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体重減少、質の高い睡眠、栄養や運動のバランス、アルコールの削減などの努力は認知症や脳卒中のリスクを減少させる努力の中で重要であるが、その努力がどのように実際に脳の健康を促進しているのだろうか?ハーバード健康出版の主任医学編集者ハワード・ルワイン医学博士が評価し、ハーバード女性健康ウォッチの編集長モーリーン・サラモンが寄稿した2024年2月2日の記事は、認知症や脳卒中のリスクを減少することに役立つ可能性がある新しい頭脳ケア得点カードを開発した研究者の国際的研究について報告している。
この研究は、2023年12月にFrontiers of Neurologyにオンラインで発表されたものである。この研究には、イギリスのバイオバンクに個人の健康情報を提供した40歳から69歳までの成人約399,000人(平均年齢57歳、女性54%)が参加した。 平均12.5年の追跡期間中、参加者は5,354件の認知症と7,259件の脳卒中を記録した。研究者らは、研究開始時に頭脳ケアの得点が高かった参加者は、時間の経過とともに認知症や脳卒中を発症するリスクが低いことを発見した。 健康と自立に対するこれらの脅威は、米国の人々に驚くべき、そして増大する犠牲をもたらしている。米国人の7人に1人は認知症に悩ませており、その割合は2050年までに3倍になると予想されている。CDCによると、米国では毎年795,000人以上が脳卒中を患っている。
マサチューセッツ総合病院のマッケンス脳健康センターの研究者が主導したこの国際研究で、特に認知症や脳卒中のリスクを低下させ、より健康な脳を維持するために、人々が行なっている努力と改善できる点を簡単に計算可能な頭脳ケア得点(BCS)カードが考案され、研究者たちはそれを検証した。分析に関与していないハーバード大学医学部の神経学講師アンドリュー・バドソン博士は「研究者がこのような尺度を開発し、この尺度で得点が悪くなると認知症や脳卒中のリスクが高まるかどうかを調べる最初の研究を完了したことは、本当に役に立っています。一方で、これまでこのようなことをした人は誰もいません。しかし、もう一方では、何年も前から誰もが知っている健康要因を新しい形でまとめているのです」と述べている。
得点カードは、身体的要素、ライフスタイル、社会感情の領域からポイントを集計するシステムになっている。⑴ 身体の要素は、血圧、血糖値、コレステロール、BMI(ボディマス指数)の項目に関連している。⑵ ライフスタイルの要素には、栄養、アルコール摂取量、喫煙、エアロビック(有酸素)運動、睡眠の項目が含まれている。 ⑶ 社会感情の要素の項目は、ストレス管理、社会的関係、人生の意味に関連している。各回答には0、1、2の得点が付けられ、最高スコアは合計21である。スコアが高いほど、脳のケアが優れていることを意味する。これらすべての身体的要因とライフスタイル要因は、脳卒中を通して認知症のリスクにある程度寄与する可能性があると言う。バドソン博士は「脳卒中のリスクがない要因は通常、すべての部分を使っている健康な脳であるという事実に関連している。健全な人間関係と有意義な活動に従事することは、脳の構造と機能を良好に保つのに役立ちます」と述べている。
この研究で判明したことは以下の通りである。
• 研究開始時に割り当てられた BCS 評価が 5 ポイント高くなるごとに、認知症や脳卒中のリスクが大幅に低下し、その確率は年齢層によって異なる。
• 研究開始時に 50 歳未満の参加者は、BCS 得点が 5 ポイント高くなるごとに、認知症を発症する可能性が 59% 低下し、脳卒中を発症する可能性が 48% 低下した。
• 研究開始時に 50 歳から 59 歳の参加者は、BCS 得点が 5 ポイント高くなるごとに、認知症を発症する可能性が 32% 低下し、脳卒中を発症する可能性が 52% 低下した。
• 研究開始時に 59 歳を超える参加者では、脳疾患に対するこれらのメリットは減少している。このグループでは、BCS 得点が 5 ポイント高くなるごとに、認知症の確率が 8% 低下し、脳卒中のリスクが 33% 低下しただけである。
• 研究著者らは、これらの参加者の一部は、進行するまで検出が難しい初期の認知症をすでに経験している可能性があると理論づけた。バドソン博士は 「BCS に含まれるすべての要素は、脳卒中や認知症のリスクを軽減するために人々が実行できる事としてよく知られているため、この研究の結論が完全に正しいと確信しています」と言う。
しかし、バドソン博士は、この研究には幾つかの限界があったと指摘している。UKバイオバンクに提供された個人の健康情報の中で、人生の意味に関する質問が欠けていたためBCSの全構成要素のデータはわずかながら不足していた。そのため、得点は最低0から最高19であった。今後の研究では、行動やライフスタイルの変化によってBCSを徐々に改善することで、脳卒中や認知症のリスクを低下させることができるかどうかが明らかになる可能性があるという。BCS の健康要素を改善することは、私たちの全体的な健康にも役立つという。バドソン博士は「これらの要素を改善することで、脳だけでなく心臓にも効果があり、がんのリスクも軽減されます。これらの要素は、脳の健康にとって間違いなく重要な部分である心理的健康も確実に改善します。ある人の栄養状態が完璧ではないとしましょう。本人もそれを知っていますが、食生活を変える気はありません。それでも構いません。その場合は、たとえば有酸素運動を増やしたり、飲酒をやめたり、体に必要な睡眠をとったりすることを決定できます」と述べている。また、どのような変化が脳の健康改善につながるのかとの疑問について、バドソン博士は脳の健康改善の要因を 一つだけ選ぶとしたら、人生の意味に焦点を当てるとし、「一般的に自分の人生に意味や目的があると感じることです。目的がわかったら、BCS スケールの他すべての項目を評価し、より長く生き、より長く有能で有能になるために何ができるかを考え、人生の意味と目的を果たす」動機を知ることが可能になると述べている。
要するに、自身の脳の健康状態を知るためにはBCS 得点システムが役立つということである。⑴ 身体の要素:血圧、血糖値、コレステロール、ボディマス指数 (BMI)、⑵ ライフスタイルの要素:栄養、アルコール摂取量、喫煙、有酸素運動、睡眠、⑶ 社会感情の要素:ストレス管理、社会的関係、人生の意味の合計12の項目を可能であれば、医師を通して、その評価を得ることも可能であることを示唆している。米国では認知症をDementia(ジメンティア)と呼ぶ。CDCによると、認知症は特定の病気ではなく、記憶、思考、意思決定能力が低下し、日常の活動に支障をきたす状態を指す一般的な用語である。米国で最も一般的なタイプの認知症であるアルツハイマー病及び関連認知症を患っている人口は現在、推定約 580 万人である。そのうち 560 万人は 65 歳以上、約 20 万人が 65 歳未満の若年性アルツハイマー病を患っている。2060 年までに、アルツハイマー病の患者数は推定 1,400 万人にまで増加し、ヒスパニック系及びアフリカン・アメリカ人が最も影響を受けると予測されている。アルツハイマー病のリスクを高める可能性がある要素には教育水準の低さ、貧困率の高さ、逆境や差別への多さが挙げられる。すべての人種の中で、主に寿命が長い女性は、男性よりもアルツハイマー病に罹患する可能性がほぼ 2 倍高い。アルツハイマー病と関連する認知症の格差を理解することは、リスクが最も高い人々に対する予防戦略を開発することであると述べている。BCS 得点システムもそのひとつであると思われる。