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2026年5月18日、ドナルド・トランプ氏は自身の政権下にある内国歳入庁(IRS)に対する訴訟を取り下げ、その代わりに納税者の税金から巨額の和解金で「反武器化基金」の設置をすると発表した。その直後、93人の米国下院民主党議員らはその基金の設置を防ぐため、裁判所に法廷助言書を提出した。5月19日の米国上院歳出委員会の公聴会で、米国司法省の長官代行を務めるトッド・ブランシュは約18億ドルの基金が有罪判決を受けた米国議事堂の暴徒らに提供されるのかどうかについて、明白にしなかった。この暴動事件で、暴徒らに対抗した警察官の中で、二人は20日の今日、この資金が、暴徒らに提供されることを防ぐために訴訟を提起した。今週のこれら一連の展開は、何を示唆しているだろうか?
ご承知のように、トランプ政権による「反武器化基金」の設置は、米国上院議会多数派リーダーであるジョン・スゥーン氏でさえ、反対の声が上がると認めたように、既に困難に直面しており、それは続く可能性があることを示唆した。2021年1月6日、暴動に対抗し、その後メディアのインタビューを頻繁に受けた当時連邦議会警察の巡査であったハリー・ダン氏(右)とワシントン首都警察のダニエル・ホッジス巡査(左)は、20日にトランプ政権のこの基金は違法であるとして訴訟を提起した。この二人の警察官は、トランプ大統領のために暴力を振るった暴徒や団体に報いるためのスラッシュ・ファンドと呼ばれる「裏金」をトランプ政権が創設したと批判し、約18億ドル基金の創設を阻止しようとしている。彼らは、2021年1月6日、議会による選挙結果の認定を阻止しようとした暴徒や右派民兵組織に報いるために利用される基金は非合法であると述べている。
2026年5月20日に提起された29ページの訴訟状によると、原告であるハリー・ダン氏とダニエル・ホッジス氏は、被告として、米国大統領ドナルド・トランプ、米国司法省代行トッド・ブランシュ、米国財務省長官スコット・べセントを告訴した。そして、「今世紀において最も露骨な大統領による汚職行為として、ドナルド・J・トランプ大統領は、自らの名の下に暴力を振るう反乱分子や準軍事組織に資金を供給するため、17億7,600万ドルもの税金充当の裏金を創設した。『反武器化基金』と称される本基金は違法である。その達成を認めるいかなる成文法も存在せず、その前提となる和解合意は腐敗した欺瞞に過ぎず、またその設定は合衆国憲法および連邦法に違反している。本基金は、2021年1月6日に連邦議会議事堂を防衛した警察官である原告(の生命と安全を、二つの側面から脅かすものである。第一に、本基金はその存在そのものによって、大統領の名の下に暴力を振るった者たちに対し、今後も同様の行為を継続するよう助長するものである。ダンおよびホッジスは、すでに日常的に、生命や身体に対する信憑性のある脅迫に晒されているが、本基金はそうした危険性を著しく増大させることになる。第二に、もし、本基金による支払いの開始が許容されれば、それは、あの日原告らの生命を脅かし、現在もなお脅迫を続けている暴徒、準軍事組織、およびその支持者らによる暴力的な活動に対し、直接的な資金援助を行うこととなる。さらに、米国における準軍事組織への公的資金提供を阻止し、また原告らをさらなる暴力から守るため、当該基金は解散されなければならない。ダンおよびホッジスは、この救済措置を求めるべく、本訴を提起するものである」と述べている。
