専門家は一部の成人に麻疹の予防接種歴の確認を奨励

最近まで根絶したと認識されていた麻疹(はしか)は今年、米国の30州で再び流行している。ほとんどの人は予防接種を受けているが、免疫を維持するために追加接種が必要な人もいるため、保健専門家は一部の成人に対し、ワクチン接種状況を確認するよう呼びかけている。

ハーバード医学部の医師の説明によると、麻疹は、感染者が咳やくしゃみをしたときに飛沫を介して、空気中や物の表面に広がり、何時間も潜伏する感染力の強いウイルス感染症である。従って、免疫性のない人は感染しやすく、感染した場合、症状は感染後10~14日で現れ、高熱、 咳、 鼻水、 赤い涙目、 口中の小さな白い発疹が含まれる。麻疹の発疹は平らな赤い斑点が現れ、その上に小さな隆起した発疹が現れることもある。発疹は通常、顔から始まり、腕、体幹、脚、足へと下方に広がる。特に幼児、妊婦、免疫力が弱っている人の場合、肺炎、脳腫脹(脳炎)、失明、難聴、さらには死亡などの重篤な合併症を引き起こす可能性がある。

ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの感染症医であり、ハーバード大学医学部医学科講師でもあるミシェル・チャン医師は「麻疹は非常に感染力の強い感染症であるため、流行を懸念しています。予防接種を受けていない人、ワクチン接種を受ける年齢に達していない子ども、免疫不全の人は、麻疹で重症化する可能性があります」と説明している。ワクチン接種プログラムが広く普及する以前は麻疹によって世界中で約260万人が死亡したが、ワクチンが開発されて以来、徐々に麻疹は根絶された状況になった。この歴史は、麻疹を予防する最良の方法がワクチン接種である事を示している。

米国およびその他の先進国では、最初のワクチン接種は生後12~15ヶ月の間に行われ、2回目の接種は4~5歳で行われる。総体的に、麻疹のワクチンは高い安全性の特徴があり、副作用はほとんど軽度であり、自閉症との関連性はないという。麻疹ワクチンは、麻疹・おたふく風邪・風疹(MMR)混合ワクチンの一部として接種され、長期的な免疫をもたらす事で知られている。MMRワクチンは1回接種で93%の予防効果があり、2回接種すると、効果は97%にまで増加する。しかし、すべての人に同じレベルの予防効果が保証されているわけではない。例えば、1989年以前はMMRワクチンの1回接種が標準だったため、1989年以前に生まれた人のほとんどは1回しか接種を受けていないと考えられている。

チャン医師によると、「MMRワクチンの1回接種は非常に効果的であるが、医療従事者、海外旅行者、免疫不全者との濃厚接触者など、感染リスクの高い特定の集団は、ワクチン接種の全シリーズを確実に受けるよう、積極的に行動する必要があるかもしれません」と述べている。さらに、1963年から1967年の間にワクチン接種を受けた人は、効果の低い不活化麻疹ワクチンを接種していた可能性がある。チャン医師は「不活化ワクチンを接種した人々、または接種したワクチンの種類が不明な個人はMMRワクチンを1~2回接種することをお勧めします」とアドバイスしている。つまり、予防接種歴または医療記録が不明な個人は、MMRワクチンは「非常に安全」であるため1回の接種または追加接種を受けるよう提案している。加えて、米国疾患対策予防センター(CDC)は、特定の成人に対し、麻疹に対する免疫を確認し、必要に応じて追加接種を受けることを推奨している。

ハーバード大学医学部のチャン医師は「結局のところ、ワクチン接種こそが麻疹の感染と再発を防ぐ最も効果的な方法です」と強調している。そして、MMRワクチンの追加接種を検討すべき人は誰か、それは何故であるかについて説明している。それらの要点は、⑴ 1963年から1967年の間に麻疹ワクチンを接種した人は、ワクチンの効果が不十分だったため予防効果が得られない可能性がある。⑵ 医療従事者など、麻疹に感染するリスクが高い職場で働いており、麻疹ワクチンを1回しか接種していない。⑶  病院、学校、保育施設などで働いている場合、麻疹に感染する可能性が高くなる。⑷ ワクチン接種歴が不明な場合、麻疹感染の証明書や既往歴がない場合は、MMRワクチンの接種を受ける必要がある。⑸  一部の国では依然として麻疹の発生率が高く、旅行者がウイルスを母国に持ち帰るリスクがある。これらのリスクの高いグループに該当する人々は、ワクチン接種状況を確認し、麻疹ワクチンの追加接種について医師に相談する必要がある。

最後に、麻疹はさほど深刻には考えられていない傾向があるが、麻疹感染の報告は米国で増加している。CDCが5月9日に発表した2025年5月8日の統計では、アラスカ、アーカンソー、カリフォルニア、コロラド、フロリダ、ジョージア、ハワイ、イリノイ、インディアナ、カンザス、ケンタッキー、ルイジアナ、メリーランド、ミシガン、ミネソタ、ミズーリ、モンタナ、ニュージャージー、ニューメキシコ、ニューヨーク、ノース・ダコタ、オハイオ、オクラホマ、ペンシルベニア、ロードアイランド、テネシー、テキサス、バーモント、バージニア、ワシントンの管轄区域から合計1,001件の麻疹の確認症例が報告されている。CDCによると、現在二つのタイプのワクチンを利用することが可能である。その一つは医者が2回接種すること奨励しているMMRワクチン(麻疹、おたふく風邪、風疹を予防する)である。次に、MMRVワクチン(麻疹、おたふく風邪、風疹「三日熱」、水痘を予防する)がある。子供達の場合もMMRVワクチンを2回接種することが可能である。おたふく風邪に対する免疫は時間の経過とともに低下する可能性がある。

CDCは、地域社会の集団免疫を十分に獲得するためには95%のワクチン接種率が必要であるが、全米で最も感染率が高いとされるテキサス州一部の郡では子供達の麻疹ワクチン接種率は82%以下であると述べている。米国で最大規模の機関である保健福祉長官のロバート・F・ケネディ・ジュニアは、上院議会で認可される前から、ワクチンの効力に懐疑心を表明していたことで知られている。ちょうど1ヶ月前、同氏は、麻疹ワクチンの有効性は「急速に弱まる」と虚偽の主張をしたと批判されている。ワクチンの安全性について疑念を抱き続けている保健福祉長官は、ワクチンのお陰で、麻疹ウイルスは2000年に米国で「根絶宣言」されていたため、「病気の継続的な蔓延が12か月以上見られなかったことを意味する」にもかかわらず、「ワクチンの効果は急速に弱まるため麻疹は常に発生するだろう」と述べた。米国上院議会の共和党議員らは報復を恐れて、ドナルド・トランプ大統領に指名された問題があるとされる候補者の全てを承認したのである。ロバート・F・ケネディ・ジュニアは麻疹のワクチンは自閉症の原因であると主張し続けたことで知られている。

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