
Photo credit : Pioneer Press
2026年9月22日、ニューヨークでの国連総会でのスピーチの中で、米国大統領はイランに対する決断をしなくてはならないとし、停戦の合意かまたは破滅かのどちらかであると述べました。また、キューバを侮辱した瞬間に、同国のリーダー達は会場から立ち去りました。トランプ大統領は更に、国際刑事裁判所を批判し、全構成員に対して即時辞任するよう求めました。12月に退任するアントニオ・グテーレス国連事務総長の最後のスピーチはトランプ氏のスピーチとは対照的だったかもしれません。
ドナルド・トランプ大統領は22日に開催された国連総会での演説で、彼の経済政策および外交政策の自慢話、キューバへの侮辱、イランへの脅し、イランを経済的に孤立させるよう求めるなど、様々な話題でトーンが多様に変化するという場面を展開しました。「我々の経済は世界中の羨望の的であり、軍事力は地球上で最強を誇ります。技術力も比類なきものであり、事実上あらゆる分野で我々が先頭に立っています」と語りました。また、株式市場について、「2年前、この国は死んだのも同然の状態でしたが、今や世界で最も活気あふれる国となっています」と言いました。
また、トランプ氏は自身の一部の外交政策も自己賞賛を示唆する発言をしました。ベネズエラで今年の軍事作戦を行い、石油埋蔵量へのアクセスと支配に成功したとして、自身のパワーを強調しながら、イランについて語り、以前、イランの文明の破滅を脅した同様のイラン政策を語りました。「中東のいじめっ子だったが、もはやそうではない。私には重大な決断が迫られている。イランとの間で合意を結び、彼らが国を再建して、かつてないほど偉大な国――おそらく中東、いや世界でも有数の大国へと発展させることを許すのか。それとも、あのイスラム共和国を壊滅させるのか。それも迅速に、二度と人々や国々を殺戮・破壊する機会など与えずに…」と語りました。しかし、イランに対する破滅を脅した後、国連加盟国が一体となって、イランを経済的に孤立させる努力に参加するよう呼びかけ、それが成功すれば、原油価格は急落するだろうと主張しました。
更に、同大統領は、スピーチの中で、キューバを「完全に破綻した国家」と呼びました。トランプ氏がキューバ政府は「崩壊するだろう」と述べた際、キューバの代表団4人はトランプ氏の演説中に退席するという場面が会場内の映像に描写されました。彼らは、突然立ち上がり、出口に向かって歩き出したのです。しかし、トランプ氏は、キューバは「かつてないほど破綻が進んでおり、いずれ崩壊するだろう。我々の目と鼻の先で、外国の敵対勢力が米国を脅かすための拠点を築くことを許すつもりはない」と強固な姿勢を示しました。キューバからの移民の子息である国務長官マルコ・ルビオ氏は、今年からすでに数ヶ月間、米国市場解放など、キューバ側と交渉を行っていることで知られています。しかし、キューバーは、米国の提案にまだ同意していませんので、米国大統領はキューバを侮辱しました。加えて、同氏は日頃から、国際刑事裁判所を非難していますが、この日も同機関を「ならず者機関」と呼び、全構成員が即時辞任するよう要求しました。今年トランプ政権は、裁判所の所長、主任検察官、そして9人の裁判官に対して制裁を科しています。しかし、国際裁判所を支持する人々は、「規定に基づく国際秩序」の強力な象徴であると評価しており、トランプ政権は、この組織を弱体化させるために攻撃していると批判しています。
