プーチンはウクライナ侵略の動機をなぜ非ナチ化と主張するのか?

By CNN International

恒例の祝日パレードでスピーチを披露したロシアの大統領ウラジミール・プーチンは5月9日、ウクライナに対する戦争宣言もせず、核の脅威を暗示することもなかったが、引き続き、彼のプロパガンダは「非ナチ化」であること示唆した。一方、ファシズムとナチズムを研究している約150人の学者は今日、プーチンの間違ったウクライナでの戦争の動機について抗議するための声明文を公開した。専門家は、プーチンの心理を分析し、理解し始めていることを示唆している。

ご承知のとおり、第二次世界大戦は、連合と呼ばれた英国、ソビエト連邦、その他多数の国が枢軸国のパワーと呼ばれたドイツ、日本、イタリアに対して戦った戦争であり、1939年9月1日に始まり1945年9月2日に終焉した。オックスフォード世界史百科事典(1998年出版)によると、第二次世界大戦での死者は1,500万人と推定されており、そのうち最大200万人がソビエト捕虜であった。推定3,500万人の民間人が死亡し、400万から500万人のユダヤ人は強制収容所で死亡し、東ヨーロッパではさらに推定200万人が大量殺戮で死亡した。ソビエト連邦と東ヨーロッパからの難民は数百万人に達した。ヨーロッパでの戦争による長期的な結果はドイツが分裂し、ソビエト連邦は1919年から1921年に失われた土地を回復したが、ソビエトのフロンティアとともに共産主義の緩衝国が創設された。

ロシアの大統領ウラジミール・プーチンは5月9日、第二次世界大戦中に「祖国のために戦った」自国の軍隊を歓迎し、モスクワでの毎年恒例の戦勝記念式典で、ヨーロッパでのナチズムとの闘いの延長として、ウクライナへの侵攻を誤って描いた論争的な演説を行った 。 しかし、ナチス・ドイツの敗北を祝うこの日のプーチンの演説には、ウクライナでの勝利の主張はなく、より広い紛争のためにロシア人を新たに動員する計画はないことを示唆し、核攻撃の脅威もなかった。また、「ロシアが西側との実存的戦争に閉じ込められている」という明白な表現もなかったとニューヨーク・タイムスが伝えた。ワシントン・ポストは、ロシアが第二次世界大戦でナチスを敗北させた歴史を記念する最もエモーショナルな休日を祝った時、プーチンはモスクワの赤の広場に現れ、その原因におけるソビエトの役割についての誇りを表明した。彼は現在、ウクライナでのロシアの戦いを同等の努力として投げかけ、「死刑執行人、処罰者、ナチスのための場所は世界にありません」と言った。 前日、ウクライナ人を「ナチスの汚物」と表現したプーチンの演説は簡潔であり、ウクライナでのロシア軍のパフォーマンスの低さや誤算については言及しなかったと伝えている。

大量殺戮、ホロコースト、第二次世界大戦の専門家であると名乗る約150人の学者は第二次世界大戦の「歴史に取りつかれている」プーチン大統領は、ウクライナをナチスとファシストとして描いており、ロシアの特殊部隊が2014年に最初にウクライナに侵入して以来、同じプロパガンダを利用していると述べている。この誤った破壊的な物語の使用に抗議するため、ユダヤ人ニュース・シンジケート(JNS)に5月9日に掲載された声明文に署名したこれらの学者の中には「第二次世界大戦、ナチズム、大量殺戮、ホロコーストの最も熟練した幾人かの有名な学者」が含まれていると述べている。彼らは、「ロシア連邦の軍隊は2022年2月24日以来、挑発的な軍事侵略に従事してきました。この攻撃は、2014年にロシアがクリミア半島を併合し、ドンバス地域での武力紛争に深く関与していることの継続です。ロシアの大統領ウラジーミル・プーチンは、ドンバスで犯したとされる人道に対する罪と大量虐殺を主張し、ウクライナでの攻撃を開始した。ロシアのプロパガンダは、ウクライナの選出された指導者をナチスとして定期的に提示し、ファシストは地元のロシア民族を抑圧しているが、解放する必要があると主張しています。ウクライナに対するプーチン大統領の特別軍事作戦の目標の1つは、ウクライナの非ナチ化です」と述べている。学者たちは、彼らの多くが「これらの邪悪な政権の現代の相続人や、犯罪を否定し、覆い隠すことを試みる人々との戦いに積極的に取り組んでいます。私たちは、ロシア政府による大量殺戮という言葉の皮肉な虐待、第二次世界大戦とホロコーストの記憶、そしてウクライナ国とナチス政権との方程式を強く拒否します。このレトリックは事実上間違っており、道徳的に嫌悪感を抱き、ナチズムの何百万人もの犠牲者と、ロシアやウクライナの赤軍兵士を含むナチズムと勇敢に戦った人々の記憶に深く不快感を与えています。この運命的な瞬間に、私たちは自由で独立した民主的なウクライナと団結し、ロシア政府が第二次世界大戦の歴史を悪用して自らの暴力を正当化することを強く拒否します。」と書いている。

