AIの発展に対するレオ教皇の驚くべき教皇文書

Photo credit : National Catholic Reporter

メモリアル祝日の5月25日、ニューヨーク・タイムスのトップニュースは、レオ教皇が英語で記載された数万ページに及ぶ人口知能(AI)のリスクについて警告したことである。AIの話が出る度に、2025年のトランプ大統領の就任当初から政府効率化局をリードしたイーロン・マスクが政府労働力を人口知能に入れ替えることをアピールしていたことを回想する。このレオ教皇の驚くべき多量の回勅書による警告は、労働力がAIに奪われ、地域社会に溢れたロボットが人間を支配するという数十年前のサイエンス・フィクション映画を思い起こす。

タイムス紙が25日に伝えたところによると、教皇レオの42,300ページにおよぶ文書は、人工知能の悪用や過剰利用をめぐる議論の中で、ローマ・カトリック教会の指導者は人間社会に及ぼすAIによる最も「破壊的な影響から人類を保護する」よう政界およびAI 業界の指導者たちに強く警告した。レオ教皇によるこの宣言は、エンサイクリカルと呼ばれる教皇回勅(教皇文書)という形式で発表された。文書のタイトルはヒスパニック語で、マグニフィカ・ヒューマニタス(Magnifica Humanitas)または英語でマグニフィセント・ヒューマニティ(Magnificent Humanity)であり「輝かしい人類」を意味する。これは「善意あるすべての人々」に宛てた公開書簡であり、「テクノロジーが多くの職業的・社会的役割において人間に取って代わる恐れのある現代において、人間の尊厳と主体性を守りたいという教皇の強い願い」が詳述されている。教皇はこの宣言を、大手AI開発企業であるアンソロピックの共同創業者クリストファー・オラー氏と共に発表した。「これは、精神世界の指導者とテクノロジー世界の指導者との間における対話を象徴する、極めて意義深いジェスチャー」であるという。

レオ教皇が求めているもの

教皇回勅は、テクノロジー自体を「人間性に敵対する力とみなすべきではない」ことを強調しながらも、「更なる、大きな利益の追求」に基づき、「雇用を組織的に犠牲にするような選択を正当化することはできない」と書いている。さらに、レオ教皇が求めていることは以下の通りである。(1)AI開発を主導する民間企業に対する政府による規制の制定、(2)職を脅かされている労働者の保護および再教育の開発、(3)テクノロジーについて批判的に思考できるよう学生を支援する教育の促進、(4)AIによって生成されることの多いオンライン上の暴力的且つ過度に性的、あるいは虚偽の情報から子供たちを守るための措置への取り組み、(5)兵器の使用に関するあらゆる決定について、人工知能に依存せず、人間が責任を負い続けることを確実にするための安全策となっている。レオ教皇およびオラー氏が強調しているAIのリスクや目的は次の通りである。

レオ教皇が懸念するAIのリスク

レオ教皇は、(1)益々大きな利益の追求は、雇用を体系的に犠牲にするような選択を正当化しない。(2)高度な技術発展を遂げているにもかかわらず、人口の極一部を除き、雇用を保障しない社会は、多くの人々を強制的な非活動状態に追いやる危険を孕んでいる。(3)こうした状況は、物質的な進歩と人間的な退行という逆説を生み出し、公正且つ安定した社会平和の基盤を揺るがすことになる。(4)自律型兵器システムの配備が益々容易になっていることは、戦争をより「実行可能」なものとし、人間の統制を困難にしていている。

AIの発展に伴う実施すべき目標

レオ教皇は、追及すべき目標について、次のように述べている。(1)人工知能の時代において、人類が生きる道を見出すために尽力する必要がある。(2)人間を単なる金儲けの道具として利用する強欲な者たちの非道から、不幸な労働者たちを救い出す。(3)人間にとって成熟、自己の成長、そして自己実現へと至る正常な道、雇用機会の保護、更に個人の持つかけがえのない役割の保護を訴える。オラ氏は、(5)いかなる動機によっても決して揺らぐことのない、道徳的に必要な声が上がることを目指していると述べている。そして、レオ氏は互いに違いがありながらも、互いの声に耳を傾け合えるというのは、なんと素晴らしい希望の兆しでしょう」と述べ、双方が声を上げるよう求めていることを示唆した。

レオ教皇は、就任から2日目の早い段階で、「AIに対する懸念を明確にしており、枢機卿団に対し、自身の指導下の教会として、進化し続けるこの技術が『人間の尊厳、正義、そして労働にもたらすリスクに取り組んでいく』と語った。それ以来、トルコやレバノンへの訪問時、カトリック系大学の指導者たちに向けた演説、さらには「国際数学デー」を祝う場においてさえも、教皇はAIについて繰り返し言及してきた。先週、バチカンは、カトリック教会の高官らがAIのもたらす課題について議論するための委員会を設置したと発表した。レオ教皇と、クリストファー・オラー氏は、「神学者やバチカン当局者から成るパネルと共に登壇し、枢機卿、コンピュータ科学者、ジャーナリスト、そして駐バチカン米国大使のブライアン・バーチ氏を含む外交官らを聴衆として演説を行った。」そして、5月25日の今日、この教皇文書を発表する前の5月15日に正式に署名を行ったという。

最後に、近年、AIの開発により、人間の労働が制限され、多くの人々が仕事を失うとの懸念が拡大している中で、現政権または議会が上記のような懸念に対して、正しい目標を定める法案制定を期待できるような状態ではない中で、ローマ教皇レオ氏と大手AI開発企業の共同創業者クリストファー・オラー氏が、「輝かしい人類」と題する教皇回勅を発表したことは、驚くべき絶妙なタイミングであることを示している。つまり、両氏は、AI企業による利益優先の経営方針によって、将来も益々高度化するハイテクにより、失業する壊滅的な状況になる可能性がある労働者および一般的な人々の懸念を代表しており、人間の尊厳が保護されるAIの進展を求めている。教皇レオは、「高度な技術発展を遂げているにもかかわらず、人口の極一部にしか雇用を保障しない社会は、多くの人々を強制的な非活動状態にさらす恐れがある」と述べている。カトリック教会は、19世紀の技術革新と産業革命後、労働者保護に関する教えを重視しており、これは新たな取り組みではなく、歴史的でもある。

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