H.R. McMaster Doesn’t Think Donald Trump Is Very Good at Making Deals
August 27, 2024 The New York Times
この記事は、元陸軍中将であり、2017年2月から2018年4月まで前大統領ドナルド・トランプの最初の安全保障顧問H・R・マクマスターのホワイトハウスでの回顧録の一部を解説したものである。最近の選挙活動でトランプは、中国に対し、非常に強く「攻撃的な姿勢を強調し、厳しい貿易戦争における強硬な交渉者」として自身を印象づけているが、大統領在任中のトランプは、実際には全く逆であることを暴露している同士の書籍At War With Ourselves(我ら自身との戦い)について、ニューヨーク・タイムスが解説しているものである。
マクマスターは、彼の書籍At War With Ourselvesの中で、トランプが予測不能な優柔不断な(an unpredictable waffler)人物であり、世界の舞台で競争相手に有利になるように自らを弱体化させ(undermined himself)たと伝えている。2017年11月、トランプ大統領は13日間のアジア歴訪の3番目の訪問地として中国を訪問した。マクマスターは、ここが「最も重要な(most consequential)」訪問先だったと説明する。北京に向かう飛行機の中で、彼はトランプ大統領に、習近平主席が中国には良いが米国とその同盟国には悪い発言をするよう仕向けるだろうと警告した。「中国共産党のお気に入りのフレーズ(C.C.P.’s favorite phrase)である“win-win”は、実際には中国が2度勝利したという意味です」と、マクマスターはある時トランプに語ったことを回想した。トランプ氏は彼の話を聞いているようだったが、人民大会堂(Great Hall of the People)で大統領は話の要点から逸れた(strayed from his talking points)という。彼は韓国での軍事演習(military exercises)は「挑発的」で「金の無駄」だという習主席の意見に同意し、中国は日本の尖閣諸島(Japan’s Senkaku Islands)に対する正当な主張(a legitimate claim)をしているかもしれないと示唆した。マクマスターは胃が痛くなり(stomach sinking)、大統領主席補佐官ジョン・ケリーにメモを渡した。そこには習主席が「我々の昼食を食べた」と書かれていた。
At War With Ourselves(我ら自身との戦い)は、冷戦以来、後退している米国外交政策(U.S. foreign policy backsliding)を2020年に評価したマクマスターのBattlegroundsの補足書として意図されているが、単独でも十分に機能し、トランプが世界のリーダーとして再選される可能性を容認する(countenancing a potential)人にとっては必読の書となる。マクマスターは、大統領を助けようと最大限の努力をしたにもかかわらず、「交渉術」の達人であるはず( the supposed master of the “art of the deal”)のトランプが、世界のトップクラスの権威主義者たち(the world’s top authoritarians)から如何に「間抜け(chump)」のように扱われたかを示している。習近平主席やトルコのエルドアン大統領、ロシアのプーチン大統領などの指導者からのお世辞と華美(Flattery and pomp)は、トランプ大統領の機嫌を取る(get in Trump’s good graces)為に単に必要だっただけのようである。2018年、ロシア大統領は、米国の政治体制を貶した(had denigrated)が、保守系のニューヨーク・ポスト紙は、「トランプ大統領が聞き上手だ」と評した。マクマスターは、大統領執務室でプーチン宛ての明るいメモを走り書きしている(scrawling a cheerful note to Putin)トランプ大統領を発見した。まるで、クリスマスの欲しいプレゼント・リストを持つ子供のように、自由世界のリーダーはマクマスターにそのメモをクレムリンに送るよう依頼した。しかし、プーチン大統領は英国領土内で暗殺を指示したという証拠が明るみに出つつあった(was coming to light)ため、特にタイミングが悪かった。マクマスターはそのメモを転送せず、後に激怒したトランプ大統領に対して、彼の手紙は「あなたがクレムリンの懐(the Kremlin’s pocket)にいるという物語を強化する(reinforce the narrative)」ことになると説明した。
美しく書かれているAt War With Ourselvesの著者は、大統領の耳に届くよう「不忠の非難」を浴びせかける大統領の副官たちの間の破壊的な口論(the destructive bickering)と同じくらい、大統領を心配している。マクマスターは、次から次へと物語を繰り広げ、前大統領が自身の偏見と政権内のささいな対立(the petty rivalries)によって、マクマスターが「毒舌の渦(vortex of vitriol)」と呼ぶ中で、政策目標を台無しにした様子を示している。トランプの「無規律(indiscipline)」は「トランプを自身の物語の敵役(antagonist)にした」と彼は書いている。そして、マクマスターは、トランプが大統領職を軽視していることを描写している。トランプは何度も安全保障に関連する要旨説明に集中(focus on briefings)できず、深刻な問題に無意味な提案(inane suggestions)で応じている。会話がメキシコの話になると「麻薬を爆撃したらどうだ?」と尋ねたという。
