洪水が引き起こす健康上の顕著な問題

キャンプ・ミスティック小屋 Photo credit : AOL.com

今月4日に発生したテキサス州の洪水による死者数は7月10日の報告の時点で大幅に増加し、行方不明者の数も想像以上に多いことが判明している。科学者は、洪水の影響によって発生する有害化学物質やカビの増殖により、呼吸器系の健康問題を引き起こす危険性があると警告している。加えて、洪水発生前後の対策について非常に役立つ情報を提供している。

テキサス州中部を襲った壊滅的な洪水による死者数は少なくとも、2025年7月10日までに120人に増加している。USA Todayの11日の更新情報によると、最も被害が大きかったとされるテキサス州中部のカー郡では96人が死亡し、その犠牲者には少なくとも36人の子供が含まれている。当局は木曜日の最新情報で、行方不明者は、郡内では160人以上に増加しており、「生存者発見の望みは日を追うごとに薄れている」と述べた。行方不明者の中には、グアダルーペ川沿いにあるキリスト教女子キャンプ・ミスティックの参加者5人とカウンセラー1人が含まれており、同キャンプでは少なくとも27人の子供とスタッフが死亡した。

洪水後に呼吸器系の健康問題を引き起こす原因

2021年8月下旬に起きたハリケーン・アイダの後に現地を調査したハーバード大学の健康ブログでの解説によると、洪水は呼吸器系の健康問題を引き起こす可能性があるという。「洪水は、有毒化学物質、重金属、農薬、バイオトキシン、下水、水系病原体で汚染された水を建物内に持ち込む可能性がある。その後、一部の有毒汚染物質は乾燥した堆積物に残留する。歩行や掃除といった日常的な活動によってかき乱されると、微細な塵となって空中を漂う」ため空気は汚染されている。洪水で乾燥した堆積物に含まれる有毒化学物質、金属、バイオトキシンなどの物質は、今や私たちが肺に吸い込む空気中に存在し、呼吸器系の健康に影響を与える可能性がある。洪水で建物が水没しなくても呼吸器系の問題は発生する。多くの住宅が屋根、窓、換気ダクトから浸水し、その中には、嵐の直撃を受けた沿岸地域から100マイル以上離れた場所に建つ住宅もあった」という。

別の呼吸器系の健康リスクはカビの繁殖

加えて、「カビの繁殖も呼吸器系の健康に影響を与える可能性がある。カビは、湿った有機物や腐敗した有機物に発生し、繁殖する真菌である。屋内のカビは、一般的に湿気が多いことで発生し、水や湿気に問題があることを示している。洪水後の建物内の湿った物質は、カビの急速な繁殖に最適な条件を作り出している。カビは、あらゆる気候の屋内外で発生し、小さな胞子を作り、空気中を浮遊して他の場所に付着することで繁殖する。屋内でカビの胞子が全く存在しない場所はないが、高濃度の胞子に晒されると、喘息、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などの呼吸器系の合併症を引き起こす可能性がある。洪水は、屋内外で高濃度のカビ胞子に晒されるリスクを高めることで、呼吸器系の健康に影響を与え、特に子供はカビによって引き起こされる健康問題にかかりやすい。カナダ30の地域で行われた幼児の呼吸器系の健康に関する調査によると、カビや湿気があると報告された家庭では、喘息、気管支炎、眼刺激、咳など、あらゆる呼吸器系症状がより多く発生した」と述べている。

洪水発生前後の対策

呼吸器系の健康への他の影響を軽減するために、洪水や大雨が発生する前と発生後の対策についても、重要なヒントを提供している。「洪水の水位、自宅で過ごす週日数、そして洪水の襲来後に講じられた予防措置の数によっても異なっていた。ハリケーンや大規模な暴風雨による洪水を完全に防ぐことはできないが、これらの対策やその他の対策を講じることで、被害を防ぐことは可能である。季節的な暴風雨、洪水、大雨が発生する前に、浸水を防ぐ 屋根の修理、雨樋の清掃、天窓、通気管、煙突の周囲を密閉して、漏水を防ぎ必要がある。これらは、嵐やハリケーンの際に建物の中で最も脆弱な部分である。排水口を整理し、浄化槽を空にし、外壁や窓周りの隙間を塞ぎ、大雨や洪水の浸入を防ぐことは可能である。地下室の排水には排水ポンプを設置し、下水管には逆流防止弁を設置し、水が家の中に逆流するのを防ぐ必要がある。洪水や大雨の後、湿気とカビの発生を抑えるため、速やかに行動する。環境保護庁は、洪水の水には感電の危険性や、未処理の下水などの有害物質が含まれている可能性があるため、接触を避けることを推奨している」と述べている。

さらに、留意すべきことは「特にハリケーン後の浸水地域や建物が乾燥して安全になるまで、滞在時間を最小限にする必要がある。洪水発生後すぐに、建物に浸水、湿気、カビの発生の痕跡がないか確認し、洪水の水を排水し、残った堆積物を処分し、影響を受けた多孔質材料を取り除く。可能であれば、屋外で日光の下で乾燥させ、すべての窓とドアを開けたままにして換気量を増やすか、大型の換気扇を使用して建物をできるだけ早く乾燥させる。地下室などの湿気の多い場所では除湿機を使用する。空調システムのエアー・フィルターをMERV 13以上にアップグレードするか、HEPAフィルター付きのポータブル空気清浄機を使用して、空気中のカビ胞子への曝露を減らすようにする。カビを見つけた場合の対処法 として、「清掃の際は、完全に適合するN95フェイス・マスク、手袋、ゴム長靴を着用する。水に触れたものは、石鹸、洗剤、抗菌洗浄剤などを使用して洗浄・消毒する。 カビの生えたものは、密封できる丈夫なビニール袋に入れて処分する。このような対策を大雨の前後に行うことで、呼吸器の健康を守ることができる」 とアドバイスしている。

最後に、テキサス州カー郡の、警告システムには何らか問題があると言われていたが、7月4日にカー郡を襲った悲惨な洪水からわずか6日間で120人が死亡し、しかも多数の子供が含まれているという事態は悲惨である。テキサス・トリビューンによると、カー郡の当局者は、グアダルーペ川沿いに洪水警報サイレンが設置されていなかったと語っている。この川の水位は大雨により、32フィート(約10メートル)を超えていた。事前に早急な天候予告と警報があれば、死者の数はもっと少なかった可能性があることを示唆している。特に、子供達が集まる場所は、警報システムを含む安全対策が十分に施されるべきである。ハーバード大学の洪水発生前後の対策は、洪水の多い地域では特に役立つ情報であると思われる。

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