政権は行政府が最も権威があると示唆?

メディアは、億万長者と政府の最高権威にある同盟者が行政の権力の限界を試しているか又は憲法の三権分立を無視し、大統領が最も権威があると示唆する副大統領JD・ヴァンスと選出されていない富豪者のイーロン・マスク両氏の論争的な発言に注目している。現在、トランプの大統領令に対する多数の訴訟で、ほぼ全てのマスクの行動を連邦裁判所がブロックしている現状を受けて、トランプ政権の弁護士らは裁判官の命令に苦戦している。その最中に、ドナルド・トランプ大統領を代表しているイーロン・マスクは法的に不可能であるにも関わらず、判事に対する解雇を提案した。それに続き、副大統領ヴァンスは、裁判官の権力に疑問を投げかけるコメントをソーシャル・メディアに投稿した。当ブログのこの投稿は、マスクとヴァンスによるXでの主張に反論するためである。

最近の訴訟で、次から次にイーロン・マスクの行動が裁判官によって阻止されている中で、彼は過激な発言により裁判官を攻撃した。マスクは2025 年 2 月9日午前 4時01分にXでの投稿で、「選出された機関によって決定された任命裁判官の最悪の 1%を毎年解雇することを提案します。これにより、最も腐敗した最も能力の低い裁判官を排除できます」と書いた。これは如何に憲法に無知である人物が政府効率化局(DOGE)を率いていることを示唆している。この発言に対して、一体誰が裁判官を解雇できるのかと問いたい。裁判官を解雇できる人は誰も存在しない。それは裁判官を指名した大統領及びその指名者を承認した上院議会のメンバーでさえ、裁判官を解雇することはできない。裁判官を追放する唯一の方法は下院議会で弾劾調査を行い、上院議会で弾劾裁判を実施することのみである。「最も腐敗した裁判官」と言うなら、富豪の不動産業者ハーレン・クロウから多額の現金や贈り物を頻繁に受理し、報告しなかった米国最高裁の保守派判事クラレンス・トーマスに言及できる。同氏のような判事に対する弾劾は昨年民主党下院議員によって弾劾記事が起草されたが、民主党は両院で少数派であるため、その可能性はない。毎年1%の裁判官を解雇するべきであるとのマスクの主張も三権分立の法則を無視したものであり、トランプ政権の行政府が最も権威があると示唆している。

マスクに続き、副大統領JDヴァンスは9日午前 5時13分の投稿で、「裁判官が将軍に軍事作戦の遂行方法を指示しようとすれば、それは違法となる。​​裁判官が検察官としての裁量権の行使方法について司法長官に命令しようとすれば、それも違法となる。​​裁判官は行政の正当な権力をコントロールすることはできない」と書いた。最初の二行は仮説であり、裁判官は司法府とは無関係なこのような行為を行った記録はない。最後の「裁判官らは行政の正当な権力を統制することは許されません」という箇所には誇張がある。1月20日の就任直後から、大統領令に続いてほぼ日々起きている訴訟は、大統領を代表しているイーロン・マスクが行っている行為が非合法であることが原因である。故に「行政の正当な権力」であるとは言えない。予算削減、省庁機関の設立と廃止など、全て議会が認可することを憲法が定めている。マスクは正当に上院に認可された公務員ではなく、彼のDOGEも議会が認定し設立されたものではない。従って、ヴァンスはそのような状況も含む憲法について述べていないため、彼のXでの投稿は、多数の主要メディアが「裁判所の権力に疑問を投げかけている」と注目している。