「ダンおよびホッジス氏は、今年にトランプ大統領とその二人の子息、ならびにトランプ組織は、本年1月に2017年および2020年に発生した彼らの納税申告書の流出に起因するとして、100億ドルの損害賠償を求め、IRS(米国歳入庁)を提訴した。「訴訟は、明らかに不当なものであった。トランプは現職大統領として、原告であると同時に、すべての被告を直接支配する立場にあったため、本件訴訟には『当事者間の対立性』が欠如していた。すなわち、合衆国憲法第3条に定める『事件または争訟』が存在せず、したがって『事物管轄権』も存在しなかったことを意味する。トランプ自身も、この対立性の欠如を事実上認めていた。本年に入り、彼は本件訴訟について、『自分自身との間で和解を取りまとめなければならない』事案であると述べているからである」と記述している。
ニューヨーク・タイムスの首席法務担当特派員アダム・リプタックが20日に伝えたところによると、トランプ氏の18億ドル基金は「憲法の限界を試す」ものであるという。今年1月、マー・ア・ラゴへ向かう機内で、トランプ大統領はIRSを相手取った100億ドル規模の訴訟について「私は、私自身と和解案をまとめることになっているのだ」と語った。ミシガン大学法学部のサミュエル・バゲンストス教授は「大統領が今回行ったことに対し、いかにして法的な異議申し立てを行うべきか、その枠組みを考えること自体が極めて困難です。だからといって、誰も試みていないわけではありませんし、何らかの試みが成功しないとも限りません」と述べた。事実、 1月6日に連邦議会議事堂の防衛に務めた警察官の中の2人は、この新たな基金の阻止を試み、水曜日にトランプ政権を提訴した。しかし、「彼らが訴訟を提起する原告適格あるかどうかは定かではない」が連邦議会には間違いなく、「行動を起こす権限が備わっている」からである。「現在連邦議会は実質的にその義務を放棄したかのように見える」が、憲法は、連邦政府の財政を管理する権限を議会に付与している。米国最高裁判事サミュエル・アリートは2024年に「いかなる金銭も、法律による歳出予算の決定に基づかなければ、財務省から支出されてはならないと憲法は定めている。議会は他者に譲り渡すことのできない重要な義務を課すものである」と書いた。「これは、連邦政府を相手取って様々な法令に基づき提起された訴訟において、裁判所の判決や和解金の支払いに充てるため、恒久的で支出額の上限も設けられていない『判決基金』を創設した際のアリート判事の意見書」である。
今週「5月18日に発表された司法省の報道資料によると、今回の件における『原告』、すなわちトランプ氏とその家族は『正式な謝罪を受け取るものの、金銭的な支払い、あるいは損害賠償金等の類は一切受け取らない』とされている。ホワイトハウスは、この条項を根拠として今回の基金の正当性を擁護している」が、18億ドルに近い「公的資金の支払いを、自らの盟友たちへと誘導できる機会には、それなりの価値があると言えるだろう。 また、税務調査を受けるという脅威を排除できたことにも、同様に価値がある。2024年、ニューヨーク・タイムス紙は、トランプ氏が1億ドルを超える税負担を負う可能性があると報じた。 今回の合意には、他にも疑問視されるべき点があった。 IRS側には、トランプ氏の訴訟に対する十分な防御策である反論材料が揃っていた。例えば、それは時効によってすでに請求権が消滅していた可能性が極めて高いものであった。トランプ氏が請求した金額もまた、その機関の年間予算とほぼ同額にのぼるものであった。」
さらに、「この訴訟は一見して明白な『共謀』によるものであり、通常であれば裁判官が訴えを却下するに足る理由となるようなものであった。 19日に和解合意に追加された付則、つまり、トランプ氏とその家族に法的免責を与えることを意図したその条項は、それ自体が新たな法的疑問を提起する」ものであった。ミシガン大学法科大学院のサミュエル・バゲンストス教授は『大統領が今回行った一連の行為に対し、いかにして法廷闘争という形で異議を申し立てるべきか、その方策を練ることは極めて困難です。しかし、だからといって人々が挑戦を諦めているわけではありません。何らかの試みが成功する可能性がないというわけでもありません。これは極めて異例かつ衝撃的な性質を帯びた文書だと言えます』と述べた。2024年、米国最高裁は公務遂行上の行為に関して、トランプ氏に広範な免責権を認めた判決下であっても、納税申告書の提出のように純粋に私的な性質を持つ行為については、大統領職を退き一般市民となった後に、刑事訴追の対象となり得る余地が残されている。今回の付則が、将来の政権によるそうした訴追の動きを阻止し得るのかどうかは、現時点では定かではない」という。
