移民ガルシアの過酷な運命

Photo credit : The Washington Post

トランプ政権によってエルサルバドルのテロリストを収容する悪名高い刑務所に強制送還されたメリーランド州の合法移民キルマー・アブレゴ・ガルシアは、最近判事の命令によって、拘束から解放された。判事は22日、政権のICEが再度彼を拘束しないよう命令した。ガルシアほど苦難を経験した合法的移民はほとんどいないが、現政権は、ガルシアが米国に不法入国した不法移民として対処してきた。ガルシアは遂に米国に戻り、米国市民である妻と子供との生活を取り戻したが、拘束の脅しはまだ残っている。

キルマー・アブレゴ・ガルシアはエルサルバドルで育ち、2011年頃、16歳の時にギャングの脅威から逃れるため、不法にアメリカ合衆国に移住した。2019年、移民裁判官は、彼がエルサルバドルに帰国した場合にギャングによる暴力に直面する危険性があるとして、強制送還保留の措置を認めた。

トランプ政権下でのガルシアの運命

2025年3月15日:ガルシアはトランプ政権下の米国政府によって不法に強制送還された。米国政府はこれを「行政上の誤り」と称した。彼はエルサルバドルのテロ対策拘禁センターに裁判なしで投獄された。

2025年4月10日:ガルシアが国外追放された後、メリーランド州の米国市民である彼の妻は訴訟を起こし、米国政府に対し、夫を米国に帰国させるよう求めた。地方裁判所の判事は政府に対し、彼の帰国を「促進し、実現する」よう命じた。政府は控訴したが、米国最高裁は満場一致で、政府は彼の帰国を「促進」しなければならないとの判決を下した。

2025年6月6日:連邦政府はアブレゴ・ガルシアを米国に帰国させたが、ガルシアは予告せず拘束された。トランプ政権の国土安全保障省は、ガルシアが2022年にテネシー州で行われた交通検問に基づき、人身密輸の罪で拘束し、司法省は彼が不法移民を不法に輸送したとの罪で彼を起訴した。ガルシアはこの容疑を否定した。彼はテネシー州の刑務所に収監されたが、テネシー州の連邦判事は、裁判まで釈放できるとの判断を下した。しかし、ガルシアの弁護士は彼が再び即座に国外追放される危険性があるとの懸念を表明したため、判事は彼の身の安全のために刑務所に留まるよう命じた。

2025年7月23日:メリーランド州とテネシー州の裁判所は同時に彼を刑務所から釈放するよう命じ、釈放後の即時国外追放を禁止した。1か月後、彼は保釈され、メリーランド州に戻った。しかし、 米国移民税関捜査局(ICE)は、彼を第三国に強制送還する意向であると警告し、数日後に彼を拘束した。

2025年8月22日:ガルシアは、6月から収監されていたテネシー州の刑務所から釈放され、メリーランド州にいる家族のもとに戻り、そこで裁判を待つことになった。釈放から数分後、移民税関執行局(ICE)は、彼をウガンダに強制送還する意向であるとの通知を送付した。

2025年8月25日:ガルシアはボルチモアの入国管理事務所に出頭し拘束された。また、米国での亡命を求めて、自身の移民訴訟の再開を申し立てた。

2025年10月1日:ボルチモアの移民裁判官は、ガルシアの移民訴訟再開の申し立てを却下した為、彼の弁護士は控訴すると表明した。

2025年12月11日:メリーランド州の連邦裁判官はガルシアの国外追放に対する法的異議申し立ての手続きが進められている間、ICEに対し、彼を直ちに釈放するよう命じた為、ガルシアは釈放された。

2025年12月22日:連邦判事はトランプ政権がガルシアを再び拘束することを禁じる一時命令を維持した。判事は、ガルシアが再び不法に国外追放されないという保証がないため、今後の判断を下すにあたり、当局に今後の意向を説明するよう求めていると述べた。

以上は、キルマー・アブレゴ・ガルシアが2025年に約9ヶ月間におよび経験してきた苦難の人生である。不法移民として入国し、米国市民と結婚し、合法的移民の地位を得た外国生まれのガルシアのような個人は強制送還の対象のなりやすいのである。これは稀なケースである。

