中間選挙まで5週間が迫る中で、9月28日に最も注目されているニュースの中には、ホワイトハウスが、国民の税金を利用して大統領の個人的な宣伝広告を放映しているということが含まれています。この宣伝広告には政府が支払ったとの注記があるため、超党派の米国上院議員および複数の法専門家は、ホワイトハウスが国民の税金を大統領個人の広告に利用したとして、違反の疑惑を公的に指摘しています。
ここ数日、トランプ大統領は彼が中間選挙のスターであるような印象を与える白黒のビデオを公開しました。その広告の一部は、バックグランド・ミュージックに「Love Me」の楽曲が流れる中で、「我々は力を合わせ、アメリカから共産主義、社会主義、マルクス主義を打ち負かす」と述べ、大統領が廊下を静かに歩きながら、「これが最後の戦いだ」と語っている声が聞かれます。更に、その広告の中で、トランプ氏は「我々はフェイク・ニュース・メディアを徹底的に叩き、こうした悪党どもからアメリカを完全に解放する」と述べています。放送されているビデオは、同氏が歩きながら語っているように見えないため、音声は別に録音されたものを合体させたもので、自然な印象を与える地味な広告です。「Love Me」というタイトルの曲よりも衝撃的なことはPaid for by the U.S. government(米国政府による支払い)という注記です。これは税金が利用されたことを意味します。
これを観た専門家らは、連邦選挙法違反であると示唆または指摘しています。1971年に制定されたThe Federal Election Campaign Act (連邦選挙運動法)は、数回修正が行われましたが、大統領および議会メンバーが、自身のプロパガンダの宣伝に国民の税金を利用することを禁じています。先週既に、論争的になったこのビデオに関する疑惑のために、上院民主党の一人は、ホワイトハウスに対して行動を起こしました。ニューハンプシャー州を代表するマギー・ハッサン上院議員は24日、ホワイトハウスの大統領補佐官であるスージー・ワイルズ氏に書簡を送り、広告に関する詳細情報の開示を求めました。この書簡の中で、「この広告には明確な政府としての公的目的が見当たらず、政党や候補者を支援することを意図した一般的なプロパガンダ活動の一環として歳出予算を使用することを禁じる連邦法の規定に抵触していると見受けられる」と書いています。ハッサン上院議員は広告の制作と放映における全ての費用、関与した連邦機関と個人、起用された外部業者の名称、連邦資金の拠出源、この広告の目的、および請求書やその他文書のコピーなど、詳細な情報を提出するよう求めています。
ホワイトハウスは現在、この活動を擁護しているようです。25日にホワイトハウスは公文書を発表し、「大統領による公共広告は、今に始まったことではない」と主張しています。そして、ジョージ・W・ブッシュ政権は、高齢者に向けて「メディケア処方薬・改善・近代化法」を説明する全国的なテレビ・キャンペーンを展開し、スーパーボウルの放送枠を購入し、反薬物やテロ対策に関する公共広告を流しました。オバマ政権は、全国的な広告を通して、オバマケアと呼ばれる医療保険制度改革(ACA)の補助金や加入手続きに関するデジタル・キャンペーンを用いてACA規則の普及を図りました。バイデン政権は、コロナ蔓延中に、公衆衛生に関するメッセージを全国に浸透させるため、「私たちはできます」キャンペーンをテレビ、デジタル、ラジオ、印刷媒体での広告を展開したと述べています。
3人の元大統領によるこれらの広告は、トランプ氏の広告とは性質が同じではありません。なぜなら、過去の大統領は、具体的に政策に焦点を当てていますが、トランプ氏の税金を財源としている宣伝広告は、政策について何一つ語っていないだけでなく、露骨なレトリックを利用して自身を直接宣伝しています。つまり、政策を中心とした過去の大統領のプロフェッショナリズムと自己をアピールすることを目的とした広告とは一線を画すものがあります。そのため、共和党議員さえ、批判しているのです。MSNOWが28日に放映したビデオによると、27日にCBSニュースの番組フェイス・ザ・ネイションでのインタビューで、ルイジアナ州のベテラン上院共和党議員ジョン・ケネディ氏は、「自分自身のための個人的な広告に公金を使うべきではない。ホワイトハウスの見解はそれとは異なる」ようであると指摘しました。
更に、法専門家も違反性を指摘しています。バラク・オバマ政権下でホワイトハウスの倫理・政府改革特別顧問を務め、トランプ政権に値する複数の提訴に関与してきたノーム・アイゼン氏は、「大統領とその政権は、法を破る段階から、法を蹂躙(じゅうりん)する段階へと突き進んでいる。以前の広告もひどいものだったが、今回の広告は、過去の政治的行動を公然と流用している」と語りました。また、ジョージ・W・ブッシュ政権下でホワイトハウスの倫理担当弁護士を務め、現在ミネソタ大学の法学教授でもあるリチャード・ペインター氏は、広告に連邦資金を使用することは「権力の乱用」であり、「弾劾に値する行為」になり得ると指摘し、議会に対し、この支出の返還を求めるよう促しました。ペインター氏は、日曜日の電話インタビューで、「これは非常に危険なことです。米国では、政府主導のプロパガンダは容認されていません」と語りました。更に、超党派の監視団体キャンペーン・リーガル・センターの倫理弁護士であるマーガレット・ディラス=ユーキンス氏は、「米国政府の費用で制作された、対立をあおる選挙キャンペーンの広告は、ハッチ法の本来の趣旨に反するものです」と述べました。これら専門家のコメントは、ニューヨーク・タイムスが27日に報告しました。
最後に、25日のホワイトハウスの擁護にも関わらず、複数の専門家および米国上院議会の超党派の反応は、トランプ氏の広告が満場一致で非合法であることを示唆および指摘しています。従って、ワイルズ氏がハッサン議員の要請に応じない場合、上院委員会が彼女を含むホワイトハウスの関係者を召喚する結果になる可能性があります。法律が存在しない大統領下での政権では、次から次に訴訟に直面しているにも関わらず、合法性が問われる状況には引き続き、何の変化もないことを示唆しています。第一期目のホワイトハウスには、トランプ氏の活動に対して、合法性を指摘する弁護士が複数存在しましたが、結局、彼らは法に従う人々であったため、いずれも辞職しました。現在、二期目のホワイトハウスには、そのような弁護士は存在しないようです。トランプ氏の秘書であったウィル・シャーフ氏は、ハーバード大学で法務博士号を取得し、判事の法務書記を務めた経歴がありますが、ホワイトハウスの法律顧問に任命され、 2026年9月1日に就任したばかりで、トランプ氏にどれほど法的アドバイスをしているかは不明です。現在、トランプ氏の個人弁護士の機能を果たしているのは、従来独立しているはずの米国司法省長官トッド・ブランシュであるとみなされています。彼は、独立性を認めていないと言われています。