無謀な移民取締りの結果が正常と言えますか?

Photo credit : New York Magazine

この一週間、2州で二人の移民が移民税関捜査局(ICE)職員によって射殺されました。ICEは移民取り締まりの一環として、道路上で運転者を停止させる活動を行なっており、いずれもこの交通停止から生じ、いずれも標的ではなかった個人が殺害されました。この活動は二人が銃殺された後に、14日に停止されましたが、現役大統領は、交通停止は最も重要な移民取り締まりの一つであるとして、仕事を続けるべきであると主張しました。

移民関連の逮捕劇がエスカレートする中で、過去1週間にテキサス州ヒーストン及びメイン州ビデフォードでICEの捜査官は2名を射殺しました。いずれも、捜査官が車両を停止させようとした際に銃撃が発生しました。これを受けて、国土安全保障省(DHS)は、走行中の車両を停止する活動を止めるようICEに命令したとされています。11日のニューヨーク・タイムスの報告によると、テキサス州ヒーストンで射殺された男性「ロレンソ・サルガド・アラウホ氏は、出勤途中にICEの職員に射殺され死亡した。これは、トランプ大統領が強制送還の取り組みを再び強化し始めた後にきている。ICEはアラウホ氏ではなく、別の人物を捜索していた。アラウホ氏は35年前にメキシコから米国に移住した父親であり、夫であり、事業主であった。現在のところ彼が射殺された理由は不明なままである。連邦当局は7日の午前6時50分に、ICE捜査官らが車両を停止させ、『不法滞在者』とみなしていたアラウホ氏を逮捕しようとしたと説明した。しかし、9日に国土安全保障省の広報担当者は、アラウホ氏はこの作戦の本来の標的ではなかったと公表した。ICEの10日の声明によると、アラウホ氏がICEの車両に衝突し、指示に従わず、捜査官を車で轢こうとしたと述べており、ICE捜査官は正当防衛のために発砲したと主張している。ヒューストン消防局によると、アラウホ氏は腹部を撃たれて病院に搬送されたが、数時間後に死亡した。」

一方、「目撃者らは、ICE捜査官の正当防衛による砲発に異議を唱えている。 停止させられた際、アラウホ氏は建設現場へ向かう途中であった。車には彼を含め4人が乗っており、その中には弟のビクター・ウーゴ・サルガド・アラウホ氏もいた。9日3人の男性は弁護士のウーゴ・バルデラス・イバラ氏に対し、アラウホ氏が車を武器として利用したり、移民局捜査官を轢こうとした事実はなく、車両の前に捜査官が立っていたこともなかったと語った。10日の時点で、4人はヒューストン郊外のテキサス州コンローにある移民収容施設に拘束されたままであった。ICE 当局は、この接触時の映像を公開していない。同地区の米国下院民主党議員シルビア・ガルシア氏によると、ICE捜査官らは無標識の車両を使用しており、ボディカメラも装着していなかった。ガルシア氏は、ICE長官代行のデビッド・ベンチュレラ氏と話をしたと述べている。 ニューヨーク・タイムスが入手した監視カメラや目撃者の撮影した映像には、2台のICE車両がアラウホ氏の白いバンを追跡し、進路を遮ろうとする様子が映っている。バンがUターンをして道路脇に停車する様子や、停止すると同時に数人の移民局捜査官がバンに向かって走っていく姿も確認できる。発砲の瞬間を捉えた映像は公開されていない」と同紙は伝えています。

そして、13日にメイン州ビデフォードでも合法的移民が交通停止中に同じくICE捜査官に射殺され死亡しました。同じく、タイムスの報道によると、「射殺された男性は、コロンビアからの移民であるジョアン・セバスチャン・ゲレーロ氏(25歳)と特定された。父親によると、ビデフォード在住だったゲレーロ氏は、合法的に米国に滞在していた。同氏は、ビデフォードで銃撃された交差点にあるアパートに住んでいた。妻と3歳の娘を養うため、彼はフード配達の運転手と動物病院の深夜清掃員という2つの仕事を掛け持ちしていた。銃撃から12時間近くが経過して発表された国土安全保障省(DHS)の声明によると、月曜日の朝、捜査員らは監視対象の住宅から出発した車両を停止させようと試みた。 声明はさらに、『その車両が現場から逃走を図ったため、公衆の安全への懸念から、捜査員が武器を発砲した』と述べている。運転していたゲレーロ氏は被弾し、その後死亡した。13日の早い時間帯に撮影され、ソーシャル・メディアに投稿された動画には、フロントガラスに銃弾の跡がある車のそばで、捜査員らが遺体を囲んでいる様子が映っていた。」

