停戦の見込みがなくなった対イラン戦争で、米国防省は資金を枯渇し、米国兵士の死者が増加し始めています。30以上の国は、この戦争により、今後10年間で世界に良い影響を与える国は米国ではなく、中国であると考えています。現在、この戦争は同盟国を深刻な危機に晒しています。
国防総省は主に対イラン戦争に起因する深刻な予算不足に直面しています。匿名で語った元当局者4人の情報に基づくワシントン・ポストの報道によると、国防総省は「この資金難を受け、すでに軍の即応態勢維持に不可欠な訓練や装備の整備を制限する事態に追い込まれている」というものです。そして、トランプ政権は、戦費を賄うための670億ドルの緊急拠出を要請したものの、議員らの間では今後の方針をめぐって「意見が対立し、膠着状態に陥っている」中で、議会は約1ヶ月の夏休み休暇に入ります。米国下院議員らは23日に議会を去る予定です。この状況下で21日、国防省の長官ピート・ヘグセス氏と統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍は、上院歳出委員会の公聴会で「予算案の必要性を訴える」予定です。
ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)の局長ラッセル・ヴォート氏も、火曜日の朝に共和党議員らに対して説明を行うことになっていました。現・元当局者らは、「議会が行動を起こさない限り、軍はさらに痛みを伴う選択を早急に迫られることになると指摘しています。先月、ヴォート氏は議会に対し、「これまでの戦争の費用は約300億ドルであると述べたが、一部の独立系アナリストは、実際の費用はそれより遥かに高額になる可能性が高いと指摘している。ホワイトハウスの試算には、イランによる攻撃で損傷した中東の米軍基地の再建費用は含まれていない」とポスト紙は伝えています。
そして、イランでの戦争で、米国兵士の死亡が増加しています。ポスト紙の図解によると、イラクで給油の航空機墜落により、6人が死亡しています。イラク北部でイラン製の制御ドローンが爆破し、1名が死亡しました。ヨルダンのムワッファク・サルティ空軍基地への攻撃により2人が死亡しました。クウェートでは、シュアイバ港への攻撃で6人が死亡しました。サウジ・アラビアのプリンス・スルタン空軍基地への攻撃で1人が死亡しました。また、アラビア海でヘリコプターの緊急着陸時に 1人が死亡しました。これは合計17人の米兵士が死亡したことになります。20日ニューヨーク・タイムスも、17日に「ヨルダンで陸軍兵士2名が、またイラク北部でも別の軍人が死亡したことにより、2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始して以来、死亡した米軍人の総数は17名に達した」と発表 しています。
戦争を支持する説得力のある理由は乏しいため、世界的にイランでの戦争は否定的です。それは、世論に反映しています。7月17日に公開されたイプソスの世論調査では、調査対象となった31カ国の平均で、「81%が自国はイランをめぐる戦争に関与すべきではない」と考えており、そのうち48%は「関与を避けるべきだ」という意見に強く同意しています。この戦争が「2027年以降も続く」と予想する人は33%でした。一方、「年内に終結する」と予想する人は31%、「今後3カ月以内」に終わると考えている人は26%、「今後1カ月以内」に停戦となると予測しているのはわずか10%となっています。イランでの戦争で、米国が世界に良い影響を与えると考える人の割合は低下した一方で、今後10年間で世界に良い影響を与える国として、米国をあげた率は39%であり、中国を挙げた50%より低い結果になりました。
「今後10年間を考えた場合、以下の国々は世界の情勢に対して、全体としてプラスの影響を及ぼすとお考えですか、それともマイナスの影響を及ぼすとお考えですか」との質問の結果は以下のチャートの通りです。
| 中国 | 米国 | |
| アジア太平洋 | 55% | 40% |
| ヨーロッパ | 35% | 28% |
| ラテンアメリカ | 68% | 56% |
| 北アメリカ | 32% | 42% |
最後に、2月28日に開始され、数週間で終わる予定だった対イラン戦争は、即座終結の見通しがほとんどありません。むしろ、米兵の死亡を受けて、トランプ政権はイランへの攻撃を激化し、緊張が高まっている危険な局面を迎えています。そして、国防省では資金が枯渇し、約5ヶ月間ですでに17人の兵士が死亡し、今後も増え続けるとの懸念が高まっています。イランが停戦の合意を停止したため、停戦状態は崩壊し、米兵の死亡が増加するにつれて、米軍と同盟国は深刻なリスクに直面しています。例えば、最近イランは、ヨルダンのムワッファク・サルティ空軍基地を攻撃し、米軍兵士2人が死亡し、数十人が負傷しました。クウェートやバーレーンにある同盟国の基地もミサイルやドローン攻撃を受けています。一方、イエメンのイラン支援勢力フーシ派は、サウジ・アラビア向けの輸送に対する海上封鎖を宣言し、地域の石油輸送ルートが封鎖される脅威がさらに拡大しています。数週間の公約であったはずの戦争は、すでに5ヶ月続き、長期化している中で、国防総省の資源は急速に枯渇している為、この戦争が続くかぎり、他の重要な資金が国防省に流れ、米国は9月に政府閉鎖の危機に直面する懸念もあります。その為、670億ドルの緊急追加資金を議会が提供すべきであるかは議員間で論争的な問題となっています。トランプ氏は彼の一期目に、オバマ政権と同盟国が一体となった外交政策を通して、イランの核削減協定に合意した成果を批判し廃棄しました。二期目は彼が指摘したようなもっと良好な合意に達することには至っておらず、大多数の米国民及び31カ国の人々が同意していない対イラン戦争を延長させています。最近の世論調査では、大多数の有権者は、どちらのイラン政策が、彼らの生活に直接悪影響を及ぼすかを事実上、悟ったことを示唆しています。CNNが7月16日に報告した世論調査によると、イランに関するトランプ氏への不支持率は69%にまで上昇しています。