人間の正直性に関する驚きの世界的研究は何を示唆?

外出先で財布を失くした場合、その財布が貴方の手に戻る可能性はほとんどないと想定することが通常である。しかし、実験結果は名刺を含めて、紛失者の連絡先が判明しており、特に現金が入っている場合、その金額が多いほど報告される可能性は高い。数年間かけたその実験は、米国を含む幾つかの西洋諸国、中国を含むアジア、アラブ首長国連邦を含む中東など40カ国の350以上の都市で行われた。このユニークな実験結果は、人間の罪悪感、国柄で異なる人種の同一性、集団的道義、国の汚職頻度などによって異なるか又は関連性があると専門家は、分析している。

その結果を概説した昨年6月20日のニューヨーク.タイムス(NYT)は、現金が入っている財布を紛失した場合、戻ってくる「可能性は低くなるだろうか」と問いかけ、「私たちのほとんどが人間の本質について想定していることを考えると、それはトップ経済学者や一般の人々が通常予測することである」と述べている。しかし、40カ国で一部の融資も含めて合計$600,000を利用した「賢い新たな研究」によると、 「人間の本性についての我々の推測は違っている」ことを示唆している。この研究は3年間、人々が正直に行動する必要のない設定で、どのような行動を取るかを観察し、科学誌に掲載された「最大の現実の世界的テスト」である。

研究者は南極大陸を除くすべての大陸の355都市で17,303の財布を失われた状況を設定した。米国では2015年にアルバカーキ、シカゴ、メンフィス、ニューヨークを含む25の都市で実験した。中身が見える透明な名刺ケースには、その国で共通の3つの男性名の名刺を挿入した。例えば、ロシアではディミトリ.イワノフ、インドネシアではトノ.ヘンドリアンタ、ケニアではピーター.キヒガ、アメリカではブラッド.オブライエン、ブレット.ミラー又はコナー.ベーカーの名前が利用された。各名刺にはEメール.アドレスが記載されていて、その人はフリーランス.ソフトウェア.エンジニアであると識別されていたので、人々は雇用主に連絡する必要はなかった。それぞれの財布には、鍵と母国語で書かれた手書きの食料品リスト(牛乳、または地元の類似飲料、パン、パスタまたは米や麺、バナナ)が含まれていた。お金が入っていない財布もあり、一部の国の現地通貨は13.45ドルで、各国に匹敵する値に調整されていた。研究者の助手は郵便局、ホテル、警察署、銀行、美術館などの場所に歩いて行き、受付で誰かに近づき、「こんにちは、私はこれを角の曲がったところで見つけました。誰かがそれを失ったに違いありません。私は 急いでおり、行かなくてはならないので、これの面倒をみてくれませんか」と要請した。

このような場面での実験において、ペルーとメキシコを除くすべての国で、現金のない財布よりも、多くの人々がお金の入った財布を返却するために電子メールを送った。しかし、研究者はメールの結果は統計的な有意性に乏しいと述べた。平均して、現金のない財布を与えられた人々の40%は、それらを報告したのに対して、現金の入った財布を与えられた人々の51%はそれを報告した。研究者たちはこの結果に驚き、その後再びポーランド、イギリス、アメリカの3カ国で実験を行い、94.15ドルのもっと「大きな金額」を入れた財布を追加した。 その違いは更に明白であり、財布の現金が多いほど電子メールで連絡する率は増加した。現金の入っていない財布を報告した人は46%、13.45ドルの財布を与えられた人の61%に対して、94.15ドルを入れた財布の報告は 72%であった。

この驚きの実験結果は何を示唆しているか?この研究の著者であるミシガン大学の情報助教授アラン.コーンは「証拠は、人々が他人の幸福を気にする傾向があり、自分自身を泥棒と見なすことに嫌悪感があることを示しています」と述べている。より多くのお金が入った財布を与えられた人々は、不誠実からより多くのお金を得るが、それはまた「不正直な行動の心理的コスト」が増加することになると述べている。博士課程の学生で、共同執筆者であるクリスチャン.ズンドは、彼らが行なった実験で発見したことは「お金が入っていない財布は、報告しないことで盗んだとの罪悪感はないが、お金が入っている場合、突然盗むように感じ、財布のお金が増えると、益々盗んだような感じが増加する」と述べた。研究者は、汚職が比較的少ないスイスと、汚職が高いチェコ共和国でも実験を行なったが、両国で、事故で落とした可能性がある小銭をのぞいて、お金が入った財布はほとんど返却された。

また、国によって、紛失された財布の報告率は異なっていた。スイスと幾つかのスカンジナビア諸国は最も高い率であり、中国とモロッコが最も低かった。アメリカは中央値であり、アメリカ人は、スペイン、フランス、ロシアの人々と同じ程度の率でお金が入っている財布を報告した。この実験に関与していないハーバード大学の経済研究者ジョナサン.シュルツは人種の同一性や国民的忠誠心などの特徴が違いを説明するのに役立つかもしれないと述べた。財布を返却した率が高い国々は「非常に開放的な社会、高い流動性を持っており、人々は家族と一緒に暮らしていない」と述べた。一方、 返却率が最下位であったカザフスタン、アラブ首長国連邦、インドネシアのような国は「非常に強い集団内の道義」があり、家族にお金を与えるかわりに、財布を返すことは不道徳かもしれない」と述べた。しかし、彼は米国では何か起きているのか良く分からない」と付け加えた。

カリフォルニア州に在住していたある日、大具用具の大手スーパーで、自動支払い機の中から300ドルの現金を見つけた夫は、そのお金を顧客サービス.カウンターの係員に引き渡し、どこで見つけたか説明した。その係員は「有り難う」と礼を言い、夫の行為は「稀であり、賞賛に値する」と述べた。このコメントは、拾ったお金または財布が誰かに報告されることはほとんどあり得ないとの世界観を反映している。しかし、NYTの記事は「貴方は拾った財布を返却しますか」と題した興味深い記事で、世界多数の国の人々を対象に行われた実験がグローバル的に、人々は正直であることを示唆した。しかし、研究者は財布の紛失の状況を人工的に設定している為、誰も目撃していない自然な状況で紛失した財布が誰かに拾われ、その後どうなるかは全く想像不可能である。その角度からの研究は不足しているが、この質問に自問自答する時、この研究結果を何となく理解できると感じる人は多いはずである。

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