The Choice Facing Some Immigrants: Pay $1.8 Million in Fines or Leave
July 22, 2026 : The New York Times
移民取り締まりの一環として、多数の移民は、場合によっては180万ドルに及ぶ前代未聞の罰金を支払うか、それとも出国するかを決定するよう、国土安全保障省から手紙を受けと報告されています。
この記事は、トランプ政権が債権回収業者を雇い、税金還付金を差し押さえ(seizes tax refunds)、加えて不法移民に自主的に国外退去(self-deporting)するか、そうでない場合、約180万ドルの税金を支払うかの選択を迫る通知を10万人に郵送したとする前代未聞の行動について述べています。移民裁判官が米国滞在の法的権利がないと判断した後、10万人以上の不法移民は、米国に滞在した日数1日につき$998の罰金を支払うよう求める通知を、国土安全保障省から受け取りました。「退去」命令に従わなかったことに対する罰金は、1996年の移民法成立以来、科すことが可能となっていました。しかし、トランプ大統領以前には、こうした制裁を実際に科した大統領は存在しません(no commander in chief)。同大統領は1期目に「その実施を試みたが、実務上の障害に直面し、本格的な動きには至らなかった」のです。
ところが、昨年ホワイトハウスに復帰し、不法滞在者の大規模強制送還に向けた取り組(mass deportation campaign)みを開始した後、トランプ氏は、不法滞在者から「あらゆる罰金および制裁金を確実に査定・徴収するために、適切なあらゆる措置」を講じるよう大統領令を発令した。現在、不法滞在の移民(undocumented immigrants)に対する経済的な圧力(financial pressure)を強めようとする政権の方針に伴い、罰金が科されるペースが加速していると、移民問題専門の弁護士らは指摘しています。この通知を受け取った移民にとって、それは苦渋の決断を迫る最後通告(an ultimatum forcing a painful decision)に等しいものです。築き上げてきた生活を捨てるか、それとも政府が債権の回収に動いた場合に経済的破綻の危機に直面するかという選択です。例え5年という法的制限があったとしても、累積する罰金は1人あたり180万ドルに達する可能性があります。
メキシコからの移民であるビビ・バスケス氏は、米国に17年間居住しており、現在も人道支援目的のビザを申請中(has an active humanitarian visa application)です。彼女は就労許可を得て、高齢者介護の仕事やコンビニエンス・ストアでの勤務を合法的に行ってきました。 ビザ申請に関する進展を期待し、同氏は4月に届いた国土安全保障省(DHS)のロゴ入り封筒を開封しました。しかし、そこに入っていたのはビザに関する知らせではなく、ある定型文書でした。その文書には、「米国から『故意に』出国しなかった(”willfully” failed to depart)」という記述の横にあるチェック・ボックスに、政府によって印が付けられていたのです。ニューヨーク・タイムスが確認したその文書によると、彼女は政府に対して$1,820,352の支払いを求められていました。同じ封筒には「CBP Homeで自主出国を――自分のタイミングで帰国しよう」と題されたチラシも同封されていました。これは、税関・国境警備局(Customs and Border Protection=CBP)が運営するアプリについて案内するもので、そのアプリを利用して自主出国した人に対しては、すべての罰金を「免除(forgiveness)」すると謳っていました。バスケス 氏は「眠れない日々が続き、仕事のために家を出る朝はいつも不安でたまりませんでした」と語りました。彼女には米国で生まれた10歳、12歳、14歳の3人の子供がいます。