現時点で、トランプの大統領令に対する訴訟が相次いている多数の議題に対して連邦裁判所は憲法の合法性に基づいて、大統領令が有効になることを阻止しているため、ヴァンスは判事らに対して警告したものと思われる。しかし、ヴァンスの表現そのものは、大統領が裁判官よりも権力があると示唆しており、これは三権分立の法則を無視している。例えば、議会は立法府であり、議員らが起草する法案を法律として投票により制定する権利がある。政権は行政府であり、行政府の最高権力者である大統領は、議会が可決したその法案に署名するか又は拒否権を発動する権利がある。大統領が署名した法案は連邦法となり、大統領はその法律を忠実に保護するよう憲法で定められた任務がある。司法府である裁判所の判事は、大統領が署名した法律に異議が申し立てられた場合、その連邦法の合憲性を判断し、連邦法に関わるその他の裁判を解決する権限を保持している。つまり、立法、行政、司法の 3 つの部門は憲法上のチェツクとバランスの体制下で機能している。これは、それぞれの部門が独立していることを意味することから三権分立と呼ばれているのである。しかし、憲法はそれぞれの部門がお互いに協力し合い、それぞれの独立性を尊重することを求めている。従って、裁判官より大統領の権力は優位であると示唆しているヴァンスの記述は問題であり、非民主的な響がある。

ヴァンスの発言は、ニューヨーク州の司法長官レティシア・ジェイムスを筆頭に、19州の司法長官が7日夜に起こした訴訟でイーロン・マスク及び彼のメンバーが財務省のデータにアクセスすることを禁止する命令を下した判定に激怒した可能性がある。ニューヨーク・タイムスの10日の報道によると、この裁判の「訴状には、銀行口座の詳細や社会保障番号などの機密情報が含まれるこれらのシステムにマスクが雇用した『特別政府職員』のアクセスを認めるトランプ政権の政策は違法である」と主張した。「実際には省庁ではないマスクの政府効率化局の職員らは、データベースをくまなく調べて、削減すべき支出を見つけている。マンハッタンの米国地方裁判所判事ポール・エンゲルマイヤーは、8日早朝の緊急判決で、就任式の1月20日以降にシステムへのアクセスを許可されていた当局者らに対し、彼らのアクセスによって漏洩のリスクが高まり、システムがハッキングに対してより脆弱になると述べ、「財務省の記録とシステムからダウンロードした資料のコピーをすべて直ちに破棄する」よう命じたことはご承知のとおりである。

トランプ政権は9日に提出した書類で、政府と州の司法長官らが争点を「少なくとも絞り込む」ために交渉していると指摘した。政権の書類では、エンゲルマイヤー判事の命令は「著しく範囲が広すぎる」とし、スコット・ベセント財務長官にさえ不当に制約を課していると述べた。又、政権側は「この命令が、省を中断なく監督し管理する責任を負っている財務省の幹部にまで及ぶべき正当な理由はない。この命令が財務省の上級政治任命官に適用される限り、憲法上任命されて率いる省庁を監督する閣僚の能力に対する、異例かつ前例のない司法介入となる」と反論している。彼らは、裁判官の命令が三権分立を無視し、行政府の職員任命権を剥奪することで憲法に違反していると主張した。彼らは、この制限は財務省で働く公務員と政治任命職員の間に「許されない憲法に反する区別を生じさせる」と書いた。

最後に、トランプ政権の弁護士らは、議会に認可されておらず、議会での権威を超えて行動を取るマスクを簡単に財務省の繊細で機密性の高い情報にアクセスすることを許可した財務長官スコット・ベセントにも責任があることを無視している。ベセントが政界で経歴のある人物であったなら、もっと慎重であったはずである。JD・ヴァンス副大統領は、裁判官が「行政府の正当な権力を統制する」ことは認められていないと宣言し、マスクは彼に都合の悪い判定を下した判事が存在する現実に直面した後に、裁判官の解雇を提案した。この二人の主張は、いずれも憲法に基づいた論議ではなく短絡的、政治的、及び感情的ある。両氏はいずれも、裁判所と大統領のどちらがもっと権威があるかを疑問視していることを示唆している。しかし、トランプの弁護士らは、判定の範囲を限定するよう交渉を試みていることから、訴訟がどれほど重要であるかを示唆している。しかし、非合法の大統領令は次から次に裁判所がブロックしているため、行き詰まった中で、苛立っているマスクとヴァンスの投稿に関して、「大統領の同盟者らが裁判官の命令を無視する」よう促しているとの法学者の意見もある。相次ぐ訴訟により、裁判が終わるまでマスクの活動は保留されるため、その期間、米国には多大な変化はないと思われるが、大統領が裁判所の命令を無視し、行動を押し出す場合、米国では憲法の危機が起き、民主主義に終止符が下されることになる。

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