首都ワシントンD.Cでも異常な状況が見られる

Photo credit : The New York Times

別の異常な状況は、首都ワシントンD.Cでは警察、州兵、不法移民を逮捕しているICE(移民税関捜査局)など異常で極端な数の法執行当局者が溢れていることである。彼らは抗議に直面し、複数の抗議者を逮捕し、起訴しているが、ワシントンD.Cの判事と大陪審はトランプ大統領の警察増員に反対しているだけでなく、サンドイッチを警察官に投げたような抗議者を起訴することを拒否しているという。D.Cもロスアンゼルスと同様に警察は移民取り締まりに動員されている。そして、2021年1月6日の米国議事堂での暴動の余波は異様な形で現在も続いている。

ワシントン・ポストが27日に伝えた状況によると、トランプ大統領は今月「犯罪緊急事態を宣言し、連邦法執行機関と州兵に前例のない権限」を認可した。彼らは首都をパトロールし、同市の「3,100人からなる警察部隊を移民取締りの支援に動員した。これを受けて1,000人以上が逮捕」されたと言う。ワシントンD.C.の路上では、「連邦法執行機関の増強」が進み、抗議者らが逮捕されている中で、法執行当局は「同市の連邦裁判所で多大な抵抗」に直面しており、治安判事は「被告の権利と裁判所規則に違反したとして検察官を叱責し、大陪審は繰り返し起訴状発行を拒否している」と言う。今月ソーシャル・メディアで広範に写真やビデオが紹介された事件で、連邦法執行官にサンドイッチを投げつけた元司法省職員ショーン・チャールズ・ダンの起訴を連邦大陪審は26日に却下した。事件に詳しい2人の匿名者からの情報を得たポストによると、検察はダンを「連邦職員への暴行、抵抗、または妨害の重罪で起訴しようとしていた。しかし、検察はダンを起訴できなかった。

ダンのケースに先立ち、今月大陪審はFBI捜査官への暴行容疑で告発されたワシントンD.C在住の女性シドニー・リードを3回にわたり起訴しなかった。ワシントンD.C連邦裁判所で問題となった7月22日の騒動は、トランプ大統領の法執行命令が発令される数週間前に発生したが、大陪審にこの事件が提示されたのは、連邦捜査官がワシントンに集結した時期とほぼ同時であった。検察は、リードがワシントンD.Cの刑務所から釈放され、国外追放が予定されていたギャングのメンバーを逮捕しようとしたFBIとICEの捜査官を妨害し、録音していたと主張した。騒動の最中、FBI捜査官が彼女の手を壁に擦り付けたため、検察は、リード容疑者を連邦職員への暴行、抵抗、妨害の罪で起訴するつもりであった。これが事実上の犯行である場合、この罪は、最高8年の懲役刑に処せられる重罪であるとされた。

しかし、「合衆国憲法修正第五条に基づき、1年以上の懲役刑が科される可能性のある訴追は、大陪審の承認が必要となる。起訴状を承認するには、少なくとも12名の陪審員の投票が必要である。ワシントンD.Cの大陪審の承認が得られなかったため、検察はリードを重罪で起訴する試みを断念し、代わりに大陪審の承認を必要としない(最大刑が懲役1年の)軽罪で起訴した。一方、大陪審は検察側の主張を異例の形で却下した。数日後、連邦治安判事は、ワシントン北東部での逮捕に先立ち、「私がこれまで目にした中で最も違法な捜索」が行われていたと述べ、別の逮捕は「基本的な人間的尊厳」を欠いていると批判した。裁判官らは偶に検察官を批判することはあるが、「大陪審が起訴状発行を拒否するのは稀なケースに限られる。起訴状発行には、犯罪が行われたと認められる相当な理由のみを認定することが要求されており、これは法制度における最も低い証拠基準」とされている。

トランプ大統領に任命され、5月14日からコロンビア特別区連邦検事として奉仕している判事の経験があり、フォックス・ニュースの元キャスターのジェニーン・ピロは「逮捕された全ての個人に最も厳しい訴追を行う」よう指示した。これは厳しい罰を与える可能性があることを意味する。一年以上の刑務を言い渡す場合、大陪審の同意が必要になるが、驚くことに、ピロは、反抗的な抗議者による非常に軽い罪に対して重い刑務を言い渡すよう促していると言う。しかし、告訴することさえ拒否している大陪審はそれを認可しないため、そのような感情的な刑務が宣告される可能性はない。なぜなら、「逮捕のすべてが法廷での検証に耐えられるわけではないという兆候」が見られるからである。例えば、連邦大陪審は、今月13日に警察官にサンドイッチを投げたため逮捕されたダンに対する起訴を拒否した。加えて、大陪審はFBI捜査官を暴行したとして告発されたリードの起訴を3度拒否したという。似たような例は別の州でも見られるという。「今年トランプ大統領が就任して以来、起訴が却下される事例が増えている。ロスアンゼルスの大陪審は、政権の移民執行措置に抗議して逮捕された人々の起訴を却下した」とポスト紙は伝えた。

最後に、注目すべき点は、2021年1月6日に、国会議事堂で暴動に参加し、窓ガラスを破り、建物の中に侵入し、警察官に対して、催涙スプレー、棍棒、槍状の旗先で突き、消化器で殴り、大勢の群衆が警察官をドアの間に押しつけ負傷させた。ニューヨーク・タイムスの2022年1月5日の記録によると、この日暴動により5人の警察官が死亡し、下院議場への侵入を試みた女性が警察官に撃たれ死亡した。暴徒たちの暴動に巻き込まれ押しつぶされ死亡した人、心臓発作で死亡した人、別の個人は脳卒中で死亡し、1人は薬物の過剰摂取、他2人は自然死により死亡した。暴徒らは、憲法に従い、選挙結果転覆の要請に応じなかった副大統領マイク・ペンスを当時、彼らが作った絞首刑台で殺害または脅す意図があったと見られていた。前代未聞の暴動に参加した1,600人の暴徒らは逮捕された。その中には別の犯罪で逮捕された個人も複数存在していた。

2025年1月20日、重罪者を含む1,600人全員に恩赦を与えた新大統領に任命されたDCの連邦検事は、この1,600人の大部分の容疑者より、遥かに軽犯罪に該当するD.Cの抗議者にも可能な限り厳しく処罰する意図があったことを示唆した。この状況は、トランプ政権下の司法システムには顕著な矛盾があり、法の裁きの基準が大統領を支持しているかどうかで判断されることを示唆している。約4年前、忠誠を示した暴徒らに人間としての同情を示したトランプ大統領の司法省はこの暴徒らが3月に政府を告訴し、損害賠償を求めていた。大統領は、前政権の彼らに対する措置は行き過ぎであったと主張した暴徒らに同意し、損害賠償を支払うために政権が補償基金の設立を検討していると言われた。また、トランプ大統領によって扇動陰謀罪で減刑された極右団体プラウド・ボーイズは司法省に対して1億ドルの訴訟を起こした。検察官の不正行為を訴えるこの訴訟は、現政権下の司法省に対する異例の法的挑戦である。これらの訴訟も含めて、今日D.Cで起きていることは、前例のない異常な状況であると言える。

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