法的支援団体や個人依頼人を代理する弁護士らは、当該政策の阻止を求めて複数の連邦訴訟を提起しました。彼らは、金銭的制裁がデュー・プロセス(適正手続き)および過大な罰金を禁じた合衆国憲法修正第8条に違反する(the financial penalties violate due process and the Eighth Amendment’s prohibition on excessive fines)と主張しています。 政策の執行停止を求める申し立てに反対する書面の中で、政府は「他の形態の移民救済措置を求めて(to pursue other forms of immigration relief) 国内に留まっていたという事実は「制定法上の抗弁事由にはならず、退去命令に『故意または自発的に違反した(one willfully or voluntarily violated)』という根本的な判断を覆すものでもない」と主張しています。ロスアンゼルス、シカゴ、ミネアポリスで行われた連邦捜査官による大規模な一斉摘発は、トランプ氏による取り締まり(crackdown)策の中で最も人目を引き、かつ波紋を呼んでいる動きです。しかし、「こうした罰金措置もまた、不法移民を追い詰め(to squeeze undocumented immigrants)、米国での生活をより困難にしようとする政権の取り組みの一環(are part of a parallel effort)なのです。
バスケス氏に送られた通知書には、罰金処分に異議を申し立てる期限として、郵送日から15日間が設置されていました。期限まで1週間が過ぎた段階で、彼女の弁護士は異議申し立てを提訴しました。それから1ヶ月後、決定を待つ間に、バスケス氏はさらに威圧的な内容の2通目の通知書(more menacing letter)を受け取りました。 そこには、直ちに支払わなければ、政府は債権を民間の回収業者(a private collection agency)に委託し、連邦レベルでの回収訴訟を起こし、信用情報機関に報告し、「信用格付けに悪影響を及ぼす可能性がある」と記載し、「さらに将来の移民関連の手続きにおいてその債務を考慮に入れる可能性がある」と記されていました。ニュージャージー州の移民法弁護士ジョン・レシャック氏は 「こうした事例を目にするようになったのは数ヶ月前のことですが、今や大きな傾向となっています」と語る。同氏はバスケス氏の代理人を務め、罰金の取り消しを実現させました(was able to have the fines canceled)。 「彼らは、自宅や車、事業を自分名義で所有している人々です。政府は、そうした財産すべてが没収される恐れがある(they stand to have all that confiscated)と警告しているのです」と彼は言います。
移民弁護士は、「罰金処分に異議申し立てが却下されるケースが相次いでいる」と言います。しかし、すべての個人が一律180万ドルの支払いを請求されている訳ではなく、個人差があるようです。同じ記事で紹介されている別の人物は約58万ドルの支払義務が生じていると記されている手紙を受理しています。国土安全保障省は、2025年1月20日から今年7月中旬までの間に、ICEが国外退去命令を受けた後も米国に滞在し続けた非市民に対し、総額840億ドルを超える支払いを求める103,000件以上の罰金を科したと発表した」ということです。トランプ政権のこの移民政策は「法的な異議申し立てに直面していますが、政府による法執行の動きは依然として強力に進められている」という事です。トランプ政権の第1期には、こうした通知は受取人の署名が必要な書留郵便で送付されていました。しかし、多くの通知は「配達不能」として、国土安全保障省に返送」されていました。二期目の今年、書簡は普通郵便で送付されているとの事です。トランプ氏は自身の「2期目の初日に、大統領令及びより重い罰金を伴う迅速に制定された政策を通して、それを復活させました。」
最後に、第一期を終えたトランプ氏の後継者となったジョー・バイデン大統領は、就任時にこの政策を撤廃し、米国で就労し、税金を支払っている移民に対して、この種の過酷な選択を迫るような政策を行使しませんでした。確かに、オバマ政権やバイデン政権も、国境近辺に近づいた亡命や難民の書類を保持していない大勢の不法移民を強制送還しましたが、現在トランプ氏が利用しているこうした政策を通して、可能な限り多くの移民を米国から追放しようとする大統領は存在しなかったと記事は述べています。昨年報告されたエルサルバドルを含む自国ではない国への強制送還、移民取り締まり中の抗議者に対する劇的な逮捕、交通停止、ミスまたは残忍な射殺など、合法的書類のない人々だけでなく米国市民でさえ、様々な側面で脅威に直面しているような現状は過去の政権にはみられなかったものです。