
By Tulsa Historical Society and Museum
今日5月31日は101年前の1921年に大きな黒人地域社会であるオクラホマ州タルサで、米史上最悪の大量虐殺事件があった日である。6月1日まで続いたその事件で、アフリカ系アメリカ人の地域社会はほぼ全焼し、数百人が死亡した。長年、オクラホマの人々を悩ませ続けたと言われているこの事件から100年以上が経過した今日、政治的な紛争として、論争的であるクリティカル・レイス・シオリィについて考えてみた。
1921年5月30日、アフリカ系アメリカ人の靴磨き師であるディック・ローランドは、ドレクセル・ビルのエレベーターに入る時に、エレベーター・オペレーターのサラ・ページの足を踏んだため、彼女は悲鳴を上げた。翌日、市の日刊紙タルサ・トリビューンは、警察に拘束されたローランドがページをレイプしようとしたと報じたことで、暴動に転じた。この事件の詳細については2年前の6月に紹介した通りである。オクラホマ州の歴史アーカイブによると、1921年初頭までに、タルサは10万人以上の人口を抱える近代的な都市に成長していた。この市内の1万人のアフリカ系アメリカ人は、幾つかの教会、図書館、2社の新聞が利用可能であり、多数の黒人経営の企業が集まる活気に満ちたグリーンウッド地区に住んでいた。しかし、タルサの犯罪率は非常に高く、市民は悩まされていた。タルサ警察は郡庁舎の刑務所から連れ去られたリンチの犠牲者を保護するためにほとんど何もしなかったと新聞が報道した。1921年、黒人に対する人種的暴力は全米で台頭し、影響力が拡大したクー・クラックス・クラン(KKK)の新たな台頭によって、黒人が殺害または迫害されるケースは珍しいことではなかった。
タルサ人種殺戮事件の歴史は、過激な人種差別の顕著な歴史の一つであり、白人で構成されているKKKの歴史を無視することはできない。悪名高いKKKは最初1865年に白人至上主義者および憎悪グループによって設立された白人テロリスト組織である。KKKは主に、アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、アジア系アメリカ人、および移民をターゲットにしていた。タルサ人種殺戮事件が発生した1921年5月当時に見られたKKKは、人種差別の活動が組織化された新たなグループである。ちょうど一年目くらいから台頭している文化戦争のクリティカル・レイス・シオリィ(重要な人種理論)またはCRTは非常に論争的であり、特に共和党州で、CRTを学校で教えることを禁止する動きが近年顕著になっている。
ブルッキングスによると、重要な人種理論(CRT)は「刑事司法制度、教育制度、労働市場、住宅市場、医療制度などの米国の社会制度が人種によって異なる結果につながる法律、規制、規則、および手順に組み込まれた人種差別がおり混ざり、人種ごとに異なる結果をもたらす」とする考えに基づく学術的な骨組みである。共和党は、CRTが「すべての白人に抑圧者であると忠告する一方で、すべての黒人を絶望的に抑圧された犠牲者として分類することを恐れている」ため、CRTに反対している。そして、「これらの恐れは人種差別について教室で教えることを禁止するために、教育委員会と州議会に拍車をかけた多くの保守派州(アイダホ、オクラホマ、テネシー、テキサス、アイオワ、ニューハンプシャー、サウス・キャロライナ、アリゾナ、ノース・ダコタ)などに言及している。
つまり、保守系のメディア、多数の共和党州および共和党議員は、米国の学生が人種差別も含めて、歴史をどのように学ぶべきかをめぐる文化戦争において、体系的な人種差別を学術的に調べるための知的手段であるCRTを学校で教えることを阻止しようとしている。近年、特に共和党がCRTに反対している顕著な現状は新たな政治的風潮である。今年1月に就任したバージニア州の共和党知事グレン・ヨンキンは、昨年のキャンペーンでCRTを廃止すると公約した。現在、進行中の予備選でも、共和党の候補者はキャンペーンでCRTを彼らの課題として提起している。2021年1月6日の議事堂反乱の集会に参加し、ペンシルベニア州知事選の共和党予備選で5月17日に勝利したダグラス・マストリアーノはCRTを禁止すると言った。しかし、ほとんどの教師は、CRTという表現を利用していないだけでなく、学校でこの概念を教えていることもなければ、これに関する学者の論文や意見書を読むよう奨励している状況はほとんどないと認識されている。
タルサの虐殺事件から101年が経過した今日、この事件の根本的原因が何であったかを考える時、現在台頭しているCRTについても考える必要があるかもしれない。タルサ人種虐殺事件は、オクラホマ州タルサで繁栄している黒人地区グリーンウッドに、白人の暴徒が侵入して、建物や家屋を全焼した残酷な暴動である。その事件のきっかけになったのは、白人女性のエレベーター・オペレーターをレイプしようとしたと非難された黒人十代の男性ディック・ローランドを白人暴徒がリンチしようとしたときに始まったことはご承知の通りである。アメリカ人は一般的に、タルサ人種殺戮事件の背後にある人種差別と、司法、教育、医療、およびその他の法律、基準、規定、および手続きに織り込まれている組織化された人種差別を明白に識別しようとすることはほとんどないため、CRTに対する共和党の紛争はほとんど無意味である。実際に起きた歴史上の事件が個人的又は組織化された人種差別に基づいたものであるかに関係なく、学校は全ての史実をありのままに教える必要がある。学校がCRTを教えることを神経質に否定する人々がいる現実に対抗する為に、タルサ人種殺戮のように、過去の人種差別による事件が、現在も多くの点で地元の人々に影響を与えている顕著な歴史をあえて強調することで、改めて人種問題について考える機会を与える可能性がある教育こそ今日必要である。