
イスマイル・ハニヤ Photo credit : The Atlantic
Assassinations of Hezbollah and Hamas Leaders Stir Fears of Wider War
2024年7月31日: The New York Times
この記事は、ガザ地区でのハマスの最高政治指導者であり、ハマス政治局の議長を務めていたイスマイル・ハニヤはイランの新大統領就任式のためにテヘラン(イランの首都)を訪れていた時に襲撃されたことを報告している。同氏は停戦交渉の重要な役割を担う人物であった。その数時間前にヒズボラの幹部フアード・シュクルが殺害された。これらはいずれもイスラエルの暗殺の試みであると見られており、イランの指導者は復讐を宣言しているため、停戦の可能性はほとんどないことを示唆している。
イスラエルが4月にシリアでイラン司令官(Iranian commanders)を攻撃した。これを受けて、イランはイスラエルに向けて数百発のミサイルを発射した。イランの最高指導者(Iran’s supreme leader)アヤトラ・アリ・ハメネイは、31日に殺害されたイスマイル・ハニヤと30日に会談したばかりであった。ハニヤの暗殺は厳しい処罰(harsh punishment)を招くだろうと述べた。ハニヤ暗殺の数時間前、イランの支援を受け、昨年10月からイスラエルと小規模戦争を繰り広げているヒズボラ(レバノンの民兵組織)の幹部フアード・シュクルを攻撃したとイスラエルは発表した。30日の夜、イスラエル軍はベイルート(レバノンの首都)南部郊外でシュクルに対する別の攻撃を迅速に発表した。イスラエルはイランでの行動についてめったにコメントしない(rarely comments on its actions in Iran)が、レバノンでの攻撃については通常よりオープンである。イスラエル軍は、シュクルをイスラエル支配下の町で土曜日に12人の子供と若者が死亡した攻撃の責任者であり、上級司令官であると特定した。
イランとハマスは、イスラエルがハニヤを殺害したと非難している。カタールに亡命していたとされるハニヤはハマスの主な支援者であるイランの新大統領就任式(the inauguration of Iran’s new president)に出席するためにテヘランに滞在していた。ハニヤに対する殺害がどのように行われたかは不明である。また、同氏はイスラエルとハマスとの停戦交渉の中心的役割を果たす重要な人物であったが、彼に対する暗殺は、停戦合意(cease-fire negotiations)の見通しを益々不透明にしている。ハニヤは長年ハマスで中心的な役割を果たし、イスラエルとの複数の戦争や選挙を通して同グループを率いてきたが、同氏と他の亡命ハマスの政治指導者がガザの同グループの指導者や10月7日の攻撃を実行した軍事部門に対して、どの程度の統制力を行使したかは不明である。
31日にシンガポール訪問中である国務長官アントニー・ブリンケンは、ハニヤを殺害した攻撃について米国は事前に知らされていなかったと述べ、バイデン政権は引き続きガザにおけるイスラエルとハマスとの戦争の緩和(de-escalating the war)に集中していると述べた。イスラエルとハマスがガザでの停戦に近づいているように見えた1か月後、この2件の攻撃は中東の状況を突然変えた。戦争緩和の合意は、イスラエルとヒズボラの停戦につながると期待されていたが、その可能性はもはや不明である。
国務省の公文書によると、米国大使館はベイルートにあり、イスラエルとシリアの間に挟まれており、中東における米国の永続的な国家安全保障上及び地政学的にもっとも重要な東地中海に位置している。シリアでは、破壊的な紛争が波及し、レバノン国民は経済的および政治的困難に直面している。ヒズボラは外国テロ組織として米国が指定しており、彼らの影響は危険なままである。ヒズボラは、イランの後援者の命令で、軍事、政治、経済、安全保障上の悪意の影響を拡大し、レバノン国家の存続と安全、そして米国と同盟国の中核的な安全保障上の利益の脅威になっている。レバノンは難民数が世界で最も多く、シリア難民危機に対する米国の対応の中心地の一つになっている。レバノンは多宗派の合意に基づく政治体制の中で共存する多様な宗教や宗派のグループの存在が特徴であり、中東で特別な位置を占めている。米国とレバノンは二国間関係において、重要な経済的つながりを維持しており、年間17億ドルの米国製品を輸入している。また、米国とレバノンの両国は、レバノンの金融システムからテロ資金と資金洗浄を排除することで重大な利益を共有している。さらに、レバノンには推定86,000人の米国市民が居住しており、米国が海外の市民に提供しているサービスと保護を必要としている。これは、2006年の紛争中にレバノンからほぼ15,000人の米国市民を避難させた歴史で知られている。
要するに、ヒズボラの指導者フアード・シュクルとハマスの指導者イスマイル・ハニヤに対する襲撃は「暗殺」と呼ばれている。主要人物に対する暗殺で戦争は拡大する恐れがある。イランとハマスはイスラエルを批判している中で、イランの指導者らは復讐すると宣言し、ガザでの停戦に向けた交渉を拒否し始めたようである。今日、国務省はイランとイスラエル間の緊張が高まっており、益々混沌が予測されている中で、米国市民にレバノン(南はイスラエル、北と東はシリア、西は地中海に接している)に旅行しないよう奨励している。ガザ地区への攻撃で、アルジャジーラのジャーナリストとカメラマンの二人が死亡したと報告されている。国境を越えて、敵を暗殺する長い歴史があるイスラエルは、独立、主権、国家の統一、武装解除などを目指すために、米国が緊密で友好的な関係を維持しているレバノンでの攻撃活動には比較的開放的であるという。