一部のメディアは、就任中の前大統領ドナルド.トランプが虚偽を語るという表現を使うことに慎重になり、彼の虚偽や誤情報を「政治的スピン」と表現するようになった。スピンは新しい現象ではないが、トランプ台頭後に虚偽がスピンになるという新たな風潮を生み出している。明白な虚偽が政治的スピンと呼ばれている例と、意味を操作する実際の政治的スピンとの違いを識別することは、混乱を避ける意味で重要である。ここ数日、議会のリーダー達を含む共和党議員の態度は政治的スピンの一例である。
スピンという言葉の起源は19世紀初頭に遡り、船員が物語を語ることに関連する古いアメリカの表現に由来している。近年政治スピンの形態が流行しており、広報および政治上の意思伝達の文脈で頻繁に使用されている否定的な用語である。また、プロパガンダに使用され、組織または個人に敵対するか又は世論を高める為のイベントやキャンペーンにおいて、偏見的解釈を意図的に達成する場合もある。その手段は、近年フェイスブックやツイッターなどのソーシャル.メディアで大幅に増加している。ニュース記事や政治家によって真の意味を歪曲することは意味を操作する行為である。政治家が反対党の威厳と統合性を傷つける目的で使用する言葉はレトリックと呼ばれるが、そのような意味ではスピンとレトリックはほぼ同意語である。
明白な虚偽が政治的スピンと呼ばれている例は多い。トランプ大統領は4年間の就任中に事実を歪曲する記録的な虚偽を語った。例えば2019年1月1日のファクト.チェックによると、2018年12月にグアタマラの移民二人の子供が死亡した後、政権に対する批判を避けるため、背後にある状況を歪曲した。米国監護権下で死亡した 7歳の少女と8歳の少年は最初に健康診断を受け、特に健康上の問題は発見されなかった。そのうちの1人は、突然病気の兆候を示す前に 5日間既に米国で過ごしていた。しかし、トランプはツイートで、彼らは「国境に到着する前に悲惨な健康状態にあった」と主張し、子供たちの運命は米国がメキシコ国境で壁を必要とする理由を示していると述べた。トランプは2018年12月29日のツイートで「問題の2人の子供達は、国境警備員に引き渡される前は非常に病気でした。若い女子の父親は、娘は水を数日間与えられなかったと言った。国境警備は壁を必要としており、それはすべてを終えるでしょう」と主張した。トランプのツイートでのこの主張に対する事実は「税関および国境警備局またはその他の情報源によって公表されたタイムラインが彼の主張と一致しなかった」ことを示した。
また、トランプはペンシルベニア州で、製鉄と炭鉱業者及び自動車産業の仕事が戻り、非常に活性化していると、事実とは正反対の主張をした。2019年6月12日のワシントン.ポストは4月と5月の接戦州でのキャンペーンで、トランプのメッセージにはスピンがあったと警告し、虚偽の表現を避けた。4月27日、ウィスコンシン州グリーンベイでの集会で、トランプは「トヨタは140億ドルで参入し、多くの企業が参入しています。率直に言って、彼らはミシガン州に戻ってきて、オハイオ、ペンシルベニア、ノース.キャロライナ、サウス.キャロライナ、フロリダ州に戻りたいと思っています。ですから、彼らはまもなく投資するでしょう」と述べた。2019年 5月20日ペンシルベニア州ウィルクスバレーでのキャンペーン集会後のインタビューで、トランプは「ペンシルベニア州は、これほどうまくやったことがありません。私たちは鋼を取り戻し、石炭を取り戻し、非常に多くのものを取り戻しました。現在、州はかつてないほど良くなっています。鉱夫は再び戻るとは思わなかった仕事に戻っています。彼らは再び石炭を掘っているので、私はそれを本当に光栄に思っています。ペンシルベニアは大きな受益州の一つです」と語った。
メデイアはトランプが虚偽を語っていると批判する代わりに政治スピンがあると指摘するようになって以来、メディアに対する攻撃が薄れた事は驚異的であった。世界の全ての現代人は、製品や情報に関する誤情報に日常的に直面するため、スピンの世界に生きていると言えるかもしれない。政治スピンは、過去の政権でも見られ、プロパガンダとして利用されてきた為、特にトランプが新たなブームを巻き起こした訳ではないが、その極端で幻想的な話の頻度においては新たな現象である。過去および現役のトランプの側近の多くは、政治スピンのプロであり、彼の顧問であるケリアーン.コンウェイは事実を歪曲することを「別の事実」と表現し、注目された。トランプは、国境壁の建設費は「メキシコが支払う」と公約していたが、次第に納税者が支払う結果になることが明白になった後も、引き続き移民政策のプロバガンダとして利用していた。二人の子供の死因を歪曲することで、そのような状況を防ぐ為に国境壁が必要であると主張したトランプの政治スピンは前代未聞の頻度に達していた。
