ご承知のとおり、トランプ大統領が共和党州の保守派議員らに、党利党略に基づくジェリーマンダー(選挙区割り)を推進するよう強く求めた効果はあると認められている中で、共和党州は民主党より有利なように思われます。今年初頭まで、民主党は少なくとも米国下院議会でマージンが狭い多数派共和党の議席を取り戻すことが可能であると言われた状況は、中間選挙が4ヶ月後に迫っている中で、最近幾分衰えています。しかし、複数のメディアは、支持率の有利性と政治的環境において、民主党には多数派を取り戻すチャンスがあるとみています。民主党の選挙専門家はどのように分析しているでしょうか?
最近の世論調査では、戦争、物価高を起因とする激動と混沌を見ている有権者は、今度こそ、この状況を変えるべきだとして、投票参加の意欲を示しているとされています。MS Nowが7月7日に提供している最新情報によると、両院で少数派である民主党議員らは「法案の多くを阻止できるほか、監視公聴会の開催、召喚状の発付、そしてトランプ政権に対する調査を行う」ことが可能になるため、下院議会での支配を最優先目標としています。現在、共和党は極めて僅差で過半数を維持しているため、民主党は数席を追加するのみで、議長の座を奪還可能です。下院議会の中間選挙では「全米で接戦が予想される下院選挙区は30数カ所だけです。下院の主導権争いは、ニューヨーク、カリフォルニア、ペンシルベニア、アリゾナ、ミシガン、ネブラスカなどが含まれます。最新の多くの世論調査では「政党別支持において、民主党が共和党を少なくとも5ポイント、リードしており、これは8〜18議席の純増、すなわち過半数獲得に十分な数字を示唆しています。」エマーソン・カレッジによる最近の調査は、「投票意欲の高い有権者の間で、民主党は10ポイントのリードを保っています。」この結果は「民主党が15〜25議席を獲得し、より強固な過半数を築く可能性」があると示唆しています。
加えて、変化が望まれる政治環境も共和党より民主党に優位性があるとされています。7月6日のニューヨーク・タイムスによると、「今回、多くの民主党有権者が制度の抜本的な変革を強く求めている姿勢を鮮明にしています。予備選シーズンの前半において、秋の本選の様相を一変させかねないような進路を切り開こうとしています。今年、支持を広げている民主党の新興勢力の多くは、イスラエルに対して批判的であり、国民皆保険制度を掲げ、世代交代を訴えるとともに、トランプ氏に対してより強硬な姿勢で臨むことを主張しています。 メリーランド州の民主党上院議員クリス・ヴァン・ホーレン氏は「単にトランプ氏以前の現状に戻るというだけでは不十分です」と述べています。5月に行われたニューヨーク・タイムス紙とシエナ大学による世論調査では、民主党員および民主党支持寄りの無党派層の半数以上が、党に対して不満を抱いていることが明らかになりました。また、党支持者の8割以上が現在の政治・経済システムを完全に解体するか、あるいは抜本的に作り直す必要があると回答しています。ニューヨーク州のカーステン・ギリブランド上院議員は、「人々はこれまでとは違う形で投票するでしょう。彼らは現状に不満を抱いているからです」と言います。
民主党は上院議会でも勝利する可能性があるでしょうか? 現在共和党53議席、民主党47議席の現状で、民主党が2026年の中間選挙で上院の過半数を獲得するためには4議席を奪取する必要があります。7月1日のNewsweekの分析によると、上院主導権を奪還する上で、今年の民主党は構造的な課題に直面しています。「トランプ氏が7ポイント差で敗れたメイン州と、3ポイント差で勝利したノース・キャロライナ州以外に、民主党が議席を追加できる明確なチャンスがある州は存在しないためです。ニューヨーク・タイムス紙の新たな世論調査では、メイン州とノース・キャロライナ州で民主党がリードしている一方、アラスカ、アイオワ、オハイオの各州では共和党が優勢という結果が出ています。テキサス州では両党が互角です。他の調査機関による世論調査でも、これらの各州で接戦が繰り広げられていることが示されています。」肯定的な側面は「経済問題をめぐるトランプ氏の支持率低下を受け、民主党内では上院の主導権を奪還できるかもしれないという期待が高まっていることだけです。」
