新政権下での連邦監査機関の葛藤の始まり

二期目就任初日から行政府の権力を最大級に強化することを試行錯誤している現大統領と彼の同盟者が、現在標的にしているグループは、議会が認可した予算が正当な方法で利用されているかを調査する米国会計検査院である。この監査機関は5月にバイデン政権時代に超党派のインフラ法案として可決した主要部分である一部の予算拠出を現政権が不当に阻止したことを発見した。超党派傾向の米国会計検査院長は、訴訟には積極的ではないと見られている。

通常ウォッチ・ドッグと呼ばれる米国会計検査院(GAO)は1921年にワシントンDCに設立され立法府に属する独立した超党派の政府機関であり、米国議会に監査、評価、調査業務を提供する米国連邦政府の最高監査機関である。議会の監視機関の中核となっている会計検査官グループは説明責任、誠実性、信頼性を価値として掲げている。会計検査官は、上院の助言と同意を得て大統領によって指名されている。大統領の指名は、上院の国土安全保障・政府問題委員会で承認された後に、上院本会議で100人の上院議員らの投票で認証されなくてはならない。会計検査官は1974年に制定された米国の予算プロセスにおける議会の役割を規定する米国連邦法議会予算および押収金管理法に基づいて、ホワイトハウスが議会で承認された予算に対して「違法」の差し押さえがないかどうかを調査するための動きを開始した。

しかし、22日のニューヨーク・タイムスの報道によると、共和党議員たちはホワイトハウスと連携し、GAOの調査を妨害する動きを開始している。GAOは主に、連邦政府の支出削減策に関する詳細な報告書を作成しており、無駄遣い疑惑に難色を示す政権を苛立たせる場合もある。しかし、監査機関当局者達は、最近、財政権限をめぐってホワイトハウスと直接、かつ極めて異例の対立に直面している。トランプ大統領は就任以来、「議員の承認なしに政府機関やプログラムを迅速に解散させる努力を続けてきた。GAOはここ数カ月で2度、トランプの行動が資金の一方的な停止(差し押さえ)を禁じる規則に違反していると判断した。GAOは今週、トランプが違法に資金を差し押さえたとする他の疑惑についても46件の調査を継続中である」ことを確認した。

「6月の内部文書を閲覧」したタイムスによると、「調査はウクライナへの資金提供などの対外援助、クリーンおよび風力発電を含む気候変動対策への投資、スクール・バスへの資金提供へのホワイトハウスの対応に関するものである。国立衛生研究所(NIH)やヘッドスタートと呼ばれる保育プログラムへの補助金など、公衆衛生および教育分野の補助金の取り扱いについても調査が行われている。ホワイトハウス予算局長のラッセル・ヴォートは、不正行為を強く否定し、政権は納税者の税金を更に効率的に管理しようとしていると主張している。彼と副局長らは、GAOを党派的だと非難し、一部の調査への協力を公然と拒否するなど、一連の攻撃を開始した。また、下院共和党議員らは最近、自らの監視機関の弱体化を提案した。同党議員らは、GAOの来年度予算を半減させる法案を発表した。これにより、職員数は激減する可能性があるだけでなく、支出監視権限の一部が剥奪される可能性がある」と言う。

予算局は「長年にわたり、数兆ドル規模の経費削減策の特定に取り組んできた。これは、トランプが政府効率化局として知られる経費削減策を開始する大分以前から両党が支持してきた取り組みである。しかし、同局の歳出抑制に関する取り組みは近年、政治的に論争的となり、トランプ政権下では共和党の激しい反対に直面している。監視機関は5月、バイデン政権時代の超党派インフラ法案の主要部分である電気自動車充電ステーション建設のための50億ドル規模のプログラムへの資金拠出をトランプ政権が不当に阻止したと結論付けた。この法案はトランプが無駄遣いだと批判しているものである。翌月、監視機関は、トランプが図書館や博物館への資金を監督する機関の予算を削減した」ことを受け、これらの「資金配分を政権が不適切に行っていたと判断した」とタイムスは伝えている。

現行法では、会計監査院は大統領に対し、「違法に差し押さえられた資金の返還を強制するために訴訟を起こすことが可能」である。大統領の「最近の支出行動をめぐる深刻さを示す兆候」として、GAOは5月に外部弁護士を雇用すると発表した。文書を閲覧したニューヨーク・タイムスによると、「トランプの側近たちは以前、憲法により、このような方法で大統領に異議を唱えることは禁じられている」と主張している。会計検査院を統括するジーン・ドダロ会計検査院長は、会計検査院が訴訟には消極的であり、「決定はまだ何も下されていない」と述べた。ドダロは、自身のグループの活動について、「議会が必ずしも一致して支持しているわけではない」ことを認めながらも、訴訟に至る可能性のある事柄について「引き続き検討する」と述べた。 ドダロは「議会の利益を保護する立場として、超党派の強い伝統」を強調し、「行政府とトランプ政権は、大統領の権限について非常に広範な見解を持っている。我々は、議会の特権と財政権力を守る法的責任を負っている」と述べた。  憲法は、議会に予算を決定する権限は与えているが、トランプとヴォートは「自分たちが独自に行動できる広範な権限があるとの前提で予算の組み換え」を要求しており、議会一部の共和党議員もトランプ政権に同意している。

要するに、クリーン・エネルギー、銃規制、学生ローン、その他政策が完全に異なる現政権の大統領は、最初の一期目の4年間で、バラク・オバマ大統領の業績を大幅に撤回した。二期目には彼の前任者であるジョー・バイデン大統領の政策の撤去を試みており、GAOは、バイデン政権下で可決したインフラ法の一部である電気自動車の充電ステーション建設に充てる数十億ドルを現政権が不当に差し押さえたとタイムスは述べている。GAOは現在数十件の調査を継続している中で、益々政権との対立が激しくなっており、トランプ政権と一部の共和党からの圧力にも直面している。つまり、歴代の政権ではほとんど報告されていない状況が見られるということである。政府を監督する政府倫理監視局など他の部門での独立した連邦監査機関の多くの監査官らは今年1月20日の新政権発足以来、解雇または一時解雇された。1970年代にニクソン大統領下で起きたウォーターゲート事件のスキャンダル後、議会は行政機関を監査し、連邦政府職員の権利を保障する体制を設置し、それは長年機能していた。しかし、2025年から連邦監査機関の当局者にとっては葛藤の始まりになっている。

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