
Photo credit : American Battlefield Trust
前大統領ドナルド・トランプの弁護士らは、トランプに対する告訴を却下するために、裁判所で米国に対する陰謀又は反逆罪、憲法修正第14条3項、二重の危険などに関連する論議を展開している。このようなトランプの法的問題に歴史上最も類似した人物はジェファーソン・デイヴィスである。リンカーン暗殺関与の容疑で逮捕され、米国に対する反逆罪の容疑で起訴されたデイヴィスは、2年間投獄された南部連合国の最初で唯一の大統領であった。デイヴィスの歴史を振り返ると、トランプの状況は多かれ少なかれ共通したものがある。当ブログの調査によると、驚くことに、実際には30以上の州が、憲法修正第14条3項に基づき、トランプの資格を除外するための訴訟を提起していた。
ジェファーソン・デイヴィスの経歴
ジェファーソン・デイヴィスは1808年にケンタッキー州フェアビューで生まれ、ウェストポイントの陸軍士官学校を卒業し、プランテーションの土地と奴隷を受け継いだ。彼は 1840 年代に米国下院議会および上院議員を務め、1846 年から 1848 年のメキシコ戦争で米国を勝利に導き、1853 年に第14代大統領フランクリン・ピアースによって陸軍長官に任命された。彼は 1857 年に上院に戻り、新しい地域への奴隷制度の拡大を推奨した。デイヴィスは1861 年に南部 11の州が米国合衆国から脱退したことで、南部連合国を設立し、南部連合のトップのリーダーに選ばれ、最初で唯一の大統領に就任した。彼は、北部のエイブラハム・リンカーンをライバルとして見ていたが、長年の南北戦争がもたらした巨大な軍事力と経済を率いるリンカーンの指導力とは比較に及ばないものがあった。1978 年、議会はジェファーソン・デイヴィスの米国市民権とそれに伴う権利を回復した。デイヴィスは残りの人生を回想録『南軍政府の興亡』の執筆に費やし、1889 年に81歳の時マラリアで死亡した。死因は風邪であるとの説もある。2020年、ブラック・ライブズ・マター(BLM)の抗議活動家らは、高さ約240cmの彼の銅像を引き倒したのである。
リンカーン暗殺の容疑で逮捕され反逆罪で起訴
北軍がバージニア州リッチモンドに迫っていたとき、デイヴィスは南軍政府の存続の努力において、南軍の首都から逃亡した。北軍の騎兵隊は1865年5月、ジョージア州アーウィンビル近郊で、元南軍大統領ジェファーソン・デイヴィスを逮捕した。彼は第16代米国大統領エイブラハム・リンカーンの暗殺関与の疑いで逮捕され、バージニア州フォート・モンローで2年間の懲役刑に服した。南北戦争後、裁判には至らなかったものの、政府は、米国に対する反乱を扇動したデイヴィスを反逆罪で起訴し、市民権を剥奪した。デイヴィスは 1867 年 5 月に拘留され、その後 10 万ドルの保釈金で釈放された。第17代米国大統領アンドリュー・ジョンソン(民主党)は、デイヴィスがリンカーンの暗殺に関与したと信じていた。多くの奴隷制度廃止論者や議員はデイヴィスを処罰することに反対し、代わりに旧南部連合を処罰する再建計画を好んだ。しかし、多くの米国民は、彼が死刑になることを希望し、絞首刑を求める手紙を大統領に送り、絞首刑台を作った人物もいた。
再建時代(1865年―1877年)に、デイヴィスの運命をめぐる論議は、元南軍の政治指導者らの厳罰を支持する意見と、融合を伴う穏健な対応を支持する意見に分かれた。捜査当局は、彼がリンカーンの暗殺に関連したという容疑を証明できなかった。ジョンソン大統領は、弾劾に直面しており、その公聴会により、デイヴィスの裁判は大幅に遅れた。リンカーン暗殺の共謀者の裁判でデイヴィスとの関係が証明されなかった後、政府は1861年から1865年まで続いた南北戦争中の1864年にメリーランド州とコロンビア特別区への軍事侵攻を組織し、武器を供与したとして、米国に対する反逆罪でデイヴィスを起訴した。デイヴィスは米国から離脱の合憲性を証明する最良の場として裁判を要求し、政府は訴訟準備のために度々遅延を要求した。起訴は1868年3月に終ったが、ジョンソンの弾劾により裁判はさらに遅れた。
トランプと共通した法的論争:二重の危険