一部の米国議員に送られた「別の報告の中で、DHSはより踏み込んだ表現を用い、運転手が法執行官に向けて車両を武器として使用したと述べている。 14日の夕方の時点で、政府側の説明を裏付けるような映像の証拠は確認されていない。近隣住民からは、月曜日の午前7時15分頃、交差点付近で銃声を聞いたとの報告が寄せられた。また、数人が車の脇の路上に倒れている遺体を目撃したと証言している。ビデフォードの米国下院民主党議員チェリー・ピングリー氏は13日の電話インタビューで、『ICEの捜査員が車の窓越しに発砲し、車内の人物が死亡したとの報告を受けている』と語った。射殺されたゲレーロ氏も実際にはICEが捜索していた同一人物ではなかった。広報関係者は13日『DHS長官のマークウェイン・マリン氏から、射殺された男性は『移民としての在留資格』を理由とする逮捕状の対象者だったと聞かされたと述べた。しかし、その後、広報担当者は、マリン氏が同議員に再び電話をかけ、その発言を撤回したと明らかにした。広報担当のマシュー・フェリング氏は『要するに彼らはある人物を捜索していたのだが、銃撃した相手は捜索対象の人物ではなかったということだ』と述べた』とタイムスが伝えています。

しかし、DHSがこれらの驚異的な失敗により二人が射殺された状況を受けて、交通停止を中止したにも関わらず、トランプ大統領は、ICEの捜査員がこの仕事を続けるべきだと主張しています。この唖然とするニュースは、NBC、 ABC、PBSなどのテレビ・ニュースを含む、多くのメディアが伝えています。大統領はソーシャル・メディアへの投稿で「我々は、ICEにとって最も重要かつ効果的な犯罪対策ツールの一つである交通停止を放棄することなど断じてできない」と述べています。

この混沌の中で、本日2026年7月15日、米国上院情報委員会は司法省長官代行のトッド・ブランシュ氏の長官指名に関連する公聴会を行いました。その中で、カリフォルニア州の米国上院議員アレックス・パディラ氏は、テキサス州とメイン州でICE捜査官が移民2名を射殺した件について質問しました。彼は、州や地方の法執行機関が独立した捜査に関与すべきかどうかをブランシュ氏に尋ね、この2州での事件の捜査には司法省も関与すべきだと示唆しました。そして、ミネソタ州で1月7日にレネー・グッド氏と1月24日にアレックス・プレッティ氏が射殺されてから何ヶ月も経過しているものの、「これらの事件において正義は実現していません。私の知る限り、当該捜査官らは解雇されておらず、刑事訴追も受けていません」と述べました。ブランシュ氏は「今おっしゃった発言には全く同意できません。1月から今日までの単なる時間の経過は、正義が実現されていないことを意味するわけではありません」と反論しました。パディラ上院議員は、「私たちは自らの命を懸け、生き残りをかけた戦いの只中にいます」と述べ、射殺に関与した職員に対する解雇および訴追を行うよう求めました。また、ミネソタ州の民主党上院議員エイミー・クロバッシャー氏は、レネ・グッド氏及びアレックス・プレッティ氏が射殺された事件の捜査に関し、連邦政府が州の法執行機関との協力をなぜ拒否していたのかとブランシュ氏に問いました。クロバッシャー氏はメイン州とテキサス州で最近発生したICE捜査官による銃撃死亡事件についても、連邦政府が地元当局と協力するつもりがあるかどうかを尋ねました。これに対しブランシュ氏は「こうした捜査は、あらゆる捜査と同様に行われるべきであり、当然ながら、州や地元の当局と適切な形で連携することも含まれると考えています」と答えました。

最後に、トランプ氏の交通停止に関するソーシャル・メディアでの発言は普通の感覚からは理解し難いものです。なぜなら、最初のDHS長官クリティ・ノーム氏が辞職に追い込まれた主な理由は、ミネアポリスで二人の米国市民が移民の取り締まりに関与した連邦職員に射殺されたことでした。その後、過激な移民取り締まりは一時停滞気味でしたが、再度、強化した後に ICEの標的ではなかった二人が射殺されている状況を誰が正常だと判断するでしょうか?最初から、ICE職員に対する訓練が不足していると指摘されたにも関わらず、射殺が繰り返される事態は、何の訓練も行なっていない事を示唆しています。約5時間続いた司法省長官への昇格を考慮するための公聴会で、議員らは多数の課題において、トッド・ブランシュ氏を質問攻めにしたことで、米国はあまりにも深刻すぎる問題が多いことを改めて浮き彫りにしました。しかし、無実の人々が過激な移民取り締まりのために生命を失う理由は何もありせん。米国上院民主党議員アレックス・パディラ氏は、最近の銃撃死ついて、「私たちは自らの命を懸け、生き残りをかけた戦いの只中にいます」と指摘したように、米国が直面している最も深刻な問題は、移民の法的地位とは無関係に米国の全ての人々は、路上での自分の安全性が脅かされている状況下で生きている事を益々明確にしています。今年、ミネソタ、テキサス、メイン州で起きたICEによる射殺事件の根本的な問題はICEの職員が十分訓練されておらず、容易に銃器を利用するという事態があるからです。

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