パクストンの勝利は何を意味しているか?

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2026年3月3日、テキサス州の米国上院共和党予備選で、温厚でスキャンダルのない現役のジョン.コーニン氏は約910,000票(41.9%)を獲得し、数多くのスキャンダルがあることで知られているテキサス州の司法長官ケン・パクストン氏(883,000票:40.7%)との競争で激戦となった。いずれも50%以上を獲得しなかったため、5月26日の両氏の決勝戦では、驚くべき票率の差で、元裁判官であり、上院議会での経歴が長いコーニン氏はトランプ大統領に支持された候補者パクストン氏に敗北した。しかし、11月の中間選挙ではフレッシュで清潔な印象がある民主党の若いジェイムス・タラリコと争うことになる。パクストンの共和党間での勝利は、何を意味しているだろうか?

パクストンは以前も報告されたように、テキサス州では稀な複数の職権乱用に関する容疑で、彼自身の側近によってFBIに通報されるほど腐敗した人物である。2023年5月、テキサス州の下院議会はパクストンに対して20の弾劾条項を発行した。その原因となった彼の行動は、差し押さえ訴訟への介入の試み、不動産開発業者ネイト・ポールに有利な法的意見を不適切に提供し、職員に対する解雇や嫌がらせ、内部告発者の妨害などが含まれる。贈収賄容疑は、ポールが法的援助と引き換えにパクストンと不倫関係にあった女性を雇用し、パクストンの自宅の改築費をポールが支払ったとされるスキャンダルが浮上した。ワシントン・ポストの今日27日の報告によると、パクストンは2015年に州司法長官に就任した直後に重罪証券詐欺の容疑で起訴された。州上院議員時代、自身が密かに投資仲介手数料を得ていたテクノロジー企業サーバージーへの投資を同僚議員らに勧誘し、彼らを欺いたとして告発された。2023年当時、訴訟は係争中であった。パクストン氏は、2020年に自身の不正行為をFBIに通報した部下の内部告発者たちに対し、報復措置を講じたとして告発された。司法省は、パクストン氏の側近らがFBIに寄せた告発内容に関する捜査を継続していたが、バイデン政権下でその捜査を終結させた。同氏は2024年、30万ドルの賠償金を支払うことでこの訴訟の和解に応じたが、自身の不正行為については一切認めていない。この証券詐欺事件は、2023年の弾劾訴追とは無関係のものである。パクストンは州議会から弾劾されたが2023年9月16日に無罪釈放された。2025年、不貞行為を理由に、妻であり州上院議員であるアンジェラ・パクストンは離婚を申請した。

5月26日に開催された決勝戦で、テキサス州共和党有権者は、このような犯罪経歴がある非常に腐敗した人物を支持し、スキャンダルのないコーニン氏が敗北した。両氏の間には腐敗という観点では共通点はない。コーニン氏は上院議会に出馬する前は、テキサス州最高裁の判事であった。2013年から2019年にかけて二番目の共和党指導者であり「ウィップ」と呼ばれる院内幹事として、効果的な手腕を発揮したことで知られている。トランプ氏が5月18日、公式にソーシャル・メディア上でパクストンへの支持を表明したことが、投票パターンを変えた可能性がある。上院議会の任期は6年間であり、コーニン氏は5回目の再戦に挑戦していたため、既に24年間のベテランであった。また、非常に多額の資金を集めたとされるパクストンは、巧みで対抗相手を徹底的に攻撃する広告宣伝に出費することが可能であった。

トランプ氏が支持する共和党候補者が主な現役上院議員を打破した例は、26日に敗北したジョン・コーニン氏の他に、ルイジアナ州の元医師であり、5月16日の予備選に敗北したビル・キャシディがいる。コーニン氏の敗北は、米国上院共和党議員らを非常にナーバスにしているという。その理由の一部は、選挙資金である。11月の総選挙では、予備選と異なりテキサス州全域での「3,100万人を超える同州の住民は、フランスよりも広大な地域に分散して暮らしている」からである。同州にはヒューストン、ダラス、フォートワースなど、「複数の主要都市圏が存在し、これらは全米でも有数のメディア市場コストが高い地域として知られていることから、選挙キャンペーンには、莫大な費用がかかる」のである。