裁判所は1868年12月に最終的に予備動議を審理したが、デイヴィスの弁護側は、合衆国憲法修正第14条に基づき、デイヴィスを将来的に公職に就くのを妨げることによってすでに処罰しており、さらなる訴追と処罰は二重の危険(ダブル・ジャパディ)に違反すると主張して、告訴の却下を求めた。裁判官らは公式審理での意見が分かれ、この問題を米国最高裁に委ねることを決定した。しかし、ジョンソン大統領は、最高裁がデイヴィスに有利な判決を下す可能性を恐れ、1868年12月下旬、反乱に参加したすべての人々に恩赦を与えると発表した。デイヴィスは2年間の投獄と数年間の不安定な生活に耐えた後、自由の身となった。
この歴史は、現在4件の告訴で、特に議事堂反乱を扇動したとして、陰謀の罪で連邦告訴を受け、来年3月から裁判に直面しているトランプの刑事起訴の状況と似ている。トランプの弁護士らは、選挙妨害の容疑で、すでに米国議会がトランプを弾劾したが、上院裁判は彼を無罪にしたので二重の危険に違反すると主張している。二重の危険の意味は、司法制度内で同じ犯罪で同じ権威者が2回告訴することを意味するが、立法府の議会弾劾は連邦特別検察官による告訴とは性質が異なり、同じ権威者ではないため、トランプの弁護士らの主張は法廷論議としては問題があるように見える。議会による弾劾で大統領が有罪になった場合、その職を失うだけであり、投獄の危険はない。
共通した法的論争:憲法修正第14条3項
更に、憲法修正第14条3項に基づいて、デイヴィスは市民権を奪われ、公職に就くことを禁止された。複数の専門家は、ドナルド・トランプが米国に対する暴動または 反乱に従事したとして、第14条3項に基づき、大統領に立候補する資格はないと論議した。その直後から、トランプの大統領としての資格に疑問を提起し、驚くことに、全米で32州の個人および団体、州、郡、地域の政治関係者が、2024年の予備選及びまたは大統領選の投票用紙からトランプを除外するための訴訟を開始した。これらの訴訟は現在未決定の州を含めると、これまで認識されていた規模より遥かに大きい。この波は、訴訟を自発的又は強制的に却下した10州を除き、ほとんどの州では裁判はまだ終わっていない。全米での訴訟を追跡している法律実行メディアによると、その状況は以下の通りである。
| 州名 | 件数 | 裁判状況 |
| アイダホ | 自発的に却下 | |
| アラスカ | 未決定 | |
| アリゾナ | 未決定 | |
| カリフォルニア | 未決定 | |
| カンザス | 未決定 | |
| コロラド | 未決定 | |
| コネチカット | 未決定 | |
| デラウェア | 未決定 | |
| フロリダ | 2 | 2件とも却下 |
| メイン | 自発的に却下 | |
| マサチューセッツ | 未決定 | |
| ミシガン | 2 | 1件は未決定、別の1件は却下 |
| ミネソタ | 却下 | |
| モンタナ | 未決定 | |
| ネバダ | 未決定 | |
| ニューハンプシャー | 却下 | |
| ニュージャージー | 未決定 | |
| ニューメキシコ | 未決定 | |
| ニューヨーク | 2 | 2件とも未決定 |
| ノース・キャロライナ | 自発的に却下 | |
| オクラホマ | 自発的に却下 | |
| オレゴン | 未決定 | |
| ペンシルベニア | 自発的に却下 | |
| ロードアイランド | 未決定 | |
| サウス・キャロライナ | 未決定 | |
| テキサス | 未決定 | |
| ユタ | 自発的に却下 | |
| バーモント | 未決定 | |
| バージニア | 未決定 | |
| ウェスト・バージニア | 未決定 | |
| ウィスコンシン | 未決定 | |
| ワイオミング | 未決定 |
このリストに記載された州は、リベラル州、独立州、保守派州が含まれており、超党派的であることが注目に値する。1868年7月に批准された憲法修正第14条3項に基づき32州が前大統領ドナルド・トランプには立候補する資格はないとの理由で、起訴した中で、どの州も原告の主張を保持した結果をまだ見ていない。起訴を却下した州では、南部連合の大統領ジェファーソン・デイヴィスに適応されたこの憲法条項は155年後に4件の告訴を受けた米国合衆国の元大統領には適用されないという判断に基づいていることを示唆している。又は州の裁判所は、そのような決定をすることを避けているようである。しかし、米国最高裁は以前に、公職者としての的確性も含む政治的に非正当な問題には関わらないと述べたように、国民は真実を知る権利があるため、3月4日から始まる2021年1月6日の選挙転覆に関連する裁判と2024年11月の選挙結果が判明するまで、関与するべきではない。