中間選挙で共和党に多大な打撃となるカナダとの貿易戦争と対イラン戦争

Photo credit : Tehran Times

カナダに対する貿易戦争はエスカレートし、二国間の間には前代未聞の亀裂が生じている状況になっています。トランプ大統領は、カナダ首相との交渉が決裂した後に50%の関税を課しました。トランプ氏は9月8日、これまで関税の対象になっていた製品に対する適用範囲を変更することに加えて、特定の製品に対するカナダからの輸入を禁止する旨の大統領布告に署名しました。課税対象および輸入禁止された製品は何でしょうか?専門家は、カナダとの貿易戦争と対イラン戦争は、米国の経済に与える影響が想像以上に厳しいと指摘しています。

トランプ政権は前月、カナダとの交渉が決裂した後、カナダの複数の製品に対して50%の関税を課すと発表しました。カナダの首相マーク・カーニー氏は、米国の措置に対して、同等の規模の措置、つまり、1ドルに対して1ドルで対抗すると表明しました。その報復関税は9月8日に発効されました。どのようなカナダ製品に50%関税を課したのでしょうか? 9日のワシントン・ポストの報告によると、チェダー、パルメザン、ブルーチーズなどの各種チーズやチーズ代替品に対して50%の関税が課されます。先月発表された関税措置の対象にすでに含まれているものは、牛乳やクリームなどの乳製品です。ゴルフカート、一部の自動車、および全長7.5メートル以上の船外機付きボート、一部の金属製品、鉄鋼製の柱、アルミニウム合金製の管・パイプ、衣料品用の金属製留め具、バックル・留め金など、複数の金属製品に50%の関税が課される予定です。 木製家具・紙製品 、図画用の紙やボール紙などの製品に50%の関税が適用されます。竹や籐製の椅子、チーク材の椅子、一部のオフィス用及びキッチン用家具も対象となります。 すでに以前の関税措置の対象となっていたアイスホッケー用グローブやスティック、金具が固定されたスケート靴、ゴルフ用品などです。50%の関税の対象から除外された特定の製品は、セメント、塩、砂糖、釣り竿の部品、トイレットペーパー、航空機に使用される特定の部品などです。

禁止された製品はなんですか?今回の布告により、カナダからの特定のアルコール飲料(モルトビール、スパークリングワイン、ベルモット、サイダーなど)、バーボン、ラム、ジン、ウォッカ、テキーラといった一部の蒸留酒も輸入禁止対象に含まれます。 両国間の貿易摩擦においてアルコール類が対象となるのは、今回が初めてではありません。2025年には、トランプ氏による関税措置への報復として、カナダ政府が運営する店舗から米国産のワインや蒸留酒を排除する措置を講じました。今回の布告では、乳製品やホエイ・プロテイン、濃縮物や糖蜜の輸入が禁止されるほか、ゴルフカート、排気量800ccを超えるオートバイ(カナダが米国製オートバイに対して関税を課した際と同じ区分)の輸入が禁止されます。

一方、カナダ政府が2026 年9 月8日に公開したリストによると、同日に効力を発揮したカナダによる50%関税の対象となった米国製品は、以前の25%の報復関税を50%に引き上げたものです。ミルクなどの乳製品や農産物を含む食品、金属、鉄鋼、アルミニウム、Tシャツ、ジャケットなどの衣料品、香水、スマートフォン、ビデオゲーム用コンソール及び機器、テーブル・ゲーム又は室内用ゲーム(ピンボール、ビリヤード、カジノゲーム専用テーブル、自動ボウリング設備を含む家庭用ゲーム機などの電子機器と設備品および、硬貨、紙幣、銀行カード、トークン又はその他の支払手段により作動する娯楽用機器、サーチライト及びスポットライトを含む照明器具及びその部分品、恒久的照明式標識、照明式銘板、その他これらに類する物品及びその部分品、ゴルフクラブ、釣り竿、釣り針、その他の釣り糸用漁具、などのレジャー製品、一般的な身体運動、体操、陸上競技、卓球を含むその他のスポーツまたは屋外でのゲームなどのスポーツ用品、特定の家具およびその部品が含まれています。

トランプ大統領のカナダとの貿易戦争および対イラン戦争は、中間選挙で共和党に多大な影響を与える可能性があります。ワシントンを拠点に経済政策とトランプ政権を担当しているニューヨーク・タイムスの記者トニー・ロム氏は、2024年に有権者は、彼らの経済を向上させると信じたため、トランプ氏を2025年1月にホワイトハウスに戻したものの、7月以来、石油は更に高騰し、ガソリン・スタンドでも平均価格が上昇していることを受けて、大統領のイラン政策とカナダとの貿易戦争は中間選挙に影響を及ぼすとして、9月9日に掲載された記事で、次のように指摘しています。

