(連載2)ルイジアナ州の選挙区割りに関する最高裁の判決は混乱を招く可能性あり

そして、ケーガン判事は「彼ら(黒人)の投票は、他の人々の投票に比べて重要性が低く扱われ、政治的な発言力としても十分に反映されません。あるいは、本法廷が最近の判決で述べたように、この『クラッキング』という手法は、マイノリティによる一票を、非マイノリティの有権者による一票と比べて不平等なものにするのです」と述べている。「こうした事情から、連邦議会は『投票権法』において、その慣行を違法と定めた。同法の第2条は、あらゆる人種集団の構成員に対し、『自らが選ぶ代表者を選出する』ための平等な『機会』を保障している」と書いている。しかし、「第2条に関する裁判所の新たな見解の下では、州はいかなる法的帰結を招くこともなく、組織的に少数派市民の投票権を希釈することが可能となる」と述べている。

更に、「本日の決定により、第2条は事実上、死文同然のものと化してしまった。 依然として同法が意味を持ち続けている州、すなわち、 居住地の分離や人種によって投票行動が二極化しているといった特徴が 今なお残る州において、少数派の有権者は今や、 選挙プロセスから分断され、排除されてしまう恐れがある。本件の決定は、ルイジアナ州第6選挙区に関するものである。 しかし同時に、ルイジアナ州第2選挙区に関するものでもある。そして、他の多くの選挙区、とりわけ南部において、過去半世紀にわたり少数派市民、とりわけアフリカ系アメリカ人に、政治の場における 実質的な発言権を与えてきた数々の選挙区に関するものでもある。 今日を境に、他の州がルイジアナ州の先例に倣うならば、 そこに居住する少数派市民は、もはや自らが選ぶ候補者を 当選させるための平等な機会を失うことになる。」

そして、「政府機関における少数派の代表者数は、激減するであろう。『投票権法』を破壊せんとするこの司法上の企ての第一段階において、 本裁判所は、第5条はもはや不要であると主張した。その根拠として、 近年の数十年間でアフリカ系アメリカ人が過去最多の人数で 公職に就くに至ったことを挙げたのである。そして今、この最終段階において、本裁判所が第2条を骨抜きにしたことは、 まさにその『達成』を危機に晒すものとなっている。」ケーガン判事は「 私は本決定に反対する。なぜなら、連邦議会はこれとは異なる選択をしたからである。 私は本決定に反対する。なぜなら、本裁判所は、連邦議会が制定した偉大なる法律を忠実に執行するという自らの責務を裏切ったからである。 私は本決定に反対する。なぜなら、本裁判所の決定は、 連邦議会が授けた選挙の機会における人種平等という 基本的権利を後退させるものだからである」との強い反対意見を書いた。

ルイジアナ州では6区ある選挙区の中で、二つの地区を黒人多数派選挙区として、一般的な人種差別とは関連しない理由による区割り(ジェリマンダーが)行なわれていたが、最高裁は、これが人種的なものであるとして無効にした。これにより、ルイジアナ州は30日、期日前投票が始まろうとしていた矢先に連邦議会予備選挙の実施を延期した。同州は11月の中間選挙前に地区割り図を書き直す必要に迫られており、最高裁の判定後、同州では混乱が生じ、新たな、法律に準拠した選挙区割りを承認するため、ルイジアナ州知事は、5月16日に予定されていた連邦議会予備選挙を延期すると発表した。

一方、他州の共和党当局者に対しては、投票権法を大幅に弱体化させる最高裁判決を受け、米国下院議会の選挙区割りを再策定するよう求める圧力が高まっている。下院議会の共和党議長マイク・ジョンソンは30日、下院議会の多数派を維持するため、南部州に新たな選挙区を作成するよう呼びかけている。最高裁の判定直後上院議会テネシー州の共和党上院議員マーシャ・ブラックバーンも彼女の州議会が選挙区割りを作成するよう要求したと報告されている。同州の知事選に出馬しているブラックバーン上院議員は州議会に対し、今年中に再招集し、メンフィスの黒人多数派選挙区を廃止する新たな選挙区割り案を可決するよう求めた。ブラックバーン議員は、「テネシー州を共和党の地盤として維持することを誓いました。この案を実現するために全力を尽くします」と述べた。テネシー州の議員たちは、以前、テキサスやカリフォルニアを含む他の州で昨年から広がりを見せていた「ジェリマンダーの波に対し、抵抗の姿勢を示していた」ため、選挙区割りをさらに自党に有利な形へと調整することにおいて、困難に直面する可能性がある。

フロリダ州は、先週すでに共和党知事ロン・デサンティスが選挙区割りを考慮していると公表した。29日には州議会が最大4議席を共和党寄りの選挙区とする新たな区割り案を承認し、デサンティス知事による署名を待っている状況である。同州では、他の議員が犠牲になるような党派的区割りを憲法が禁止しているにもかかわらず、非常に早いこの動きは国民投票という民主的なプロセスは含まれていないため不法の疑いで訴訟に直面する可能性がある。アラバマ州やミシシッピー州では民主党が標的とされる恐れがある。同州では3月に予備選挙がすでに実施されたものの、共和党知事は最近、新たな司法管轄区の区割り検討を目的とした特別議会を招集した。共和党が両院で多数派を占めるアラバマ州では、ケイ・アイビー知事は5月1日、アラバマ州議会の臨時会を5月4日から招集するよう動いた。地元紙アラバマ・リフレクターの報告によると、その目的は、一部の選挙区において5月19日の予備選挙の日程を延期すること、そして連邦裁判所が以前に却下した連邦議会選挙区および州議会選挙区割り図の使用を許可することにある。この動きは、アラバマ州の司法長官スティーブ・マーシャルが4月30日に米国最高裁判所に対し、2030年まで州の連邦議会選挙区の区割り変更を禁じていた差し止め命令の解除を申し立てた翌日に講じられたものである。5月1日の午後早い時点で、米国最高裁はこの申し立てに対する判断をまだ下していない。

最後に、エレナ・ケーガン判事が痛烈に批判したように、米国最高裁の多数派判事らは、2026年29日に党派に沿って6対3で、ルイジアナ州の2024年の選挙区割りにおいて、他の州が将来の選挙区割りを変更する際、少数派有権者の投票権の重みを希薄化させるような手段をとる道を開いた。米国最高裁の保守派判事らは、過去に投票権法の一部を弱体化する判定を下している。ルイジアナ州と同様の問題に直面しているテネシー州メンフィス地区の民主党州議員らは、同じ地区ではメンフィス近隣にある「少なくとも1つの共和党現有議席を危険にさらすことなく、新たな共和党優勢選挙区を設けることが可能であるかについては、一部に懐疑的な見方がある」という。選挙区割りは必ずしも国勢調査が行なわれる2030年後まで待つよう厳格に規定されていないため、その中間またはほぼ中間の年である2025年及び2026年に共和党多数派の州議会の一部は、予備選を延期してまで、選挙地図の書き換えに挑戦するようである。国民投票も行わず、緊急な動きには混乱が生じる可能性があるにも関わらず、これら共和党州の権力争いは熾烈なものがある。いずれにしても、11月の中間選挙は大統領の対イラン戦争により、経済への不満が強化された中で、大統領に対する支持率が底をついたことで、多数の共和党州が米国下院議会の多数派を維持できたとしても、米国上院議会では共和党が多数派を失うとの懸念があるとされる政治的環境が変化したわけではない。(完)

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