(連載1)ルイジアナ州の選挙区割りに関する最高裁の判決は混乱を招く可能性あり

Photo credit : Tour Louisiana.com

米国最高裁は29日、人種的に集中しているルイジアナ州の黒人多数派選挙区のジェリーマンダーは憲法に違反するとして、この地図を打破した。この判定は、米国最高裁の保守派が引き続き、投票権を弱体化する方向に導いていることを示唆している。この決定により、中間選挙での予備選が近づいていた同州の知事は、予備選を延期する決定を下した。他、幾つかの州も11月の中間選挙前に選挙区割りを書き換える動きを示している。

米国最高裁判所が2026年4月29日に公開したLOUISIANA v. CALLAISの判例における92ページの意見書によると、ルイジアナ州は2022年、連邦議会選挙区の区割り改定を行った後、訴訟に発展した。連邦判事は、2022年版の区割り図には黒人多数派の選挙区が設置されていないことを理由に、同区割り図が1965年投票権法第2条に違反する可能性が高いとの判定を下した。これを受け、同州は黒人多数派選挙区を含む新たな区割り図を策定したところ、今度はこの新区割り図に対し、人種に基づく不当な区割り操作にあたるとして異議が申し立てられた。担当した3名の裁判官による合議法廷で争われた裁判で、その黒人多数派選挙区が合衆国憲法修正第14条の「平等保護条項」に違反するとの判決を下し、これを受けて、同州は米国最高裁判所に対し上訴を行った。

当初、当事者らは本訴訟に関する書面提出および口頭弁論を行い、その際の主張は、第2条に関する既存の判例群が抱える諸問題を浮き彫りにした。その問題の一つは、人種に基づくジェリーマンダー(選挙区割り)に関する訴訟においては、人種差別を主張する他の訴訟とは異なり、州の意思決定プロセスにおいて人種が「支配的な要因」として働いた場合に限って、厳格審査が適用されるとする規定に起因するものであった。もう一つの問題は、投票権法を遵守することが、選挙区画定において人種を意図的に用いることを正当化し得る「やむにやまれぬ理由」となり得るか否かという、長らく未解決のままであった問いに由来するものであった。30年以上にわたり、米国最高裁は議論の便宜上、その問いに対する答えを単に「是」であると仮定し続けてきた。これらをはじめとする諸問題により、裁判所は、投票権法への準拠が、人種に基づく選挙区割りを行うための「説得力ある理由」として果たして成立し得るのか否かについて、決着をつけるべき時が到来したと判断するに至った。

従って、米国最高裁は2025年3月および10月に2回、この判例による審理を行なった。3月の最初の口頭弁論では、ルイジアナ州側は2022年に策定された選挙区割りを擁護する立場から、下級裁判所が、黒人多数派の選挙区を2つ設けた新たな区割り案を採用するよう命じた後、州側が注力したのは人種の問題ではなく、マイク・ジョンソン下院議長や下院歳出委員会に所属するジュリア・レトロー下院議員など、同州出身の有力な共和党現職議員を保護するような区割り案を作成することであったと主張した。一方、2024年の選挙区割りの妥当性を争っている「非アフリカ系アメリカ人」の有権者らは、2024年の区割り案の形成において、人種と政治的要因の双方が等しく影響を及ぼしたとする見解は「完全に信憑性に欠ける」ものであると最高裁判事らに訴えた。しかし、10月に米国最高裁判事らが2回目の口頭弁論を開く頃には2024年の選挙区割地図を擁護し続けていたのは、黒人有権者からなる原告団のみであった。ルイジアナ州および「非アフリカ系アメリカ人」の有権者らは、たとえ、投票権法「第2条」の要請に従う目的で行われたとしても、人種を基準とした選挙区割りは憲法違反にあたると主張した。トランプ政権は、最高裁が投票における差別を禁じる投票権法「第2条」の規定そのものを全面的に無効化すべきだとは主張しなかったものの、3名の連邦地方判事が下した判決を支持するよう、最高裁判事らに強く求めた。

2026年4月29日、「非アフリカ系アメリカ人」有権者グループは、ルイジアナ州の人種に基づく選挙区割り(ジェリーマンダー)は憲法違反であるとして、ルイジアナ州の連邦議会選挙区割り図を無効とするよう求めていた。控訴裁判所は、このグループの主張を支持しており、米国最高裁は6対3の多数決により、同州に存在する最近設置された2つ目の「黒人多数選挙区」を含む選挙区割り図を使用することを禁じたルイジアナ州西部地区連邦地方裁判所の判決を保持した。最高裁保守派判事6人の多数派意見を代表したサミュエル・アリート判事の結論は、投票権法はルイジアナ州に黒人多数派選挙区を新たに設けることを義務付けていないとし、同州の選挙区割りは違憲の人種差別的ジェリーマンダーであると判断した。選挙区割りの主要因として人種を用いることは正当化されないと述べている。2024年に黒人多数派選挙区を設置した2番目のルイジアナ州の選挙区割りは、過去の差別に対する必要な救済策ではなく、「違憲の人種差別的」ジェリーマンダーであり、この場合、人種に基づく選挙区割りを正当化するためには「意図的な差別があったという強い推論」が必要であると述べている。アリート判事の判決は、特に、ルイジアナ同様の選挙区割り図を作成している州に党派的な地図を作成する動機を与えており、共和党が支配する州の議会共和党議員らにも更に党派的なジェリマンダーを行う機会を開いている。

アリート判事の多数派意見に反対し、少数派の意見を書いたリベラル派のエレナ・ケーガン判事にソニア・ソトマヨォア判事、およびケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事が参加した。ケーガン判事は、文頭で、ルイジアナ州は「苛烈な人種差別の長い歴史を持つ地域であり、居住地の分離や政治的分断を含め、その多大な影響は今日なお、依然として深刻なものとして残っている」と述べ、「黒人住民は民主党候補に圧倒的な票を投じる一方、白人住民は共和党候補に圧倒的な票を投じている」と述べた。黒人は大多数が民主党に所属している事実があることに触れ、人種と党派はしばしば一体であるとし、結局のところ「投票権法」第2条を事実上「無力化」するものだと主張した。「それは人種に基づく投票権希釈の、最も典型的な形態である。地理的にも政治的にも結束が固く、かつ人種間の分断に起因する絶え間ない逆境に直面しているある少数派地域社会は、その選挙上の影響力をすべて失うよう、「マイノリティによる一票は、非マイノリティの有権者による一票と等価ではなくなる」ように「クラッキング(分断)されてしまう」と述べた。(続)

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