最近、呆れた政治スピンの例を見ている。1月6日の反乱に参加した暴徒、特に議事堂建物の内部に侵入した人々は全て親トランプ派であった事がビデオ記録で証明されている。しかし、一部の共和党はその真実をぼやかす為、あからさまな虚偽を語るかわりに、政治的スピンを利用している。例えば、上院共和党でトランプ同盟の一人であるロン.ジョンソンは2月中旬にラジオ.ニュース番組で、親トランプ暴徒が非常に「平和的」であり、心配はしていないが、トランプが勝利し、議事堂での抗議者が左翼のブラック.ライブズ.マター(BLM)あった場合、非常に懸念すると主張した。人種差別の発言であると批判されたその時から3ヶ月以上が経過した今月22日、複数の共和党議員らは、BLMやアンティファのグループに対する調査が含まれていないため、委員会の設置は党派的であると述べている。トランプに指名され、現在もディレクターであるクリストファー.レイ下のFBIは3月1日、既に400人以上を逮捕しているが、これらのグループは発見されていないと公表した。
ジョンソンの発言は、政治スピンを強化する結果になり、1月6日の暴動を調査する為の委員会設置反対の戦略になっている。下院議会では、少数派リーダーのケビン.マッカーシーは18日その法案に反対を表明していた。上院議会少数派リーダーのミッチ.マコーネルも今週水曜日(19日)に下院のフロアーで投票が行われる前に、公式に反対を表明した。二人の共和党リーダーの反対にも関わらず、この日の東部時間午後6時50分頃、投票が終わった時点で、35人の共和党議員が民主党に参加し、251対 175の票差で超党派の法案が可決した。しかし、マコーネルの反対表明があった為、60票を必要とする上院議会での通過は困難な状況になった。マッカーシーは国会議事堂での暴動から一週間後、下院のフロアーで、トランプ大統領は「責任の分担」をするべきであるとし、「大統領は、暴動による水曜日の議会への攻撃の責任を負っています。展開しているものを見た時、彼はすぐに暴徒を非難すべきでした。これらの事実は、トランプ大統領による即時の行動を必要とします」と公的に語った。マコーネルは、2月13日にトランプの2回目の上院弾劾裁判で7人の共和党が彼を有罪に投票した後、トランプが「事実上および道徳的」に、1月6日の反乱の「責任を負っている」と述べた。
しかし、両院二人の共和党リーダーであるマッカーシーとマコーネルの影響で、現在他多くの共和党議員が委員会の設置に反対している。彼らはまさに「政治スピン」と呼ばれる卑しい言い訳を提供している。例えば、他にも調査は行われている為、重複するとし、左翼の過激グループを調査することが含まれていない為、1月6日の反乱に関連する委員会の設置は党派的であると主張している。下院議会では3日前に超党派の法案が通過したにもかかわらず、22日の時点で、多数の上院共和党が反対していると報告されている。彼らが反対する理由は、この新たな委員会の調査を通して、現在知られていない「真実が暴露され、それが2022年の中間選挙に及ぼす影響を恐れている」からである。つまり、議会メンバーの幾人かは、1月6日の反乱を援助した可能性がある為、それが明白になった場合、来年の選挙は共和党に非常にマイナスである。マッカーシーは同日の反乱中に、その時の大統領と実際にどのような会話があったかを証言したくないからであると言われている。また、トランプは委員会設置を公的に反対している為、特にトランプの攻撃に弱いマッカーシーおよび他の共和党は圧力に直面しているようである。批評家は、共和党が多数派になる為には真実から目を逸らす必要があるため、政治的スピンを避けることができないと指摘している。
要するに、スピンと虚偽には明白な違いがある。2002年11月に出版されたCNNの元ホストでるビル.プレスは、スピンは真実が様々な形で多様化したものであるが、嘘は真実性とは無関係であると述べている。つまり、スピンは真実の意図的な操作であり、ホワイトハウス、法廷、見出し、広告スローガンなど、そのようなスピンはどこにでもあり、政治的スピンはプロパガンダの一形態であると述べている。事実が報告された時、常に「フェィク.ニュース」と呼ぶことで対抗したトランプと彼の同盟者は、政敵に対する正反対の世論を主張し、または偏った解釈を故意に拡大しようとする戦略を利用している。この混沌の傾向は今後も続く可能性がある。