「トランプ大統領は今週、米国を多大なコストが伴う一連の国際紛争をさらに深く引き込みました。これにより新たな経済的リスクが生じ、金融市場は動揺し、物価再上昇の懸念が高まったほか、2026年の選挙を控えた一部の共和党員にも不安が広がっています。 中間選挙を控え、共和党支持者の結束を図る集会が予定されていたその日、大統領の政策がもたらす影響が如実に露呈しました。カナダに対して自ら仕掛けた貿易戦争はさらなる激化の様相を呈し、一方でイランにおける新たな戦闘の勃発は、原油価格を7月以来初めて1バレル100ドル超の水準へと押し上げました。これら二つの事態は、米国の家計や企業にさらなる負担を強いる恐れがあります。彼らはすでに、トランプ氏が抑制を公約に掲げてきた長年の野放しのインフレによって痛手を受けているからです。カナダに対する大統領の攻撃、そして今週発表されたカナダから米国への一部輸出品を全面的に阻止しようとする新たな動きは、国境を越えた貿易に大きく依存する米国の各州や国内産業に打撃を与えるリスクを孕んでいます。また、イランとの対立が続いていることもガソリン価格の再急騰を招き、水曜日には全米平均価格が1ガロンあたり4.22ドルを超えました」と指摘しています。

トランプ氏のカナダに対する貿易政策は、明らかに一部の再選に直面している米国上院共和党議員に影響を与えていることを指摘しています。例えば、メイン州を代表するスーザン・コリンズ氏は、トランプ氏のカナダ政策が彼女の州と州民、ビジネスに不確定の影響を与えるとの苦情を表明しました。更にカンザス州ウィチタには、カナダの航空機メーカーであるボンバルディアの米国本社の拠点があります。「トランプ氏は報復措置の一環として、同社の米国国内での販売を阻止すると警告しました。これを受け、共和党のジェリー・モラン上院議員は、地元の労働者を守る為にホワイトハウスに働きかけを行いました。」以前トランプ氏の「政治的な強みの源泉であった経済情勢は最近、最大の弱点となっており、11月の選挙で共和党が上下両院の主導権を維持できるかどうかが危ぶまれる事態を招いている」と述べています。

そして、共和党メンバーの幾人かは、トランプ氏と距離を置きていると言います。「世論調査では、事態の改善ペースに不満を抱き、自身の経済的な苦境の責任は大統領にあると考える有権者が多数派を占めるようになっている」と言います。ロム記者によると、8〜9日にテキサス州ダラスで開催されている2日間の共和党中間選挙大会で、トランプ氏は記者団に対し、「我々が成し遂げてきたことを説明するつもりだ。経済は極めて好調だ」と述べました。トランプ氏は「米国の緊密な同盟国を標的とした一連の新たな関税措置を準備しており、さらには、貿易赤字を抱える数十カ国との貿易を全面的に遮断するという、破滅的な措置を講じる可能性さえ示唆している」と指摘しています。また、トランプ氏のカナダに対する関税措置はカナダからの報復により、「両国の経済にとって深刻な悪影響の連鎖を引き起こす恐れ」があると言います。ムーディーズ・レーティングスの役員であるアツィ・セス氏は、「リスクとなるのは不確実性が続くことであり、それによって紛争期間中の事業活動が停滞したり、変化を余儀なくされたりする可能性がある」と指摘しました。彼女は、「自国の経済や生産に打撃を与えずに、広範な関税を課すことは非常に困難です」と述べています。

「貿易摩擦の激化」に加えて、開始から7ヶ月を迎える「イランとの攻撃の再開や世界的な海運の混乱が続いたことで、国際的な原油価格の指標であるブレント原油は再び1バレル100ドルを超え、紛争前と比べて約40%上昇しました。こうした最近の混乱を受け、経済学者の間では、原油価格の高止まりが当初の予想よりも長く続き、世界経済をさらに圧迫する可能性があるとの見方が広がっています。」INGのアメリカ地域リサーチ責任者であるパドレイク・ガービー氏は、「原油価格の上昇が続けば、米国の総合インフレ率も高止まりする可能性があり、エネルギー価格の急騰が続くことは政治的なリスクも招くと指摘しました。つまり、大統領が公の場で何を言おうと、トランプ政権は物価抑制の公約を果たしていないという認識を助長しかねないということです。しかし、トランプ氏は水曜日、エネルギー価格の高騰がもたらす影響を意に介さない様子を見せました。原油価格の再上昇を国民にどう説明するかと問われた際、同氏は選挙後には価格が『急落』するだろうと約束しました。」また、「燃料費の急騰は来週、金利政策を決定する会合を控えた連邦準備制度理事会(FRB)にとっても課題となっています。長年にわたりインフレ率を目標の2%に戻すことができなかった政策担当者たちの間では、早期の利上げが必要になるかもしれないという議論が公然と交わされるようになっています。」しかし、利下げを求め続けているトランプ氏は、「そうした可能性が浮上しただけで激怒し、ここ数日はFRB理事会への批判を再開させた」と言います。トランプ氏は現在、専門家が指摘する事、私達が見ているすべての経済的現象を「軽視」しているとトニー・ロム記者は記述しています。

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