関税の返還を求める提訴はなぜ最高裁の判定前なのか?

Photo credit : Costco Wholesale

先週、小売大手のカスコ及ぶ他複数の小売業社は、米国最高裁が関税導入は違法であると判定するべきであるとして、その場合、関税の返還を求めてトランプ政権を提訴した。その判定の前に、今年支払った金額の返還を求める訴訟は稀である。なぜ、米国最高裁の判定前に関税の返還を求める訴訟を提起するのか?

12月初旬に米国際貿易裁判所に提出された訴状は、ドナルド・トランプ大統領が100カ国以上の製品に関税を課す措置をとるにあたり、1977年のIEEPA(国際緊急経済権限法)を悪用したと主張している。同社は訴状で、トランプ大統領の大統領令で「相互」関税を課す結果として、同法に基づき支払われたすべての関税の「全額返還」を求めている。カスコの弁護士は「IEEPAは大統領に関税を設定する権限を明確に与えていないため、争われている関税命令は有効ではなく、被告にはそれを実施し徴収する権限がない」と述べている。IEEPAの条文には「関税」という言葉やそれと同等の意味のある用語は使用されていないという事実はこれまで頻繁に指摘されている。小売業界による訴訟は、有名な大手スーパマーケットであるカスコと他複数の企業との連合による。

これは、政権から資金の返還を求める小売業者による最新の訴訟である。この訴訟の背景には、単純な理由がある。先制手段に出る場合、問題が複雑になる前に解決する可能性が高くなるためである。USA Todayの6日の報告によると、裁判記録では他にバンブル・ビー・フーズ、エシロール・ルクソティカ、カワサキ・モーターズ、レブロン、ヨコハマ・タイヤなどが訴訟に名を連ねている。司法省は法廷意見書の中で、関税が違法と判断された場合、輸入業者は還付を受ける権利がある可能性が高いと述べた。財務長官スコット・ベセントは9月、同省は「関税のおよそ半分」を還付しなければならないと述べた。

なぜ最高裁の判定前に関税の返還を求めて提訴するのか?

最初の理由として、トランプ大統領の政権を訴えることは、訴訟費用に加え、顧客の反感を買い、連邦政府との関係に悪影響を及ぼす可能性がある。キアニー・フォーサイトのコーポレート・ステート・クラフト責任者のドリュー・デロングは、「現状は非常に不確実性が高いため、訴訟を起こすことは、この措置を講じれば状況が改善するという確信を得るだけの価値があるか​​どうかの問題になる」と述べた。そして、この環境を乗り切るためのインフラを整備している企業は、していない企業より競争優位性が高くなると述べた。第二に、米国税関・国境警備局(CBP)が大規模な払い戻し手続きをどのように処理するかは依然として不透明である。しかし、「最高裁判所が払い戻しの対象を、法的措置を講じた企業のみに限定した場合に備えて、一部の企業は判決前に、払い戻し権を守るため」に訴訟を起こしている。

既に、一部中小企業連合は最高裁判所にアミカスと呼ばれる声明文書を提出し、地方および控訴裁判所が関税の大統領令は違法であるとの判定を支持するよう要請していた。このグループは、これらの訴訟が最高裁による関税撤廃で終結することを期待していると表明している。事前に法的措置で準備しているこれらの企業は「払い戻しを受けられる」と期待している。そうなれば、解雇予定の従業員の一部を復職させたいと願っているものの、「今後何が起こるかわからないので、非常に慎重」に対処する必要がある状況下に置かれている。しかし、一方で、米国最高裁の判定後も、完全に関税が終わることも期待していないという。トランプ政権は、既に先月複数のオプションがあると述べたが、具体的には発表していない。デロングは「この政権には、関税はもはや存在し得ないと主張する声は、私の知る限り存在しないと思う。関税が基盤であることは政権側が明確に表明しており、IEEPAが失効しても、彼らが策定してきた目的が損なわれることはないだろう」と述べた。

関税訴訟における消費者への広範な影響

RELEXの副大統領で食料品業界戦略担当するアマンダ・オーレンは広範な関税訴訟は、さらに消費者に大きな影響を与える可能性があると述べた。払い戻しが認められた場合、一部は顧客に還元される可能性はあるものの、消費者に大きな影響を与える可能性は低いという。オーレンは、 IEEPA関税に対する更なる広範な法的異議申し立ては、消費者にとってより重要な意味を持つ可能性があると述べた。 カーニー者研究所を率いるケイティ・トーマスは9月、USA Todayに対し、IEEPA関税が違法と判断された場合、一部の企業は価格引き下げに取り組む可能性があり、受け取れる払い戻しによって解雇が減少する可能性があると述べた。 この広範な法的異議申し立ては、現在法廷で争われている。米国最高裁は訴訟を迅速に審理し、11月5日に審理を行ったが、最終判決の時期を明らかにしていない。一部のメディアは近々判定すると予測している。

ご承知のように、大統領の関税は、ある時点で米国への輸入製品に対して、4回目の国家非常事態宣言によりカナダ、メキシコ、中国、および世界的な関税10%を課すことに加えて、特定の国と企業に対して、最大50%の「相互」関税を課すという遥かに伝統的な貿易目的を超えている。米国最高裁の保守多数派が、議会の権限を超えて、大統領が政治的および処罰的関税も含まれる広範な関税を課す権利があると判定した場合、その結果は計り知れないものがあると思う。貿易法について権限がある議会の能力は踏み躙られることになり、これは議会の機能を著しく弱体化する結果を伴う。憲法は、大統領ではなく、外国との貿易に関する規定を議会が行うことを認可している。しかし、大統領は現時点で全ての法律を迂回して、彼の権限を拡大しようとしているため、米国最高裁は、憲法と法律に基づいて判定し、その点を明白にする必要がある。

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