この記事は、2024年の大統領選挙が迫る中で、マクマスターが78歳のトランプがまだ「時には過酷な大統領職(the sometimes grueling job of president)をうまくこなせるのか」を疑問視していることを伝えている。同氏は、7年前の13日間のアジア旅行でトランプが彼を「疲れさせ」、忍耐力が試された(“tired” him and stretched his patience)と引用している。35年間軍務に就いたマクマスターは、大統領職に対する基本的な義務感を捨てきれず(can’t shake his basic sense)、最後のページで、若者たちが「どんな政権」に就いても「途方もない報酬(“tremendous rewards”)」があるという教訓を学んでほしいと語っている。そして、At War With Ourselvesの中で、政権に浸透している混乱と気まぐれ(the confusion and capriciousness)は、振り返ってみると恐ろしいものである。中東や南シナ海での地域戦争が間近に迫っている今日の世界の状況で想像すると、さらに恐ろしいとマクマスターは述べていると解説している。
つまり、この本のメッセージは、トランプは次の任期には不向きだ(Trump is unsuited for another term)ということを示唆しているとタイムスは解説している。また、マクマスターは「トランプの不安と不安定さが彼を無防備にした(“Trump’s anxieties and insecurities rendered him vulnerable.”)」と指摘している。そして、彼は、致命的な欠陥(fatally flawed)があると確信しているリーダーに全力を尽くしたが、そのリーダーのエネルギーの疾風(tempest of energy)をより大きな目的に向けることができると信じるのをやめなかった。そして、口論と裏切りの陰謀(a bickering and back-stabbing cabal)とそれに屈した男(the man who yields to it)のせいで、あっさりと解雇され、捨てられたという。
要するに、H・R・マクマスターは、彼の書籍At War With Ourselves(我ら自身との戦い)の中で、トランプの外交政策は、混沌および壊滅的であったことを示している。2018年4月から2019年9月まで国家安全保障担当大統領補佐官であったジョン・ボルトンは約450日間、常にトランプと一緒に過ごし、混乱、対立、そしてエゴによってもたらされたトランプの外交政策と安全保障の内部を暴露した書籍を2020年6月に出版したことで知られている。彼らは、2016年の選挙でトランプが与えた印象より、実際にはトランプには最初から外交政策はなかったことを示唆している。トランプの中国やサウジアラビへの訪問の目的はトランプのブランドを拡大することを含めて、ビジネスの利益追求が一部の目的であったと言われている。例えば、2017年4月初旬、トランプは中国の習近平国家主席をフロリダ州の自宅兼ゴルフ・クラブであるマー・ア・ラゴに招待し、公式ディナーを主催した。同時に、大統領の娘イヴァンカ・トランプは習近平と会談し、同日中国は「米国大統領の家族に利益をもたらす可能性のある彼女の名前がブランド名になっている装飾品、バッグ、スパ・サービスの3つの新しい商標をひそかに承認した」ことが報告された。2017年11月 初旬、トランプは北朝鮮の核の脅威に関する合意や貿易について協議するため、韓国、中国、ベトナム、フィリピンを訪問する予定でアジア諸国を訪問した。この訪問は、イバンカが中国と顕著なビジネス交渉に成功した約7ヶ月後にきている。マクマスターは、この一連のアジア旅行中、中国の習近平とのエピソードに焦点を当てている。
同年1月に就任して以来、外交政策に関しては、矛盾した見解があり、情報と意見を提供する顧問とトランプ間で常に混沌があったことは頻繁に報告された。トランプは、気候変動に対応するパリ協定、同盟国間の平和を維持するためのNATOだけでなく、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱も望んでおり、国防総省や国務省を含む多数の個別担当の主要ポストを空席にし続け、西洋諸国の同盟国および太平洋諸国とアジアの指導者たちを困惑させていた。イヴァンカとトランプの娘婿ジャレッド・クシュナーは、第一期の父の政権でウェスト・ウイングに事務所を構え、大統領の顧問を務めたが、イヴァンカは就任の一年間だけで数百万ドルにおよぶ利益を得たと言われた。通常、CREWと呼ばれる「ワシントンの責任と倫理を求める市民」組織の2021年2月8日の記録によると、クシュナーとイヴァンカはホワイトハウスでの在任中に6億4,000万ドルを稼いでいる。二期目のトランプ政権の移行チームにはトランプと距離を置いている両氏は含まれていないが、トランプ・オルガニゼーションのCEOを務める長男のトランプ・ジュニアと次男のエリック・トランプが参加するようである。これが何を意味するかを理解するのに時間を要しない。