最後に、「和解合意に追加された付則」とは、19日にトッド・ブランシュが記載した文章である。その中で、同氏は「和解合意書は、司法長官に対し、基金に必要なその他の資金確保に関する命令を発するよう指示した」と述べている。タイムス紙のアダム・リプタック氏によると、「トランプ氏は訴訟を取り下げ、自らの政権から、政治的盟友に分配するための約18億ドルの基金を創設するという約束を取り付けた。その翌日、トランプ氏の元弁護士で司法長官代行を務めているトッド・ブランシュ氏は、不可解な追記の中で、トランプ氏を多くの事柄、とりわけ納税義務に関する訴訟から免責すると主張した。ブランシュ氏は、米国政府は『法廷闘争および/または武器化』や納税申告書に関するトランプ氏に対する訴訟は『永久に禁止され、排除される』と記した」と述べている。
納税者の資金による約18億ドルの基金設置に関連する一連の事件について、不明な点は複数あると思われる。第一、現政権は、約18億ドルの基金の用途を明白に示していない。トッド・ブランシュの19日の証言だけでは不十分であり、誰かどれほど受理したかについては、事後報告となり、更なる混沌が生じる可能性がある。その為、18日に93人の米国下院民主党議員らがトランプ政権による17億7,600万ドルの基金を阻止するため、フロリダ州の連邦裁判所に提出した法廷助言書も利益相反や「反武器化基金」の設置が違法である事、原告と被告がいずれもトランプ氏であり対立性がないことなどを挙げている。加えて、20日の今日、ハリー・ダン氏とダニエル・ホッジス氏が提起した訴訟状は、議事堂を襲撃し、有罪判決を受けた1,600人に支払われることに疑いの余地はないと述べ、資金を提供することで、再度同じ暴動を起こすよう奨励していると示唆した。あの日、暴徒らが暴力を利用したことは、ビデオや証言の記録が証明している。大統領はそのような人々にすでに恩赦を与え、投獄から解放しただけでなく、司法の武器化によって被害を受けたと主張する暴徒らに対して、この資金が利用されるのであれば、これは前代未聞の大規模の腐敗となる。 特に、現政権下で、司法省武器化の犠牲になっている人々にも支払われることがない場合、今日提訴した警察官らが抱く懸念は正当化されることになる。その最も顕著な例は、元FBAディレクター、ジェイムス・コミである。この基金が認可され、彼がこの資金の一部を受理するために申請書を提出した場合、支払われるだろうか?恐らく、その答えはノーである。なぜなら、「反武器基金」の設置に関与しているトランプ氏の元弁護士で現在司法長官代行を務めるトッド・ブランシュは、トランプ氏の指示に従い、コミ氏を政敵として、最近2回目の訴訟を提起したばかりである。コミ氏に対する措置は、現政権による司法武器化の何物でもないとの見方もある。トランプ政権下では、政敵とみなす個人に対して、公平な措置がなされる可能性はないことを示唆している。また、二人の警察官の訴訟は、1月6日の歴史を書き変えるためのトランプ政権の努力に対して、メディアを通して、それに対抗するために戦ってきたハリー・ダン氏が死の脅迫を受け続けてきた自らの経験も提訴の一部の理由であると述べている。今週起きていることは、非民主的勢力が顕著になっている中で、それに抵抗するパワーが益々激しくなっている事を示唆している。例えば、超党派の議員らは一体となって、論争的な「裏金」を抹消する動きを見せている