こうした状況下で、事実に基づき且つ概ね正確であるとの評価がある民主党の著名な選挙関連弁護士であるマーク・エリアス氏によって立ち上げられたデモクラシー・ドケットの分析によると、米国最高裁は「投票権法の効力を事実上骨抜き」にし、南部諸州では、同法に基づき設置されていた「黒人が多数派を占める民主党の議席を撤廃しようとする動きが加速しました。バージニア州の最高裁は、民主党が支持していた同党の議席を4つ増やす選挙区割り案を承認した住民投票を無効にしました。「これら2つの判決により、共和党はこの秋の中間選挙において、実力とは無関係に明白な優位性を手にしました」と指摘しています。エリアス氏によると、「ニューヨーク、ニュージャージー、イリノイといった民主党地盤の大きな州で党利党略に基づく区割り変更を独自に行い、バージニア州でも再挑戦することで、民主党はこの『焦土作戦』のような争いから、共和党に対して6〜13議席の優位を確保して抜け出せる可能性さえあります。もちろん、それは容易なことではありません。」
加えて、「幾つかの州では、選挙区割り委員会を迂回するために、有権者に州憲法の改正を求める必要があります。それには時間と多額の費用がかかる上、成功の保証も全くありません。そもそも、そうした試みを行う前に、州議会で圧倒的な多数派を確保する必要もあります。場合によっては、少数派の投票力を薄める必要が生じる可能性もあり、民主党にとって最も重要な支持層の怒りを買うリスクも伴います」と述べている。しかし、「共和党がジェリーマンダーによって確保しようと意図していた利益のすべてを、この秋に実際に得られるわけではないという点にも注目すべきです。世論調査機関や選挙予測の専門家は、連邦議会の選挙区割りによる共和党の優位性を『+4』と見積もっています。これは、民主党が共和党と互角に渡り合うためには、全米の得票率で共和党を4ポイント上回る必要があることを意味します。数字だけ見れば悪い状況に聞こえますが、これは2018年の状況とほぼ同等です。あの時は、民主党が圧倒的な強さで下院の主導権を奪還した年でした」と指摘している。
最後に、米国下院議会は435の総議席があります。繰り返しになりますが、多数派になるためには218議席が必要です。2018年の中間選挙結果を調べてみますと、民主党は41議席を獲得し、この年の選挙で、合計235議席となりました。民主党リーダーのナンシー・ペロシ氏下で勝利後の座席率は53.4%、共和党リーダーのポール・ライアン氏下で44.8%となりました。マーク・エリアス氏によると、2026年の中間選挙は、2018年と同様の変化が起きる可能性があるということです。もちろん、民主党は様々な葛藤を乗り切る必要があります。例えば、世論調査では民主党に有利性のあるメイン州の米国上院議会の選挙では、長年の共和党現役であるスーザン・コリンズ氏に挑戦している民主党候補グラハム・プラトナー氏は過去の行動に問題があると指摘されています。複数の女性らが告発している性的暴行、ナチスのシンボルに似た刺青をしていたなど、米国上院議会の候補者としては不適格であるとして、22人の現役および候補者による民主党員らに選挙競争から離脱するよう要求されています。他に多数の候補者が浮上している中でプラトナー氏が7月13日午後5時までに撤退しない場合、地元で人気が落ちていたコリンズ氏が再選に勝利する可能性があるため、メイン州での1議席の追加は現在不安定なものとなっています。同氏が辞退した場合、メイン州民主党は7月27日までに別の新たな候補者を選出する必要があります。