12月に退任する国連のアントニオ・グテーレス事務総長(77歳)は22日の火曜日、国連総会で最後の演説を行いました。同氏は、世界の国々は深刻な分裂に直面していると指摘し、「世界の断層は広がり続けています。亀裂は峡谷と化しました」と語りました。そして、「今後、我々の未来は、四つの大きな『力の試練』にどう向き合うかによって形作られることになるでしょう。すなわち、戦争と平和を左右する力。富を集中させ、不平等を拡大させる力。気候の混乱と自然への攻撃を助長する力。そして、人工知能によって解き放たれた力です」と述べました。また、グテーレス氏は「中東全域で紛争が連鎖的に拡大しています。もう、これ以上は許されません」と語りました。更に、彼は、気候変動対策やAI(人工知能)の支配強化についても語り、地球温暖化の影響は特に貧しい国々がより強い影響を受けているとし、すべての政府に対し、「明確な期限を設け、影響を受ける労働者や地域社会を保護しつつ」、化石燃料から脱却するための計画を策定するよう呼びかけました。グテーレス氏は「悲劇的な出来事が示しているように、その影響は多くの予想よりも早く、激しく、そして広範囲に及んでいます」と述べました。またAIについて、「この技術革命を主導する国々は、新たに生じている安全上のリスクに関する情報を共有しなければなりません。試験や評価において協力し、私たち全員を守るための共通の安全策の確立に向けて取り組むべきです」と述べました。
グテーレス氏は演説の最後に、「世界は、弱体化した国連など必要としていません。求められているのは、ありのままの世界と向き合う強さを持ち、かつ、あるべき世界を築くという強い決意を抱いた国連です」と述べました。国連の理想を決して諦めないと述べ、大きな拍手を浴びました。国際危機グループの国連専門家であるリチャード・ゴーワン氏は、グテーレス氏が、より一層の国際協力を訴える最後のメッセージを掲げて任期を終えたいと考えていたと述べました。ゴーワン氏はグテーレス氏に言及し、「彼は、国連が気候変動、人工知能、不平等といった問題により真剣に取り組むよう尽力してきました。しかし、世界が分断されている今、地球規模の連帯を求める彼の訴えは、空振りに終わってしまう恐れもあります」と指摘しました。
最後に、トランプ氏のイランに対する考えは、今年早期にソーシャル・メディアを通して、イランの文明は破滅するとの展望を語ったことと一貫性があります。当時も、イランと合意を結ぶか又は「イスラム共和国を壊滅させるか」どうかの選択であると示唆しました。トランプ氏は、国連総会でも、幾つかの国が米国政府の言いなりにはならない現状に直面しています。米国を信頼していないイランは停戦の交渉に協力的ではなく、キューバは国務長官マルコ・ルビオ氏の説得に応じる姿勢を示していません。トランプ氏は、国連総会の際に米イラン両国の当局者が会談したと言いましたが、直接対話があったかどうかは明白ではありません。いずれにしても、交渉国を納得させるための単純な原則は、貶すことではなく、敬意を表明することで、成功する場合があります。イランとの核兵器協定に成功した元大統領バラク・オバマ氏は少なくとも、イランを脅すような発言をしたことはありません。さて、今年12月に退任するアントニオ・グテーレス事務総長は、最初のトランプ政権初期以来、世界で多くの人々が死亡したコロナウイルスの蔓延、大規模な自然災害、ウクライナ、ガザ、イランなどでの紛争など、相次ぐ激動の時代に国連を率いてきました。またトランプ政権からの資金削減にも直面しました。グテーレス氏は、最後の演説中に、米国大統領を刺激しないよう、表現に注意したと見られています。彼は演説中、自身の功績を自慢することはなく、国家間の分断が深まっている現状について警告し、世界情勢について、4つの側面から人類が直面している未来に対する率直な懸念を表明し、警告を促しました。グテーレス氏は今より良好な未来を築くことは、「とりわけ超大国が、自らの力がそれほど『超』ではないと認識することから始まる」と述べました。注目すべき別の国連総会の様子は、トランプ氏が、ホワイトハウスの「プール取材」からCNNを排除したため、報道機関は早速、国連での取材をボイコットしました。従って、トランプ氏が国連に到着した様子や国連総会議場へと向かう場面など、誰も彼の様子を放映しませんでした。同氏は、このような事態になることを予期していたでしょうか?