分たちの無力さを受け入れていることも示唆している。

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