挑戦状を突きつけられたオバマ政権

米国連邦政府の国家安全保障局(NSA)は米国民のメタデーターを収集しているとの機密情報を英国紙ガーディアンが6月5日に報じた時、米国メディアの報道の情報源はすべてガーディアンになっていたため、変だなと思っていたがその謎は数日前解けた。この機密情報をガーディアンに漏らしたのは29歳の米国市民エドワード.スノーデンであったことが判明。司法省からの起訴に直面しているスノーデンは、潜伏先の香港のホテルから昨日姿を消した。

連邦政府のNSAは、数年前からコンサルタント.サービス、技術サポート、データー分析などを提供するブーズ.アレン.ハミルトン社と契約していたことが判明している。複数の情報筋によると、ハワイ在住のスノーデンは数ヶ月前にその会社の従業員となり、 年間120,000から200,000ドルの収入で雇用されていたという。以前はCIAの技術アシスタントとして従事していた経験があると報じられている。スノーデンは今日、雇用契約違反でその会社の仕事を正式に失ったという。ガーディアン紙のインタビューに答えたスノーデンは、「何も悪い事はしていないので隠れるつもりはない」と述べ、「自分の行動に苦しむことは理解しているが、秘密の法律、不公平な容赦、私が愛している世界を統制する抵抗し難い行政の権力などが明るみに出た瞬間、私は満足するでしょう」と述べている。また、このようなことが平然と行われている社会に住みたくはないと述べ、正当な理由がなく米国民をスパイしているNSAのプログラムの正当性は国民が判断するべきであると漏洩の動機について語った。

その漏洩情報は「プリズマ」と呼ばれる一般の国民には知られていなかった監視プログラムであり、マイクロソフト、アップル、ヤフーなどが保持するデーターを利用したものであると言われている。スノーデンは、ボライゾン、グーグル、フェィスブックなどの大企業から電話やインターネットのデーターを監視しているNSAについてガーディアンにその情報を漏らし、香港に逃亡していたが、昨日ホテルをチエックアウトし、その後の行方は現在不明なようである。 スノーデンが旧英国植民地の犯罪人引き渡し条約がある香港に昨日まで滞在していた理由は不明であるが、とりあえず言論の自由がある場所として香港を選び、現在、犯罪人引き渡し協定のない国への亡命を求めているのではないかと思われる。契約違反と米国政府の機密情報を漏らした罪で、逮捕、拘留、裁判に直面する可能性は高い。一躍有名になったスノーデンの亡命をロシアが受け入れる考慮をしていると言われている。

一方、ワシントンでは複数の議員らがスノーデンの起訴の開示を求めていて、上院諜報委員会の議長、ダイアン.フェィンスタインは「反逆行為である」と批判している。しかし、上院議会は今日、もうそろそろ機密を保持することは止めようと提案し始めた。11日のガーディアン紙によると、上院議会の超党派のグループは、同紙が先週公表した機密の膨大な監視プログラムを、法律がどのように解釈するかを明らかにするための法案を紹介するという。これは、米国民の携帯電話記録とインターネット通信のモニターの範囲を決定する秘密の外国諜報監視裁判所(FISA Court)の意見を開示することを政府に強制し、NSAのプログラムであるプリズムを運営する根拠として引用されている、愛国者法に関する FISA裁判所の解釈を求める法案である。

国民監視プログラムに関する一連の報道について、ホワイトハウスは先週、国民をテロから守るためであると弁明した。妄想的で過度な連邦政府の機密性の高いテロ対策であるという印象もあるが、何回も機密漏れが生じると、 その機密性の効力はほぼ失われるため意味がない。ウキリークスの創設者ジュリアン.アサンジ、軍事機密情報をウキリークスに流した容疑で昨年5月に拘束され、今月3日から開始された裁判に直面している米兵のブラドリィ.マニング、更に、今回のエドワード.スノーデンなどのホイッスルブローワー(内部告発者)の例は、政府に秘密があれば必ず漏れるという悪循環を露呈している。国家機密を無断で暴露した人物は罪に問われるが、動機はともかく、そのような危険を犯してでも国民に真実を暴露する内部告発者の挑戦が無ければ国民は何も気付かないことも事実である。

少なくとも、米国民は政府がどこまでこのような監視プログラムを無差別に利用する権利があるかを理解していない。スノーデンは、自分が誰であるかを明かし、安全性とプライバシーという二つの問題を国民がどのように受け止め、どちらを選択するべきなのかもっと国民が論議するべき問題を提起している。更に、米国民のメタデーター情報提供をボライゾンに命令したFISAは憲法改正法第一条と第四条に違反するとして、アメリカ自由人権協会(ACLU)による提訴をはじめ、複数の団体または有識者は米国政府を批難している。更に、上院議会は機密プログラムに関与する愛国者法の解釈を国民に開示するよう提案するなど、各方面から、オバマ政権はそのプログラムの正当性に挑戦状を突きつけられたため多大なプレッシャーに直面している。

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