なぜ、プーチンはウクライナをナチズムに結びつけているのか? 幾人かの歴史家の分析を引用したAPニュースの説明によると、一部の歴史家は、ロシアが「戦争からの特定の歴史的真実を改造しようと試みている。ウクライナでは、ロシアは特に2014年に、親ロシアの指導者が倒されて以来、ナチズムを主導してきた人々がウクライナをナチズムに結びつけようとしている。これは、当時ソビエト連邦の一部であったウクライナが、ナチス・ドイツに占領されていた1941年に遡る。イスラエルのホロコースト記念碑であるヤド・ヴァシェムによると、一部のウクライナの民族主義者は、ナチスの占領者を歓迎した。 歴史家は、他の国と同様に協力もあった」と述べている。

ニューヨーク・タイムスのモスクワ支局長アントン・トロイアノフスキーは3月17日、クリミア半島のシンフェロポリで、プーチンの写真とメッセージが書かれた大きな看板に言及し、「ウクライナの非軍事化と非ナチ化を望んでいる」と書かれていると説明した。プーチンはウクライナ政府を公然と「ネオナチ」と「親ナチ」と呼び、ウクライナは「小さなナチス」によって支配されていると主張していると説明した。また、ロシアのウクライナ侵攻は「ナチス」という言葉に支配されている。これは、ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領がユダヤ人であり、昨年秋に反ユダヤ主義と闘う法律に署名したこの国に対する「不可解な主張」である。プーチンは2014年のクリミア半島の併合以来、ウクライナの親欧米革命をファシスト・クーデターと言及してきたが、この数か月間、現在のウクライナ政府に対して、定期的に「ナチス」と呼び始めた。そしてプーチンは3月16日の演説で、独裁者の言葉を使い、ロシア社会はその真っ只中に親欧米の「詐欺と裏切り者」からの「自己浄化」が必要であると宣言した。ロシアの多数の人々は、ウクライナを「非難」し、ウクライナ政府を倒すと表明したプーチンの決意と親欧米の活動家やグループを抑圧するという彼の目的の規範を信じている。これは、第二次世界大戦でロシアが味わった苦しみと勝利の記憶をプーチンがどのように使用して、ロシア社会を軍事化し、国内での弾圧とウクライナ侵略を正当化したかを反映しているという。

最後に、ウクライナの人々や専門家は、ウクライナにはナチズムまたはファシズムも存在しないので、プーチンが言っていることは非常に矛盾しているため、彼の戦争の動機が、なぜ「非ナチ化」であるのか不可解であると述べていた。しかし、プーチンは、頻繁に同じレトリックを繰り返すため、多数の学者は、プーチンの思想を分析するようになっている。これまでプーチンは、ウクライナに潜むナチズムを打破するためであると主張しながら、ロシア軍は、実際にはユダヤ人である大統領が率いるウクライナで、無差別に多数の市民を殺しているという非常に残酷な戦争を展開している。一部の専門家は、プーチンが実際にはファシズムを支持していると見ているようである。スターリンの指導下で、何百万人もの罪のない市民が殺害されたことと、現在ウクライナで起きている事との類似性は、プーチンの「非ナチ化」が、必然的にウクライナ撲滅に繋がっている事を示唆している。専門家は、空から地面までのレベルで見るもの全てを破壊し、女性をレイプし、全ての市民を殺すと語っていた傍受されたロシア兵士の会話と実際に起きているその残虐性が何処からきているのか、そのヒントを提起している。

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