次に、テキサスは、これまで共和党の地盤が強い州とされていたが、近年完全な共和党州とは言い難い政治的状況がある。2018年の予備選では民主党のベト・オローク氏がテッド・クルーズ共和党上院議員にわずか2.6ポイントの差で敗北するという驚きの結果を見た。それ以来、民主党議員らは、「テキサス州を自党の勢力圏へとひっくり返すことに極めて強い意欲を燃やしている。」彼らは、幾度となく敗北を経験してきたにもかかわらず、「最大の課題は有権者の保守的な志向にあるのではなく、投票率の低さにあると主張し続けている」とポストは述べている。穏健派のコーニン氏に投票した共和党および独立系の有権者が、オバマ大統領に支援されているジェイムス・タラリコ氏に投票する場合、タラリコはパクストンを敗北に追いやり、民主党がコーニン氏の議席を獲得する可能性がある。同氏は「今年最初のわずか3ヶ月間で2,700万ドル以上を集めた。これは、選挙年の同時期において、これまでに他のどの上院候補者も調達したことのない金額である」という。

トランプ大統領の「相乗効果がかつてほど期待できそうにない中間選挙の年という状況が相まって、タラリコ氏は、民主党の上院候補としては、ここ数年で最高の勝利の機会を手にしている。3月に民主党の上院予備選挙で勝利したタラリコ氏は、テキサス州において、彼が生涯で初めて選出される民主党出身の米上院議員となるチャンスを手にしている。なぜなら、ケン・パクストンはタラリコ氏の「対立候補として申し分のない人物」であるという。パクストンの腐敗の経歴と比較した場合、清潔なイメージを与えるタラリコ氏とは極端なちがいがあり、目立つ存在になっているからである。更に、当ブログの調査によると、人口の多いテキサス州では予備選に参加したのは有権者の一部である。ニューヨーク・タイムスの5月26日の予備選結果は、パクストンが885,949票(63.8%)を獲得し、501,725票(36.2%)を獲得したジョン・コーニンに圧勝したが、両氏の共和党合計投票数は1,387,674票である。一方3月3 日の民主党の予備選では、タラリコ氏は他二人の対抗者に直面し、1,216,412票(52.4%)を獲得し勝利した。彼は、二位のジャスミン・クロケット氏( 1,071,900票:46.2%)及び三位のアフマド・ハッサン氏(30,875票:1.3%)を打破したのである。民主党の合計投票数は2,319,187票である。

しかし、両党の予備選に参加した投票数は実際の投票登録数に比較すると、投票参加率は約25%程度過ぎないことを示唆している。テキサスの州務長官であるネルソン氏は、3月3日の予備選挙に向け、1,870万人の有権者が登録されたと2026年2月17日に発表した。実際の投票登録数は18,657,918人である。これらの数値は、11月の中間選挙でパクストンと対決するタラリコと彼の同盟者が、穏健派のコーニンに投票した共和党および無党派票の一部に加えて、クロケット氏とハッサン氏に流れた票を集めるか、又は、コーニン支持者が投票に参加しない場合、タイムス紙の一部記者らが予測しているように、タラリコ氏には大きな勝利の機会があることを意味する。タラリコ氏は2011年にテキサス大学オースティン校を卒業し、政府学の学士号を取得したほか、2016年にはハーバード大学にて教育政策の教育学修士号を取得した。また、テキサス州下院議員を務める傍ら、オースティンにある長老派神学校にて神学修士号を取得した非常に真面目な印象を与える政界の新人である。つい最近まで、コーニン対タラリコのシナリオでは、両氏への投票はほぼ二分する可能性が幾分高く、パクストン対タラリコの場合、タラリコが有利である予測されていたため、現在米国上院共和党議員らは、非常に心配しているという。

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