今日は、1963年6月10日、ジョン.F. ケネディ大統領が均等支払法(The Equal Pay Act ) に署名した50周年記念日である。画期的なこの法の目的は、女性の健康と生活水準の向上、労働組合による紛争の減少、経済の自由な流れを促進する、市場の健全な競合性を維持するなどである 。この法は1964年、黒人も含めて女性の平等の権利を保護する公民権法に編入された。
ピュー.リサーチ.センターの最近の報告によると米国の 40%の女性は一家の稼ぎ手である。これら40%の女性の大半は、母子家庭であり、母親は子供の養育に重大な責任を担っている。1963年の均等支払法は、このような女性の経済的向上を目指す第一歩として、ケネディ大統領は、子供を持つ女性が就労を維持できるよう保育園の税控除ファンドを議会に要請した。近年、レッドベター均等支払法(Ledbetter Fair Pay Act )が2007年に女性の平等を目指す活動家リリィ.レッドベターの提案により議会に紹介されたが、制定に失敗している。2008年には上院議会の大多数の共和党議員の反対により再度通過しなかったが、2009年1月29日にオバマ氏の署名に至っている。女性に対する給与支払いの差別を無くす努力はすでに50年前に開始されたが、相変わらず性別による給与の差は続いている。
1963年および2009年の均等支払法は、同等の仕事に対して、同等の熟練度、努力、責任に基づいて、給与、残業手当、交通費、主張費などを含む同等の給与支払いを義務づけている。雇用主がこれに違反した場合、女性は定められた期間内で訴訟を起こすことが可能である。しかし、現実的には今でも同じ仕事に対して、男性より女性の方が約6%から20%は賃金が安いことが報告されている。『女性政策研究協会』によると、2012年のフルタイム週給による中間所得は女性の場合691ドル、一方、男性は854ドルで19.1%の差があることが判明している。 賃金の不公平問題で最も訴訟が多い企業は、個々の給与を公表しないウォルマートであり、全く同じ仕事であっても、2010年には男性の1ドルに対して、女性は77セントである。一般的に、女性はどんなに教育を受けていても男性より収入が低く、男女のギャップは近年拡大している現状である 。 一家の稼ぎ手である女性と一般の男性とのギャップは更に大きいと言われている。均等支払法の制定から50年が経過した今でも、ほとんど向上がないのはなぜか?
1960年代は公民権運動と並んで、全米で女性の権利を主張する比較的高い教育を受けたフェミニスト運動が台頭したことも時代的背景がある。この頃は、伝統的な文化、結婚、家庭、男尊女卑の風潮に反抗するカウンター.カルチャーが生まれた時代でもある。1963年の均等支払法の制定は、そのような時代的背景から必然的であった。しかし、福音主義キリスト教の指導者は、一家の稼ぎ手は男性であるべきであり、女性は育児と家事に専念するべきであると主張している社会的価値観が根付いていて、今でもその傾向はほとんど変わっていない。また、なるべく労働費を抑えたい企業は、このような社会的価値観を正当化し、女性を犠牲にする企業文化も一因になっている。しかし企業側は、男性の方が女性より質の高い仕事をすると常に主張している。従って、企業の利益を保護する共和党は歴史的に均等支払法に反対している。 ウォルマートの女性職員らが何度訴訟を起こしても改善する形跡は見られない。ウォルマートは、労働組合がなく、また労働組合を結成する動きを弾圧しているため、 企業側に圧倒的な権力があることで知られている。また一般的には、個人が賃金の不平等に気付いても、失業の恐れから訴訟に踏み切ることは稀である。このような手強い2つの社会通念が均等支払法を向上させない根本的な理由である。