上記タイムラインはICEが執拗に、最初の入国が不法であったとして、ガルシアを繰り返し拘束し、強制送還を脅している事実を示している。しかし、少なくとも二人の連邦判事は、ワシントンDCとメリーランドの裁判所で、法的プロセスを無視したICEの行動と戦ったのである。

22日にワシントン・ポストが伝えたところによると、米国連邦地方裁判所のポーラ・シニス判事は、政権側がアブレゴの事件における適正手続きを確保するための措置を講じる前に「真夜中に」彼を再び拘束しようとするのではないかと懸念を表明し、米国政府による度重なる虚偽の陳述について司法省の弁護士を厳しく叱責した。シニス判事は、司法省の弁護士エルネスト・モリーナ・ジュニアに対し、「これらの陳述、つまり虚偽の陳述は、再び悪意に基づくものであると判断する」と述べ、政府弁護士が訴訟書類に虚偽の情報を記載することに「我慢の限界を超えている」と語った。 シニス判事は、メリーランド州に長年居住するアブレゴの再逮捕を禁じる命令を下し、弁護団と政府はそれぞれ追加の訴訟書類を提出するまで有効であると述べた。そして、 12月22日の判定で、コロンビア特別区連邦地方裁判所のジェイムス・ボアスバーグ首席判事は、アブレゴとともに残忍なエルサルバドルの刑務所に強制送還された多数のベネズエラ人について、政権側が行った強制送還は「彼らの適正手続きの権利を明らかに侵害するもの」であり、彼らは刑務所に収容されている間も米国政府の「事実上の拘束下」にあったと判断した。ベネズエラ人拘束者たちは、捕虜交換の一環として、後にエルサルバドルからベネズエラに移送された。ボアスバーグ判事はトランプ政権に対し、1月5日までに、彼らの米国への帰国を促進するか、あるいは「適正手続きの要件を満たす審理」を行うための提案を提出するよう命じた。判事の命令書には、ベネズエラ政府は移民たちの米国への帰国を妨げない意向を示していることが記されていた。

最後に、この二人の判事は、トランプ政権の攻撃的な移民法に対応しており、ガルシアの事件にはメリーランド州とワシントンDCの2つの管轄区で、複数の判事が関与している。ポーラ・シニス判事は、メリーランド州連邦地方裁判所の判事として2015年3月26日にバラク・オバマ大統領に指名された。 彼女はキルマー・アブレゴ・ガルシアの国外追放裁判で裁判官を務め国内外で多大な注目を集めている。ホワイトハウスの弁護士らは、連邦裁判所の判事らに対して、反発的である為、裁判官には多大な葛藤があることを示唆している。ジェイムス・ボアスバーグ判事は2011年にバラク・オバマ大統領によって任命され、米上院によって満場一致で承認された。ボアスバーグ判事はそれ以前、ジョージ・W・ブッシュ大統領によって任命され、コロンビア特別区上級裁判所の判事を務めていた。同判事は司法サービスの経歴が非常に長く、ガルシアの事件で、ボアズバーグは3月15日にベネズエラ人への強制送還を阻止し、離陸した航空機を引き返すよう命じたことで知られている。トランプ大統領は2025年3月17日、ソーシャル・メディアに、ボアスバーグ判事を「過激な左翼の狂った判事」と批判し弾劾を要求した。ご承知の通り、米国最高裁の主席判事ジョン・ロバーツは異例の声明を発表し、裁判官に対する弾劾は適切ではないと警告したことで知られている。現在、キルマー・アブレゴ・ガルシアは、攻撃的で徹底した追放を試みたトランプ政権に対抗したこの二人の判事に保護されており、約9ヶ月間失った人生を取り戻しつつある。国土安全省の長官クリスティ・ノーム下のICEは米国の各地で過激な逮捕劇を繰り返し、世界が注目している中で、判事やガルシアの弁護士らは油断できない状況下に置かれている。

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