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ドナルド・トランプ大統領は強制送還されたベネズエラの市民を米国に戻すよう求めた連邦裁判官の命令を無視しているだけでなく、この裁判官を弾劾するべきであると主張している。トランプと彼の同盟者は、トランプ大統領は司法府を超えた権力があると示唆している中で、米国最高裁の主席判事ジョン・ロバーツは珍しく、トランプのメッセージに対して声明を発表し、トランプの弾劾発言を拒否した。主席判事は毎年、裁判所向けの報告書を公開するが、一般公開された2024年12月の同判事の報告書の中には、裁判官の命令を無視することは脅迫の一環であると示唆した。
トランプ大統領は14日に1798年外国人敵対者法を行使して、ベネズエラのギャングのメンバーとされる人々を国外追放した。コロンビア特別区米国地方裁判所の首席判事ジェイムス・ボアズバーグは15日にベネズエラ人への強制送還を阻止し、離陸した航空機を引き返すよう命じた。ホワイトハウスはこの命令を無視した。これに同調したトランプの同盟者らは、公的に声をあげ、裁判官の命令は違反であると主張している。トランプ政権一期にスピーチ・ライターであり、現在ホワイトハウスの上級補佐官であるスティーブン・ミラーは17日、エルサルバドルへの強制送還者を運ぶ飛行機をめぐる裁判官とトランプ大統領との衝突が続いている中で、大統領は外国テロ組織に指定されたトレン・デ・アラグア・ギャングのメンバーを追放していた為、外国人敵対法を行使する権限があるとし、「判事は、このテロ組織とこれまでに行われた外交について一切情報を得ずに違法な命令を下しました。米国外で運航している航空機の移動を命じようとしているという事実」があると言った。司法長官パム・ボンディは17日、フォックス・ニュースの「ジェシー・ワッターズ・プライムタイム」でのインタビューで、連邦判事が強制送還の一時停止を命じたにもかかわらず、トランプ政権は「絶対に」ベネズエラ移民の強制送還便による送還を続けると述べた。 ボンディは「彼らは外国人テロリストであり、大統領が特定し、そのように指定しました。我々は外国人敵対法に従い続けます」と述べた。
ボアズバーグ判事は、引き続きエルサルバドルのテロリスト監禁センターで拘束されている彼らを米国に戻すよう命令したが、無視されている。同判事は17日、エルサルバドルに強制送還された人々を乗せた飛行機を引き返すよう命じた彼の命令をトランプ政権が無視したかどうかを問うた。ホワイトハウスは「同判事の口頭指示は考慮せず、書面の命令のみに従う必要があり、米国を出発した便には適用されない」と主張した。また、トランプ政権は「国家安全保障上の問題により、強制送還に関する同判事の質問には答えられない」と述べた。これに対し、ボアズバーグ判事は「私はただ、たとえ国際空域であっても、米国を出発した飛行機に私の衡平法上の権限(救済困難な特定の状況下で裁判所が行う権利)がなぜ適用されないと思うのかと聞いているだけです」と述べた。
ボアズバーグ判事は、この事件に戦うことを示唆した為、トランプはツゥルース・ソーシャルに「悲しいことにバラク・フセイン・オバマによって任命されたこの極左の狂った裁判官は、トラブルメーカーであり扇動者であり、大統領に選ばれたわけではない。彼は一般投票で勝ったわけではないのだ(大差で!)……私は有権者が私に望んだことをしているだけだ。この裁判官は、私が出廷を強いられている多くの不正な裁判官と同様に、弾劾されるべきである」と投稿した。このメッセーには2024年の選挙結果を長々と詳細に書くことで、彼が圧勝した大統領であることを強調し、選出されていない裁判官より、彼には遥かに権威があると示唆している。
トランプの投稿から数時間後、珍しく米国最高裁主席判事ジョン・ロバーツは「2 世紀以上にわたって、弾劾は司法判断に関する意見の相違に対する適切な対応ではないことが確立されています。通常の上訴審審査手続きは、その目的のために存在します」とトランプの感情的な声明に対して、穏やかに説明した。主席判事が、トランプのレトリックに対抗する声明を発することは稀であるため、今日主要メディアは、驚きの反応を示している。上記のトランプの投稿及びこの短いロバーツ判事のメッセージはいずれも18日、CNNがTV画面に掲示した。
ロバーツは、毎年12月報告書を一般公開しているが、2024年12月31日の日付による15ページの報告書の中で、「私は、法の支配の基盤である裁判官の独立性を脅かすと思われる4 つの違法行為について言及せざるを得ないと感じています。それは、(1) 暴力、(2) 脅迫、(3) 偽情報、(4) 合法的に下された判決を無視する脅迫です。もちろん、職務を遂行する裁判官に暴力を振るう余地はありません。しかし、近年、司法のあらゆるレベルで確認される脅迫が大幅に増加しています。米国連邦保安官局の統計によると、裁判官に向けられた敵対的な脅迫や通信の量は、過去 10 年間で 3 倍以上に増加しています。過去 5 年間だけでも、連邦保安官局は連邦裁判官に対する 1,000 件を超える重大な脅迫を調査したと報告しています。幾つかの事例では、こうした脅迫により、連邦判事に専任の連邦保安官局の警備要員を配置する必要が生じ、約 50 名が刑事告発されました」と書いている。
要するに、トランプ大統領は、口止め料支払いにおいて財務操作を行なった34の罪状における陪審員の有罪判決を却下しなかったマンハッタンの判事、および正当な手続きが省略されたベネズエラの男性らに対する強制送還を阻止しようとした判事や現在トランプの大統領令を阻止している多数の判事らに対して、弾劾を含む極度の嫌悪感を表明している。一方、米国最高裁の主席判事ジョン・ロバーツは、トランプのそのような表現に対して、正当な法的プロセスがあることを説明した。ロバーツ判事は12月末に、裁判官に対する威圧や脅迫が多くなっていることを既に警告しており、独立した司法制度を引き続き擁護する姿勢をアピールした。現在、裁判官の命令を無視し始めたホワイトハウスと上院公聴会で、法律を遵守し、独立することを示唆した司法省の長官は、ほぼ完全にトランプの忠誠者であることを益々明白にしている。裁判官の命令無視は「憲法の危機」であるとして、一般的に懸念が表明されているが、これはその最初のステップかもしれない。