
ニール・ゴーサッチ判事 Photo credit : Fox News
米国最高裁は18日、薬物使用者に対する銃所有や所持を禁じる1968年の銃法に異論を唱えた原告の主張を全会一致で、同意するという珍しい判定を下した。意見書の中心人物はゴーサッチ判事であったが、別の意見書には、最も保守派のアリート判事にリベラル派のケーガン判事が参加したことも稀であり、この判例に至った原告の背景も珍しいものである。基本的に最高裁は、1968年の銃法の拡大解釈の範囲を狭めたことが要点である。
最高裁が関与した判定は「合衆国対アリ・ヘマニ」の事件である。39ページの中で最初に意見書を書いたニール・ゴーサッチ判事によると、ヘマニ氏は米国とパキスタンの二重国籍者であり、テキサス州で生まれ、人生の大半を同州で過ごしてきた。近年、ダラス地域で両親と同居し、安定した職に就いている。しかし、ヘマニ氏とその家族にテロ関連活動の疑いがあるとして、政府は2022年に同氏の家宅捜査を行った。その過程でヘマニ氏は捜査に協力的な態度を示し、自宅に保管していた銃を差し出し、敷地内にあったマリファナの場所を捜査官に示した。また、同氏は捜査官に対し、マリファナを「ほぼ1日おき」に使用していると語った。捜査官が両親の押し入れからコケインを発見した後、ヘマニ氏は、母親が隠してそれを保管していたこと、そして自身は最近それを使用していないことを主張した。
捜索から6ヶ月以上が経過した後、政府はテロ関連の捜索とは無関係の罪状でヘマニ氏を起訴した。彼がマリファナを使用していると認めた事実のみを根拠として、規制薬物の「違法な使用者」でありながら自宅で銃を所持していたとして、ヘマニ氏を訴追したのである。政府は、この事実だけで、連邦法に基づき銃器の所持が自動的に禁止されると主張している。そして、ヘマニ氏は禁止されているにもかかわらず銃を所有していることを認めたため、政府は彼を起訴し、15年の懲役刑と終身の銃器没収を求めている。「この事件は、政府によるヘマニ氏への訴追が合衆国憲法修正第2条に合致するかどうかという問題を提起している。ヘマニ氏は、自身に対する政府の試みはこの第2条に違反するとして、起訴の却下を求めた。地方裁判所は当該申立てを認め、その後、第5巡回区控訴裁判所への控訴が却下されたことを受け、政府は我々に本件の審理を求めた。我々はこれに応じた」と書いている。
ゴーサッチ判事は、「アリ・ヘマニ氏が週に数回マリファナを使用しています。政府の主張によれば、その事実だけで、連邦法に基づき同氏の銃器所持は自動的に禁止されることになります。ヘマニ氏は所持禁止の対象でありながら銃を所有していることを認めているため、政府は現在、同氏を訴追し、最長15年の拘禁刑を科すとともに、生涯にわたって銃器の所持を禁じようとしています。また、「我々が以前述べたように、合衆国憲法修正第2条は、建国の父たちが具体的に予見していた状況を超えた事態にも適用され得るものであり、また適用されなければならない」と述べている。更に「政府の主張によれば、当該法規は、ある個人が違法薬物使用者となったその瞬間から薬物使用を止めるまでの間、その個人から憲法上の権利である武器を保有する権利を自動的に剥奪するものであり、しかもそのいずれの段階においても、権利剥奪に先立つ法的手続きは一切行われません。この禁止規定に違反した違法薬物使用者は、実際に収監されたり恒久的に武器を奪われたりする前に、本格的な刑事裁判を受ける権利を有しています」と述べている。
ゴーサッチ判事は、さらに「政府によれば、これらの措置は、ヘマニ氏がどれだけの量のマリファナを使用しているか、あるいはそれが彼にどのような影響を及ぼしているかといった点には一切左右されない。彼が自衛のために自宅内でのみ銃を保管し、酩酊状態で銃を誤用したこともなく、マリファナの使用によって自身や他者に危険を及ぼしたこともないとしても、何ら変わりはないのである。政府が立証しなければならない唯一の点は、ヘマニ氏のような個人が、何らかの規制薬物を、その量にかかわらず定期的に使用しているということだけであると政府は主張している。」同判事は、「薬物と銃の組み合わせが時に危険な状況を生み出し得ることは理解している」と書いた。しかし、判事らはこの訴訟における政府の「拡大解釈的な理論」を退けた。また、常習的な飲酒者による銃の所有を禁じる法律との歴史的な類似性を政府が主張したことについても、「我々が検討すべきあらゆる基準に照らしても不十分である」との結論を下した。ゴーサッチ判事は、今回の決定は「限定的なもの」であり、あくまで薬物を使用する人々のみを対象としていると述べた。また、「依存症者や現に薬物等の影響下にある者による銃の所持を禁止する措置」については判断していないと述べた。
意見書には、最も保守派のサミュェル・アリート判事の意見にはリベラルなエレナ・ケーガン判事が参加するという稀な状況も見られた。両氏は、「この国では、マリファナの消費が益々一般的になっています。多くの州で使用や販売が合法化されており、所持は依然として連邦法上の犯罪ではあるものの、実際にその罪で有罪判決を受ける人は年間ごく僅かです。政府は、州法に従って行われる限り、マリファナの生産や販売を事実上容認しており、数十億ドル規模のマリファナ・ビジネスが発展するのを許容してきました。今日におけるマリファナの使用は、建国当時のアルコール使用に似たものとなっています。マリファナの使用は広く普及しており、多くの方面で社会的に容認されるものと見なされるようになっています。また、実務的な観点からも、法執行機関はマリファナの使用を広く容認しています」と述べており、マリファナを週に数回利用しているヘマニ氏の銃器保持の権利が阻止される理由はないと示唆した。
最後に、この判定には判事全員が結論に同意したが、ニール・ゴーサッチ判事は法廷意見書執筆の主要な役割を果たした。また、判断の根拠を説明するために主席判事ジョン・ロバーツ、エイミー・コニー・バレット判事、ブラット・カヴァナフ判事を除き、他5人の判事が意見書を執筆又は参加した。1968年銃規制法は、当時の大統領リンドン・ジョンソンが同年10月22日に署名した法律であり、ロバートF・ケネディ及びマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の暗殺を受けて制定されたものである。広範な規定の一部は、規制薬物を違法に使用している者、または規制薬物への依存症にある者が銃器を保持することを禁止している。アリ・ヘマニ氏のケースでは、この法律の一部条項の合憲性を問うものである。1980年代に改正されたこの法律は「規制薬物を違法に使用している者、または依存している者」による銃の所持を禁じている。2026年6月18日の米国最高裁9人の判事全員は、違法薬物の使用者が銃を所持することを禁じる連邦法に違反したとして訴追されたが、同法は憲法修正第2条に違反すると主張したヘマニ氏を支持した。全会一致の最高裁の判定は「限定的」なものであることを明白にし、重度の薬物依存症者や、武器を所持した状態で実際に薬物の影響下にある個人については、直接的な判定の対象としていないということである。つまり、ジョー・バイデン大統領の息子ハンター氏は2024年に有罪判決を受けた際にも同じ1968年銃規制法が適応されたが、18日、米国最高裁判事らは、今回の判定は、バイデン氏の事件に関連する「薬物依存症者の銃所有を禁じる規定」については対象としていない」ことを示唆した。バイデン大統領は、2025年1月20日、ホワイトハウスを去る数日前に、この法律に違反しているとして有罪判決を受けた子息ハンターの実刑判決を回避するため恩赦を与えたため、最高裁が関与する必要はなかった。しかし、米国最高裁は今日18日、この同じ法律下で、政府はアリ・ヘマニを訴追出来ないと判定した為、この二つの判例はどのように異なるのか一部疑問視された側面もある。